すべてのアルバムに深ーい思い入れがある割には、CDへの買い替えが進まないのはこのセットを購入してしまったからなのだ。CSN(&Y)の大部分の作品と、ソロ作などがてんこもりのお買い得品。これを買わずして、というセットである。
実はCSN&Yには”Human Highway”という「幻の一枚」がある。1974年にレコーディングが完了し、ハワイでジャケットの撮影までしたのに、結局発売が流れてしまったアルバムだ。Crosbyをして、「あの一枚に比べたら、”Déjà vu”なんてがきのお遊びみたいなもの」と言わせしめた作品らしい。噂には聞いていたが、別テイクがその後のCSN(1977)やCrosby and Nashのアルバムに収録されたり、一曲だけがNeil Youngのソロ作に流出した以外は、闇に葬られていた。が、このコンプリートセットには、その「蔵出し音源」が収録されているところが聴き所。このセットについているリーフレットには、その使われなかったカバーフォトが載っている。
たとえばdisc3の“See the changes”は、四人がクレジットされており”CSN”(1977)に収録されたのとは異なるバージョン。私がCSN&Yの作品として一番好きなのが、このアルバムだけに収録されている“Homeward through the haze”なのだ。Crosbyの作品なのだけれど、なんとも形容しがたく良いのだなあ。コーラスばりばりって曲ではないのだけれど、Crosbyの楽曲の力はやはりすごい。“Taken at all”も、Crosby and Nashのアルバムに収録された曲だが、StillsとYoungが参加した別テイクが収録されている。素晴らしい出来。