ようやく入手した4年ぶりの新譜。デビュー作の成功というプレッシャーの中で、18歳が22歳に成長したその軌跡が伺えるアルバム。日本で前作並みの商業的な成功をおさめられるかどうかは疑問だが、間違いなく傑作だ。まず、音の作りが大きく変わったことに気が付く。前作では、歌詞をぎゅうぎゅうに詰め込んだ譜割りだったが、本作はゆったり。すかすかの音符の歌のバックに、細かい刻みのギターが入る。このギターも前作はコードカッティングが主体だったのが、本作はアルペジオが主体。U2的な音の作りなのだ。じっくり歌いこんでいて、angel voiceが染みてくる。
このアルバムの特徴は、シングルカットされた“Another day”とか“you weren’t there”、あるいは“from this sky”などに端的に現れている憂いを帯びた曲にあると思う。個人的には、前作に触発されてNorwayを訪れたときの街の印象や、このアルバムが出た直後に訪れた秋のスイス(見事に蹴られた就職の面接)の街並みの印象と重なるのだ。“faces”とか“my love”も同じように良い曲だ。“whatever it takes”なんかは、アコギのカッティングが心地よいいい曲だ。実は苦しんで苦しんで、ようやく産み出したこのアルバムが、私にとっての彼女の最高傑作になるのかもしれない、と、三作目の発売時にこれを聴き直してみてそう思うのであった。
[2003.12.15追記] ノルウェー本国のシングルチャートであるhit40.noによれば、ファーストシングルだった“You weren’t there”は、10週以上トップをキープした。二曲目の“Another day”は出足不調なようだが、トップ10に二曲同時にチャートインしているのは、地元アーティストとしては、やはりすごい。