渡辺美里ライブ@横浜新港埠頭 (2007/7/29)

ある日妻から「これ行っておいでよ」と手渡されたのは、横浜・新港埠頭での渡辺美里のライブのチケットだった。20年続いた西武スタジアムでのコンサートに一昨年区切りをつけての、新たな夏の定期ライブらしい。86年の第一回から何年か西武スタジアムに通った僕としても、15年ぶりくらいの彼女のライブだ。で、どういうライブだったかというと・・・

美里さんはほんとに上手くなったなあ、という印象。高音域の伸びは、さすがに落ちたか。大江千里系の曲の人気は根強く、小室系の曲は”My Revolution”を除くとさっぱり、ということもわかった。しかしもっと面白かったのは、観客ウォッチ。「君達、渡辺美里以外の音楽をほとんど聴いてないでしょ」という感じで、宗教の集会にまぎれこんでしまったかのようだった。問題発言なのは承知で書くが、このファンが20代までの彼女を育て、このファンが30代以降の彼女を駄目にしたのだと痛切に思う。(自分も含めてだが)アーティストを育てられるような実力はないファン層だったということだ。白井貴子さんとかEPOとか、僕が今いいなあ、と思うベテランたちは、良くも悪くも古くからのファンを裏切るような、音楽的な大転換をしている。成長しないからついてくる、あるいは成長することで離れていくファンより、成長してもなおついてきてくれるファン・成長したからこそ新たに付くファンを大事にすれば、きっと違う展開があるのに。

しかし20年前に高校生くらいだった彼ら・彼女たちが子連れで来てるのを見ると感慨深い。僕が一緒にスタジアムライブに行っていた人たちとは音信不通になって久しく、既にこの世の人でなくなっている人さえいる。そう考えると、僕があの日見ていたのは、渡辺美里でも観客でもなく、きっと自分自身のこの20年だったんだろうな。