Silje Nergaard, “Chain Of Days” (2015)

速報です。(とはいっても半月くらい前から気づいてましたが。。。)

Facebookで降ってきた情報ですが、3/17に新譜が発売になるようです。「世界中の」iTunes Music Storeで事前予約受付中と書いてありますが、残念ながら日本のiTMSでの取り扱いはないようです。アメリカのiTMSから仕入れようかなと思ってます($9.99)

仕入れた段階でまた書き直します。

Silje Nergaard, “Tell me where you’re going” (1990)

“Silje Nergaard”で検索していたら、しまおーさんのサイトにて、素晴らしい動画を見てしまいました。Siljeのデビュー盤”Tell me where you’re going”を、最近のジャズ・アレンジで再演したものです。オリジナルの2バージョンも併せてシェアします。比べてみると面白いですね。

デビュー盤には”Tell me where you’re going”が2バージョン入っていて、こちらがシングルになった方のバージョンです。

こちらはシングル化されなかった方のバックがPat Methenyのバージョン。これが涙ものに素晴らしい。

オリジナル版(fearuting Pat Metheny版でない)のPVに、Pat Methenyの映像を合成したものと思われます。正規のPVでないことには注意が必要です。

Silje Nergaard, “Unclouded” (2012)

Silje Nergaardの新作。彼女がデビューして20年、何度か消えかかったのにしっかりジャズシンガーとして再生し、今でも歌声が聴けるというのは、本当に嬉しいことです。Sony系になってから、国内のiTune Music Storeから購入出来ないのが痛い。割高なヨーロッパ盤を、アマゾン経由で仕入れました。

本作は、Siljeのボーカル+Håvar Bendiksen、Hallgrim Bratberg二人のアコギが核になったサウンドです。YouTubeでのインタビュー動画では、ギター弾きだった父親の影響を語っています。原点回帰なんですね。アコギ二台と女性ボーカルってのは、SOYに似た世界なんですが、これが素晴らしい。薄い音造りと、Siljeの声は似合います。

佳曲揃いの本作ですが、特に聴きどころとして何曲か挙げておきましょう。まずは、5. “Ordinary sadness”でしょう。まずは、聴いてみてください。

1.“All I had”, 4. “The moon’s a harsh mistress”, 8. “When Our Tune Is Played”あたりは、フォークっぽさを残すポップス。一方で、3.“God’s mistakes”あたりは、がっつりジャズです。9. “I Will Write You Every Day”, 10. “Human”は、とてもきれいなバラード、必聴です。

さてアコギ弾きの方々は、下のYouTube動画も必見です。アルバムには収録されていない、Michael Jacksonの”Black and white”のカバーなのですが、アコギがとにかく面白い。見てしばらく、にやにやが止まらなかった逸品です。

Siljeの最新動向は、Facebook経由で得るのが正解です。気になる人は、フォローしてみてください。

Lene Marlin, “Twist the truth” (2009)

3/30日付けで本国発売になっていたLene Marlinのアルバムを、日本盤の発売はなさそううな状況でもあるので、iTunes Music StoreでDL購入した。(先行シングルの、”Here we are”については既に本ブログにてレビュー済み)

前作”Lost in a moment”の派手なエレクトリックな音にはがっかりしたが、本作は一転してacousticな音の造り。それにも関わらず、またもがっかりしてしまった。

やはり、デビュー盤のような鮮烈さを、10年を経過して20代後半になり、声質も変わってきた彼女に求めるのは無理なのだろう。薄い生音で勝負した場合、Kathryn Williamsのような人が出てきているだけに、比較するとイマイチなのだ。歌で聴かせきるには、歌唱力・曲の力、どちらも今ひとつ足りないような気がする。

やはり気になるのは、ここ二枚目以降の三作で音の造りがバラバラだということ。いろんな音にチャレンジしてさまになる(たとえばNeil Youngとか)ほどの力はないでしょう。ここは好意的に、単に迷走期なのだと思いたい。いつかきっと自分自身の音を確立して戻ってきてくれるのを、気長に待とうと思う。それはきっと彼女が30代後半くらいになってからだと思うのだけれど。

Lene Marlin, “Here we are” (2009)

Lene Marlinの四枚目”Twist the truth”が3/30に本国で発売になる。今のところ、東芝EMIは何ら反応しているようには見えず、日本盤の発売が危ぶまれる状況。先行シングルである”Here we are”はiTune Music Storeでダウンロード購入が可能な他、My SpaceYouTubeで、全曲視聴できる。

さて、肝心の曲の出来だが、いまいち冴えないなというのが率直な感想。イントロのストリングアレンジを聴いて、こりゃダメだと思った。曲調自体はセカンドの頃に似ている気もするけど、どうにも苦手なリズムの刻みです。声質もファーストの頃とはちょっと違う感じなのが大きいのかな。でも、前作のサードよりはいいかもしれない、って予感はします。

Meja, “How Crazy Are You?” (1996)

evianのCMで使われているので、最近よく耳にする。軽快なswedish popsの傑作。日本ではバカ売れした。本サイトの方には書いたけど、この年僕は日本におらず、翌年発売されたセカンドが彼女との初遭遇。一枚目の”Meja”に遡って聴いて、この曲に出会ったのだ。上のアルバムは、オリジナル盤。今から聴くなら、ベスト盤の方がいいかもしれない。10年以上経って振り返るに、スカンジナビアポップスであれば、日本では何でもかんでも売れたような時代だった。熱に浮かされた時代は去った。だから今こそ、いいものはいいものとして再評価したい。その意味で、今回この曲が再び脚光を浴びるのは嬉しいことなのだ。

Cloudberry Jam, “The Great Escape” (2005)

Cloudberry Jam再結成後の二枚目。個人的には、ブラスを多用したアレンジにちょっとなじめない。Jennie Medinの声も、太さは感じるが、ちょっと勢い不足かな。4.“7 Days A Week”, 8. “I Will Feel Better” あたりはいいと思う。

彼らの音楽はブランク期を経て確実に進化しているわけで、その方向が私の好みとは違う方向に行ってしまっているようだ。

The Cloudberry Jam, “Blank Paycheck”(1995)

古いアルバムではある。しかし、抜群のポップセンスを持ちながら、かと言ってロックのドライブ感をまったく失っていない、その絶妙な調和が素晴らしいのだ。Jennieの声は中低音域でかっちょいい。ちょっとChrissie Hyndeっぽいところもあるかな。

しょっぱなの“Walking in my sleep”から、がつんとやられる。“This & that”“Hold on”のドライブ感も堪らない。“couching”での、ビブラフォーンが絡んでくるアレンジなどは、いかにもSwedishで、お洒落っぽさを出しているのだけれど、ここまでの完成度は他のバンドには出せていないんじゃないかな。“Twice as cool”“By your side”とか、本当にかっこよい。その一方で、“Someday soon”のような、静かな曲もいいしね。

Silje Nergaard, “Darkness Out Of Blue” (2007)

発売直後に購入したものの、レビューをさぼっていたアルバム。通常盤とミニフォトアルバム付きの限定盤が出たのだが、もちろん私は後者を購入してしまった。ファン心理とは恐ろしいものだ。

さて、ヨーロッパでジャズシンガーとしての地位を気づきつつあるSiljeだが、この作品には、デビュー当時に近いポップシンガーとしての彼女の色が強く出ている。曲はポップだが、バックの連中はジャズとしての解釈で演っているという、とても面白いバランスのアルバムで、そういう意味では一時期のJoni Mitchellっぽい感じもあるだろうか。

2.“How Are You Gonna’ Deal With It”, 4. “Who Goes There”, 7. “The Beachcomber”、8. “When Judy Falls”, 10. “The Diner”など、いい曲がてんこもりだ。

一番気になったのが、タイトル曲でもある11. “Darkness Out Of Blue”。リズムの刻みに、Methenyの匂いがする。締めの12. “Paper Boats”も、すごいなあ。

変な意味で特筆に値するのが3.“Before You Called Me Yours”。これはJoni Mitchellの”Circle game”に酷似していて、わざとやったとしか思えない曲です。

The Cardigans, “Emmerdale” (1994)

「The Cardigansだねえ、Scandinavian Pop-Rockだねえ」、という以上の感想がなかなか出てこない一枚。6. “Over The Water”, 7. “Rise & Shine”, 12. “In The Afternoon”あたりはちょっといいかな。全然レビューになっておらず、申し訳ない。

“My favorite female singers”中のThe Cardigansのページ

Cloudberry Jam, “Movin’ On up” (2004)

再結成第一作。昔ほどいいか?と問われれば答えはNoなのだが、それでも好きな一枚だ。“your love”から、タイトなリズムセクションの上で、ギターとハモンドが自由に絡み合うCloudberryらしい音。それでも埋もれることのないJennieの骨太なVocalは、やはりすごい。“When tomorrow comes”も、ドライブ感で一気にもっていってしまうという彼らの専売特許が炸裂。下手にブラスなんて入れてほしくないなあ、と切に願う。“people are starting to care”も似たような感じかな。“my evening”“ain’t gonna”でのJennieも格好よい。

Lene Marlin, “Lost in a moment” (2005)

また、4年も待たされるのだろうとのんびりしていたら、あっさり出てきた新作。日本語版のライナーノーツによれば、サントラ用の単発の仕事が発展して、瓢箪から駒のアルバムに仕上がったそう。ジャケットの写真などを見ると、姿の様変わりに唖然としたりもするのだが、もうデビューから6年も経っているのだから不思議もない。前作での日本のレコード会社のプロモーションはやる気なさげなものだったが、本作ではさらにそれに輪をかけている印象だ。

“How would it be”とか“What if”は、ベースラインがPoliceを思わせるポップな曲で聴きやすい。アコギのカッティングが心地よい“Eyes closed”は、1stの雰囲気を漂わせている。“My lucky day”“All I can say”あたりは、前作の延長線上にある感じなのだが、どことなく明るさも感じる良い曲なのだ。

しかし、全体としては音の作りが派手すぎて、ボーカルが埋もれてしまっているかな、という印象。彼女のさわやかさと今に壊れてしまいそうな繊細さの危ういバランスが感じ取れないのだ。一作目での“Sitting Down Here”や二作目での“You weren’t there”のような、「この一曲で決まり」という曲もなく、どうにも突き抜けきらないのがもどかしい。しかし悪いアルバムという訳でもなく、前作とは打って変わって本人が楽しそうにやっているというところで評価が難しい(無理な明るさかなとも思ってしまうのだが)。ちなみにこのCD、copy-controlledではあるが、私のカーステで無難に再生できました。これはありがたい。

Sophie Zelmani, “Sophie Zelmani” (1995)

これがデビュー盤らしい。見事なまでに(迷走開始前の)Neil Youngで、とてもうれしく思ってしまう。“I’d be broken”などは、その典型であろう。“Always you”“I’ll remember you”のような曲も私は好きだ。本当にAmericanじゃなくSwedishなの?と言いたくなる乾いた音がたまらない。70年代西海岸趣味の人には特にお勧め。

Sophie Zelmani, “Love Affair” (2003)

前作と比較してみると、アコースティック色を一層強めた感がある。音は一層薄くなり、前作で私が面白がったようなアレンジは影を潜めた。Donna Lewisなんかとも共通するロリ声+アコースティックギター一本、などという曲も多い。歌がべらぼうに上手いわけでもなく、かと言ってJoni Mitchellのような強烈で多彩な個性があるわけでもなく、そうなるとアルバムの後半に入ると聞き通すのがちょっとしんどくなってきてしまう。

“September tears”“Maja’s song”“Grand as loving”なんかはいい曲だと思います。

Meja, “Mellow” (2004)

前作の無理なロックっぽさに戸惑った私だったが、この一枚での変貌ぶりにも驚きを隠せない。一転して、ボサノバフレーバーあふれるポップス路線への転換だ。イギリス人のHamish Stuartのプロデュースで、録音もイギリスで行われている。年齢相応に大人らしい音楽をしよう、ということなのだろうけれど、声質と曲がマッチしていないように思われる。こういう路線を聞き慣れている人にとっては、Swing out sisterWorkshyとの落差の大きさにがっくり来てしまうだろう。あるいは、スカンジナビアポップスからジャズへと戻って成功したSiljeとの比較でも、だいぶ見劣りしてしまう。二枚目までのスカンジナビアン・ポップス爆走路線が、彼女には一番合っている気がしてならない。

そんな中でもちょっとうれしかったのがカバー曲だ。Joni Mitchell“Circle game”とか、Carole King“Too late”なんかを歌っているのにはちょっと感激。他にも、ジョビンの曲を二曲ほど取り上げているが、Pat Methenyの影響で、ブラジル音楽に興味がある割にはさぼって聞いていない勉強不足の私としては、ちょっとコンプレックスを感じてしまう選曲でもあるのだった。うだうだと不満めいたことを書き連ねたが、基本的には私の好きな路線ゆえ、次作でより洗練された音を聞かせて欲しいと願うのだった。(でも、またとんでもない路線へ鞍替えしてしまうのだろうがな・・・)

Jennie Medin, “the world through my eys” (2003)

大学院生をやっているというJennie Medinの復帰ソロ作。プロモーションで来日もしたらしい。博士号取得を目指してる割には余裕あるなあ、と感じてしまうのだが。

しかし、ソロ作とは言え、これは”Blank Paycheck”あたりのCloudberry Jamの音っぽい。音が薄めだから、Jennieのボーカルがぐんと前に出てくる感じはある。“too good(too good to be true)”から、これはやっぱりSwedishでしょ、というサウンド。“next lifetime”も、ポップスとロックが融合した絶妙の曲で、ちょっと骨太なJennieの声質が生きるね。“the world through my eyes”は、60’sっぽいバックの音作りだがしっかり現在の音。“you are not alone”なんかは、Swing out sisterなんかと共通した洗練さのある曲。テンションの効いたコードワーク、スネアの音が心地よい。この曲は好きだな。

“bitter end”“I just wanted you to know”“come on (take me far away)”も90年代のSwedish popsらしい、Cloudberryっぽい曲。でも、ひたすらにドライブ感で持っていくのではなく、どこかためがあって、落ち着いた仕上がりというか、ちょっとした貫禄を漂わせている気がする。“Some might say”“unbreakable”みたいに、アコースティックギター一本を軸に組み立てる曲でも、いい歌を聞かせてくれる。うん、気に入った。お勧めの一枚。

Silje Nergaad, “Nightwatch” (2003)

Universalからの三作目となるこのアルバムは、一曲を除いてSilje自身による曲で構成されている。Norway本国ではポップスチャートでも、10位台につける健闘を示した。(ちなみにLene Marlinの”Another day”の首位独走が10週を超えた頃の話。)“How am I supposed to see the stars”“You send me flowers”などの曲では、Siljeが元々持つシンガーソングライター的な要素を強く感じさせられるかと思えば、“Dance me love”などでは、しっとりとしたジャズバラードが聴けたりする。“I don’t want to see you cry”“Take a long walk”の音の運びからは、なぜかSteely Danが思い出されるのだ。ヨーロッパでSiljeのアルバムがジャズチャートで健闘しているのは、こうした取っ付き易さが大きく影響しているのだろうと思う。昔からのSiljeファンにもお勧めできるアルバム。“Tell me where you’re going”“Brevet”と並ぶ必聴盤ではなかろうか。

ところで、このアルバム唯一のカバー曲というのが、“This is not America”。1985年の映画”Falcon and the snowman”のサントラに収録された、David Bowie+Pat Methenyという意表を突くコラボレーションによってヒットした懐かしいあの曲だ。SiljeはやっぱりMethenyに戻っていくのか、とも一瞬思わされた。ラストの“On and on”はセルフカバー

Lene Marlin, “Another Day” (2003)

ようやく入手した4年ぶりの新譜。デビュー作の成功というプレッシャーの中で、18歳が22歳に成長したその軌跡が伺えるアルバム。日本で前作並みの商業的な成功をおさめられるかどうかは疑問だが、間違いなく傑作だ。まず、音の作りが大きく変わったことに気が付く。前作では、歌詞をぎゅうぎゅうに詰め込んだ譜割りだったが、本作はゆったり。すかすかの音符の歌のバックに、細かい刻みのギターが入る。このギターも前作はコードカッティングが主体だったのが、本作はアルペジオが主体。U2的な音の作りなのだ。じっくり歌いこんでいて、angel voiceが染みてくる。

このアルバムの特徴は、シングルカットされた“Another day”とか“you weren’t there”、あるいは“from this sky”などに端的に現れている憂いを帯びた曲にあると思う。個人的には、前作に触発されてNorwayを訪れたときの街の印象や、このアルバムが出た直後に訪れた秋のスイス(見事に蹴られた就職の面接)の街並みの印象と重なるのだ。“faces”とか“my love”も同じように良い曲だ。“whatever it takes”なんかは、アコギのカッティングが心地よいいい曲だ。実は苦しんで苦しんで、ようやく産み出したこのアルバムが、私にとっての彼女の最高傑作になるのかもしれない、と、三作目の発売時にこれを聴き直してみてそう思うのであった。

[2003.12.15追記] ノルウェー本国のシングルチャートであるhit40.noによれば、ファーストシングルだった“You weren’t there”は、10週以上トップをキープした。二曲目の“Another day”は出足不調なようだが、トップ10に二曲同時にチャートインしているのは、地元アーティストとしては、やはりすごい。

Sophie Zelmani, “Precious Burden” (1998)

デビュー盤も話題になったのだそうだけれども、最初に購入したのがこのアルバムだったもので。

微妙に青っぽいジャケットが印象的。1999年夏に北欧を旅行したとき、店頭でこのジャケットは随分と目に飛び込んできた記憶がある。MejaLene Marlinもそうなのだけれど、スカンジナビアンはこういうのが好きなんでしょうかね?さてこのアルバムだが、Sophieの歌自体はそれなりに良い。本人が書いている楽曲も素晴らしい。しかし、それ以上に気になって仕方がないのが、プロデュースも手がけるギタリストのLars Halapiのプレーなのだ。

最初の曲の“Leaving”は、ギターだけ聴いていると映画「トッツィー」のテーマ曲だったStephen Bishopの”It might be you”を何故か思い出してしまう。“Black Day”の生ギターの多録もとても印象的なのだが、輪をかけてインパクトがあるのが最後にかぶってくるエレキのプレー。「Neil Youngっぽく、わざわざ下手に弾いている」としか思えない。かと思うと、“Precious Burden”のイントロでピアノを弾いているのだけど、これもまたNeil Youngのピアノのような音使いをわざわざしているんだよね。その一方で、“vacation”でのギター二本の絡みは、(あんまり知ってる人もいないと思うけど)Happy and Artie Traumそのものって感じがする。ここまで来ると、心の底から「すげえわ、これは」と言えてしまう。“Before the day’s gone”なんかも70年代初期の西海岸の音を強く意識しているね。

以上、非常に変な観点からアルバムを聴いてみたのだが、素直に歌の方を聞いてみると、上手くもないけど、味があっていいボーカルだ。しかし、やはりsong writingで勝負の人。いい素材(楽曲)を、いいアレンジで助けてもらっている、といったとこだろうか。

Freya, “Chasing my tale” (2000)

出てから二年も経ってから入手した一枚。邦盤と輸入盤でジャケットが違うが、当然価格重視で輸入盤を購入。

一曲目の“Girlfriend application”の異様とも言えるポップ度の高さで、「一体どこの国にシンガーだ?」などと思ってしまうのである。”Wasting time”“Rule No.1”と、いい感じのポップスが続く。

単調だなあ、といい加減聴き飽きてくる頃の8曲目の“History of the last 5 minutes”がスローな曲で、ぐっと落ち着くのだ。しかし、それにしてもLisa Loebっぽい・・・。最後の“Diary”もお勧め。スローな曲もなかなかいいのだから、もうちょっと全体の構成考えればいいのに、と思ってしまう。

総括としては、頭空っぽにしてポップスに浸るのにはいい一枚、といったところか。

 

The Cardigans, “first band on the moon”(1996)

Swedish pops特有の匂いがぷんぷんする一枚。しょっぱなの“your new cuckoo”から、ちょっとチープなギターとフルート・ストリングがからむポップロック。Ninaのボーカルの微妙なピッチのずれと、まじめにチューニングしたのか?というギターサウンドが、なんとも不安定で楽しめる。“never recover”は、EggStoneなんかにも通じる、いかにもSwedishという疾走感あふれるポップロック。テクもなにもあったものではないのだが、ちゃんと勢いで持っていってしまえるところがすごい。

しかし、このアルバムでのおすすめは、なんといっても“lovefool”だ。アルバムの他の曲とはちょっと違ったお洒落感を漂わせるが、上品になりきれていないところが微妙に面白い。さびでのNinaのボーカルに、理屈抜きでトラップされてしまったのである。上手すぎず、不安定なところが、却って生理的に心地よいのだろうと自己分析。日本ではなにかのCMに使われていただろうか。

一方で、“iron man”なんかでの、60年代後半~70年代前半っぽい感じもなかなかたまらん。

Solveig, “Analog” (1999)

これがデビューアルバム。典型的な非BritishのEuropean pop soundである。この手の音に騙されつづける自分の軽薄さを呪ってもみるのだが、いかんせん心地良いのだからやむを得ない。歌は決して上手くはないが、ところどころSiljeっぽい声質は結構気に入っている。全曲自分で書いているので、song writingのセンスはあるんだろうな。しかし、本人はJoni Mitchellの影響を受けたと言っているようだが、そういう雰囲気は微塵も感じないぞ。

1曲目の“Detective”から威勢のいい音の作り。時代がかっていてちょっと笑える。しかし、邦題の「探偵気分で」って、そりゃそうだろうけど、何とかならんもんかね。2曲目の“What about my life?”ってのも、全曲同様の雰囲気で流れていくのだ。

3曲目の“You can look around”でがらっとタッチが変わるだが、なかなかいい感じのミディアムスローの曲だ。5曲目はひたすらポップな“Marie”。地元ではこれがシングルカットされたらしい。60年代ポップスっぽいというのかな?10曲目の“On a day like today”なんかは、やっぱりヨーロッパぽいなあと思うのだが、どことなくSwan Diveと共通するようなところもあって訳わからん。

総じて、わざとらしくもなく古目の音を作って郷愁さそってみました、ってな感じであろうか。しかし、このアルバム、日本では10万枚売れたらしい。みんな、騙されやすいねえ・・・。

Silje (Silje Neraard)ってどんな人?

ノルウェーの出身。FM横浜に持ち上げられて、一枚目”Tell me where you’re going”が日本でヒット。当時の活動拠点はロンドンだったが、二枚目・三枚目の出来が悪かったせいか、レコード会社との契約も切れて一時期音沙汰が無くなってしまっていた。この後、地元Norwayに戻ってNorwegianで歌うシンガーとして再起を果たし、地元ミュージシャンを大事にするKKVというレーベルから二枚アルバムを出している。さらに、ジャズシンガーとしてSilje NergaardのフルネームでUniversalと新たな契約を結び、ヨーロッパで大成功。1995年のサイト開設以来、ほぼリアルタイムで追い続けている足掛け年のレビューです。

Links:

  1. Silje Nergaard(公式サイト)
  2. 現在の発売元Sony Germanyのページ
  3. Featured Artists: Silje(セリア) (fairgroundさんのVoice of wonder中のSiljeを紹介したページ。)
  4. iTunes Music Storeの Silje Nergaardのページ。KKV盤とUniversal盤が購入出来る

Meja, “Meja” (1996)

日本で馬鹿売れしたソロデビュー作。1曲目“Welcome to the fanclub of love”、2曲目の“How crazy are you?”とポップな曲で責め立て、試聴ブースの人を釘付けにしたはず(憶測)。5曲目“I didn’t know”のしつこいアコギの分散和音バックアップも好きである。

一番のお気に入りは、上のアルバムのとこで書いたのと同じ理由で6曲目の“Rainbow”。Doobie Bros.を思い出してしまうようなアコースティックロック炸裂って感じ。どこかで聴いたことがあるようなコード進行なんだけど、うーん思い出せない。(とここまで書いて30分ほど格闘)で、どうやら38 Specialの”Somebody like you”って曲だったような気がする。

Freya, “Tea with the queen” (1999)

これがデビューアルバム。最初に聴いたとき思ったのは、Lisa Loebっぽいなということ。音作りのアメリカン度と声質なんかからそうい印象を持ったのだろうと思うのだが。同時に、北欧ポップス特有の軽さみたいなものもしっかりと併せ持っていて、心地良し。

1曲目の“It’s already Wednesday”は、なんの実りもなく早く過ぎていく日々を歌ったもので、なんか感情移入してしまうんだな。でも、20歳にしてこんなこと歌っているようでは先が思いやられるなあ、この人。3曲目の“Yellow ladybird”もミディアムテンポのいい感じの曲。もっとも、私としては最後に収録されているacoustic vesionの方が気に入ったけど。4曲目の“Mother”は(Lisa+Alanis)/2って感じだなあ。

5曲目の“Little Miss”、6曲目の“No pity from the flowers”、7曲目の“She was always on my mind”、9曲目の“Tongue tied”なんかは、やはりLisa Loebっぽいアメリカンな作りの音。

通して聴いてみると、ちょっと単調かなという気もするが、私にははまりの音。おすすめです。

 

Solveig, “vegabond squaw” (2000)

意外にあっさり発売になった二枚目。前作を上回る秀作とみた。どこまでもポップ。一曲目の“Mon Ami de I’Ouest”から、60年代後半から70年代前半っぽい音作りで、前作の路線を踏襲していている。どうもこの手の音っていうのは、最近では北欧勢の独壇場になっている感じなのは、私の勉強不足?6曲目の“Untrue”のストリングとホーンのからみなんかは、Swing Out Sisterっぽいしね。いかにも欧州系っていう音。

Joni MitchellやらNeil Youngをバックグランドに持つと日本語のライナーに書いてあるのだが、その片鱗は7曲目の“The same mistake”、9曲目の“How can it be?”あたりに感じられる。Buffalo Springfield的と言えるかな?むしろ直感的には、Neil Youngを後追いしきれていなかった頃のAmericaの音っぽいと思ったけれども。

2曲目の“What love can do”なんかもいい曲だ。

Monica Starck, “Stories untold” (1999)

ジャケットはちょっとレトロな感じで60年代っぽいのかなと思わされるが、むしろ70年代前半の西海岸風の、とても快適なアコースティック・ポップ/ロック。ふとMathew Sweetを思い出してしまうような音の作りである。一曲目の”The trouble with Ben”, 二曲目の”in from the cold”と、生ギターの心地よいカッティングに、歯切れのよいMonicaのボーカルが乗ってくる。そういう意味ではMeja的であるとも言えるかもしれない。

とにかく、スカンジナビアン・ポップスに騙され易いわたしです。しかし、邦盤のボーナストラック付全16曲ってのは、ちょと多すぎであるな。

Meja, “Seven Sisters” (1998)

98年の春にTower Recordsに積み売りされていて、試聴して気にいったのが二枚目のこれ。この人の一枚目が馬鹿売れした年に私は日本にいなかったので、それまで彼女をまったく知らなかったのだ。ひたすら明るいSwedish popsとアメリカの音がうまくブレンドされていて、いいポップスになっていると思う。Swedish PopsはEggstoneの頃から好きだったのだが、まあなんと単純なpop指向なのだろうと自分でもいやになることがあったりするのも事実だ。

個人的には、アコースティックギターのクリアなカッティングと単純な3度のバックアップコーラスとい組み合わせにころっといってしまう体質ゆえ、6曲目の“Lay me down”が一番気に入っている。10曲目の“Caught up in the middle”も大好き。アコギと生ピアノのバックアップに、さびでコーラスとホーンがかぶってくる明るめのポップスで、Chicagoっぽいと言えばいいのかな?

その他にも、聴いていて気持ちのいい曲が並んでいる。1曲目の“Daughter of Morning”は、なかなかかわいらしい曲。ラストの“Seven Sister Road”も、いいロックバラードだ。どうもSeven Sistersというと、以前イギリスに居候していた時に近所にあった白亜の岩場を思い出してしまうのだが、英語ではこの言葉に特別な意味があるのかな?詳しい人教えて下さい。

Silje, “Hjemmefra” (1996)

時代はインターネットが一般に普及しはじめた頃、このアルバムの発売の情報を後追いでキャッチした。日本では未発売、店頭で輸入盤にも出くわさない、困った挙句に出した結論は「ちょうど、Lene Marlinも流行ってることだし、Norwayで現地買い付けしよう」だった。1999.9.3、場所はBergenの小さなCD屋でした。欧米のCD屋では、姓の順に並べられているので、N(彼女の姓はNergaard)のところにあると思っていたら、Sの棚に並んでいた。ジャケットにも”Silje”とだけ入っている。髪はいっそう短くなっております。

このアルバムの新機軸っていうのが、男声のジャズコーラスをバックに手厚くつけた音作り。Norweigianでは”husband”となってて、なんで旦那が出てくるんだと思っていたら、どうやら”house band”という感じらしい(憶測)。正直、私としては前作の方がお気に入りである。

Silje Nergaad, “Port of call” (2000)

本作から。名義はフルネームのSilje Nergaard。KKVを離れて、名門ジャズレーベルと契約。本格的なジャスボーカルアルバムを発売した。ノルウェーで2000年の春、ドイツで2000年秋の発売になり、ジャズチャートでかなり上まで行った。“The Waltz”のように、ノルウェー語で出したアルバムの曲を英語で焼き直したような曲も混じっていたりする。純粋なジャズボーカルのアルバムとして考えれば、そんなに素晴らしい出来と言えるのかなあ?と私は思ってしまうのだが、Siljeだという理由だけをもって許してしまう。

Silje, “Brevet” (1995)

髪をばっさり切ってショートにしているのにはちょっとびっくり。地元Norwayに戻って出したこのアルバムは、涙ものの大当たり。みなこういう音を待っていたはずだ!言葉はノルウェー語でさっぱりわからないが、一曲目の“Brevet”(ノルウェー語で「手紙」の意らしい)から、そのアコースティックなサウンドに泣ける。ちょっとPMGっぽい“SÅ NÆR SÅ NÆR”(邦題は「恋しくて」)もすばらしい。“Nattsang”もいい曲だし、しつこいようだが絶対のおすすめ盤。

CDの日本発売元のオーマガトキは新星堂系のレコード会社だったが、今となってはiTune Music Storeで入手可能なので是非。

Silje, “Silje” (1991)

一枚目のまあまあの成功(特に日本での)に気をよくした二枚目。多分一枚目を支持していた人って言うのはナチュラルな音に好感を持った人たちだったのだと思うのだが、見事にそれを裏切り失敗してる。この一枚をもうちょっと大事に作っていれば、もっと息が長い活動が出来たのにと思うと、残念でならない。“Where you are”はA-ha(どこ行っちまった?)のMorten Harketとのデュエット。

北欧旅行記〜Lene Marlin

1999/8/29, Stockholmにおける出来事。動くLene Marlinを見てしまった。単に”sitting down here”のビデオクリップで、生ギター弾きながら歌っているのを一瞬垣間見ただけなんだが、MTV系不毛の地金沢に住んでいる私にとっては初見である。地元のFM局のTV CM(?)らしいのだが、The Cardigans, Alanis Morissetteに挟まれる格好で登場している、ってことはスウェーデンでもトップシンガーの位置を確立してるってことだよね。やっぱ、すごいよ。かなりミーハー的な行動として、LeneのCDシングルも二枚ほど調達してしまった。結構渋目に仕上がったジャケットです。

1999/8/31-9/5, ノルウェー国内を徘徊。CDの売り上げはさすがに落ちているようだが、それでもどこのCDショップでも20位前後のランクをキープしている模様。ちなみに、アルバムのジャケット写真は日本で売られているものと同じであった。

Norwayは米英系の音楽がそのまま受け入れられるところで(みんな結構まともな英語を喋る)、地元勢のレコードは店の片隅に追いやれているのが現状。その中でチャートに食い込んでいくことは大変そう。地元のTVを結構見たつもりだが、音楽系の番組はほとんど無くて、ビデオでプロモーションかけてくのは難しそうな気がした。アメリカなんかと同様、むしろラジオが強いんだろう。

それにしても、快晴のPreikestolenの上で、Lene MarlinとSiljeを聴きながら昼寝をしたのは、ノルウェー満喫っていう感じで、言いようもなく快感だった。多分一生のうちでも、最も幸せな瞬間の一つだな。

Silje, “Tell me where you’re going” (1990)

デビュー盤。邦題は「やさしい光につつまれて」。Pat Methenyが一曲だけだが参加しているというのでふらふら買ってしまったのだが、一曲目の“Tell me where you’re going”からいいアルバムに当たったと感じさせられた。“Roundabout”もバックのアレンジが気持ちのいい音になっている。“Faces”は、Joni Mitchellからの影響がもろに感じられる一曲。

なんといっても秀逸なのが、Pat Methenyがel.&ac. Gtrを弾いている“Tell me where you’re going”の別テイクであろう。Siljeのボーカルは、ファルセットから地声に戻るときが、何とも言えずセクシーなのだ。ほんと単純に生理的な理由で引き付けられてしまう。

Patのギターも、単純だが印象深いハーモニクスから入り、12弦での開放弦を絶妙に使ったコードカッティング、エレクトリックによるソロと、絶妙すぎる。いまだに良く聴く曲です。

Silje, “Cow on the highway” (1993)

音の作りがちょっとアメリカっぽくなったかな?と思った三枚目。“Cow on the highway”“Break all the rules”“Crazy Ocean”は結構好きな音の作りだ。でも、やっぱりこういう音はアメリカ系の人じゃないと結局はさまにならないのだな、とも痛感させられる一枚。

The Cloudberry Jam, “Providing the atomosphere”(1996)

しょっぱなの“clichés”から、ドライブかかってる。“going further”は、ちょっとSteely Dan入っている感じ。“Nothing to declare”なんかは、結構凝った音の造り。のちにJennieは、「スリーコードの単純な曲をやりたい」と言って別のバンドに走るわけだが、こういうことでストレスが溜まっていったのか、と考えてしまう。“another moment follows”あたりで聞かれるドライブ感は、前作を継承した感じが堪らない。

しかし、邦題の「雰囲気造り」ってそりゃそうだけど、なんだかなあ。

Lene Marlin, “Playing My Game” (1999)

これがソロデビューアルバム。そのpopsのセンスは天才的で、おぢさんはすっかり参ってしまった。顔のつくりもかわいいし。3曲目の“Unforgivable Sinner”が本国で馬鹿売れして高い評価を受けているようだが、私の好みはちょっと違う。

私の一押しは、一曲目の“Sitting Down Here”(これは結局二枚目のシングルとなる)。コードカッティングが心地いい、アコースティックロック。また、声質がいいのだよね。若さゆえの細さと言うか、繊細なところにこれはもう生理的としかいいようのない好印象をもってしまう。6曲目の“So I see”“Where I’m headed”も、乾いたいいソフトロックに仕上がっている。

一方でスローな曲をじっくり歌っている曲も良い。“Playing my game”“Flown away”“A place nearby”などがいい例かな。で、なんと言っても素晴らしいのが“The way we are (acoustic version)”。ピアノだけのバックなのだけれど、声質が声質なだけに、ぐぐっと捉えられてしまう。この曲でアルバムを締めるなんて卑怯だと思う。これじゃあ何年でも次回作を待つわな。

あと、符割りがちょっと変わっている、という特徴がある。子音の発音が弱いという特徴と相まって、私の英語力では歌詞をうまく単語に分解できないのが悔しい。