2002年8月に、スイス・フランス(+ロンドン)を新婚旅行で回った記録。
すっかりインドア化している私が、高校生の時は実はワンゲル部に属していたなどというのは、私を知る人には意外な話かもしれない。山をながめるのは未だに大好きなのである。かと言って、ヒマラヤトレッキングなど、サバイバルする気力・体力ともなし。新婚旅行ということで、いやがる妻にお願いしてスイスへ行ってみることにしたのである。
成田-チューリッヒは、JALとスイス航空のコードシェアで、この日はスイス航空のMD11で飛ぶことになったのである。まさか、この直後に倒産するなんて思わなかったので、貴重なショットとなった。
チューリッヒの空港の地下駅でスイスパスを購入し、その日のうちにインターラーケンへと移動。
インターラーケンの町外れからトゥーン湖遊覧船に乗る。最初はあいにく小雨模様であったが、だんだん晴れてくる。山の上まできれいに切り開かれて、村が広がっているその景色に心奪われる。雲の切れ目からそうした村に陽が差す景色がとても美しい。
進行方向左手には、雪をかぶった山をながめることができる。
とある船着場の横にあったホテル。花が美しい。ヨーロッパの人は花好きだ。こういうちょっと不便なところには、日本人はあまり泊まらないのであろうと思うが、「こういうところに泊まってのんびりしてみたいね」と妻と話していたのである。
登山電車で山へ向かった一日は、このうえない好天に恵まれた。ユングフラウヨッホ(標高3454m)まで登る人が多いのだろうが、我々の旅はクライネ・シャデラック(標高2061m)止まりである。ここからの山の眺めは素晴らしい。左はユングフラウである。
で、なんと言っても見たかったのが、アイガー北壁である。ほんとにストーンと落ちているので感動してしまう。当初はスイス行きを渋っていたはずの妻であるが、この山容には感動し、以後インターラーケンの町で見かけた猫に、勝手に「アイガー」と命名するまでに至る。
ジュネーブが面白い街であったかと言えば、正直うそになる。ドイツ語圏では、わりに通じていた英語も、ここではすっかり通じない。しかし、レマン湖の大噴水と、直線的な飛行機雲が織り成す光景だけは忘れられない。
我々は、ジュネーブからニースへと、飛行機でアルプス越えをしたわけであるが、これは感動物だった。レマン湖西端から飛び立った飛行機は、ジュネーブ湖の東端を目指し、そこで旋回する。そして、モンブランを直下に見下ろしながらアルプスを越え、そして地中海へと抜けていくのである。その光景は、今までの飛行機からの眺めでは最高だったと自信を持っていえる。機会があれば、一度お試しあれ。
カンヌ-ニース-モナコに代表されるコートダジュールは、今更言うのもはばかられる世界的なリゾートである。しかし前回私がカンヌに行ったのは業務出張。今度はのんびり過ごしてみたいと思い、この地を訪れた。
頑張って海辺のホテルの海側の部屋を取った。多少値が張る分は、そこからの景色で十分取り返せる。目の前は、ホテル提携のプライベートビーチになっていた。また、二つ隣が有名なネグレスコホテルであった。
海辺の道は、夜遅くまで歩く人が絶えない。やはり世界を代表するリゾートなのだ。
エズは、ニース東方に位置する小さな村だが、大変美しいところである。地中海の色は、日本人にとってはとても不思議だ。観光ガイドによく乗っているアングルからの写真だが、村の最上に位置する熱帯植物園みたいなところからこの景色を見ることができる。
こうしたところに自力で行くとバス利用とかになるのだが、我々はバンを使った現地ツアーを多用した。ちなみに、このエズ訪問はモナコ行きの途中経過地って扱いになっている。
こうした現地ツアーを使うと、意外に面白いところに行けたりする。日本の観光ガイドは主に海辺を主体に紹介しているが、山側に入っていってもなかなか面白いのだ。我々は"Country Side"というコースに参加してみた。訪問先は、Grasse, Gourdon, Tourrettes-sur-Loupである。GrasseにはFragonardという有名な香水工場があるので、ここを訪れる日本人は多いと思う。
左の写真はTourrettes-sur-Loupという村で、それなりに観光地となっていたが、日本人は見かけなかった。崖から見下ろす光景は絶景。やたらと、手作り香水・石鹸類を売る店が多かった。
Gourdonも崖の上に開けた小さな村で、細い通路がくねくねと走り回った村なのだったが、ここが猫天国なのだ。そのふてぶてしさには恐れ入る。好例を左に示しておく。
あと、写真が残っていなくて残念だが、Frorianというドライフルーツをベースにした砂糖菓子を作る小さな工場にも行った。とにかく綺麗な仕上がりのお菓子だし、工程とかも見せてくれるので、とっても良かった。詳細は、この会社のページを参照されたい。
買い物に、ということで最後に一日ロンドンに立ち寄った。滞在が24時間以下であれば単なる乗り継ぎと見なされるという、航空券の制限を逆手にとった作戦だ。奥様の目標は、Folli Follieの全支店制覇である。夜遅めにニースから到着し、空港近くのホテルに宿泊し、朝ヒースローで荷物を預け、いざ市内へ出陣である。
Folli FollieのRegent St.の支店には、日本人の店員さんがいた。奥様も安心である。その隙に、私はすぐそばの思い出のピカデリーサーカスへ行ってみた。エロスの像は、改装中なのか壁で仕切られていたが、階段に世界各地からやってきた若い観光客が座り込む光景は変わらず。そして、振り向けば「そごう」が店を閉めてしまっている。「この中の喫茶店で日本風のアイスコーヒー飲んで、ほっとしたよなあ」などと思い出し、感慨にひたったのであった。