Pat Metheny Group, “First Circle” (1984)

名盤です。その割には、カセットの時代から更新してなくて、改めて聴き直してみると「なんでこんな重要作品を更新してなかったんだ?」と思う一枚。

“Yolanda, You Learn”, “The First Circle”, “If I Could”が続く辺りは圧巻。80年代半ばにライブに通ったワタシ的には非常にはまります。”The First Circle”のスチール弦と、”If I could”のガッド弦のコントラストが何とも言えないのです。

最後の”Praise”は、題名通りに賛美歌テイストがちょっと入った曲。アコギのカッティングが非常にカッコ良い。好きだなあ。

2010/08/10 渋谷TSUTAYA

Pat Metheny, “Watercolors” (1977)

Pat Metheny名義ながら、Lyle Maysと組んだ最初の作品。もう30年も前のアルバムになるんだな。

Jazzを解さない私としては、1. “Watercolors”, 4. “Lakes”の、二曲が好き。透明感あふれるというか、ドビュッシーっぽいというか。5. “River Quay”も結構好き。7. “Sea Song”のLyle Maysのピアノっていうのは、いかにも彼の色が出ているね。

学生時代の短い期間、遠距離恋愛というのに没頭した時期がありました。電子メールなんてない時代だから、便箋10枚を超える手紙が週に一度くらい行き交ったわけだが、彼女のこのアルバムに関する感想は、「さらりと流れてしまった」だったのを強烈に記憶している。「綺麗っぽく作っただけで、記憶に留まるような引っかかるところがない」と言いたかったのだと思うし、多分それは正解なのだろう。これとは別に、研究室の先輩はPat Methenyを「環境音楽だよね」と総括していた。これもきっと正解。

なのに、20年以上経った今もこのアルバムを聴いている私。騙されやすいってことかね。

Joni Mitchell, “Shadows and Lights”(1980)

Jaco Pastrias, Michael Brecker, Pat Metheny, Lyle Mays等が参加したライブアルバム。これは映像作品としても発表されている。Patは当時まだ売り出し中で、JoniのパートナーだったJacoのおまけとしての参加という感はぬぐえない。しかし、ビデオは、初期のPatの映像を堪能できる貴重なものとしても嬉しい存在だ。もちろんJoniのすごさは言うまでもなし。

 

Noa, “Noa” (1994)

Pat Methenyが自らのプロダクションからデビューさせたイスラエル出身のシンガーNoa。ファーストのプロデュースを、Pat自身が手がける。何曲かはPat Metheny Groupがバックで演っている。Noaのバックグラウンドである中東の音と、アメリカンサウンドの調和が素晴らしい一枚。

Patの直接参加はバックボーカル(!)での一曲のみであるが、Lyle MaysのKeyboardが初期のPMGを思い起こさせる、素晴らしく優しい音に仕上がりっている。私のおすすめは2. “Wildflower”, 7. “Lady Night”, 9. “It’s Obvious”である。Noaの歌と、Lyle Maysのピアノ・シンセのからみがめちゃくちゃ泣けるのだ。特に初期PMGファンは必聴。

上の3曲のほかにも、10. “Desire”もおすすめ。

Pat Metheny, “Pat Metheny Group” (1978)

グループとしての二枚目。初期の最高傑作だと私は思う。最初の二曲が特にすごい。

“San Lorenzo”のイントロでは、ギター・ピアノ・ドラムのシンバルがなんとも言えないハーモニーを織り成す中で、ベースラインが動き出す、その音の拡がりが何ともたとえようがなく素晴らしいのである。大学院の最初の年だったろうか、夏休みの帰省中に、道東にヒッチハイクに出かけたことがある。札幌からは釧路へは夜行列車で向かったのだが、ちょうど海沿いの線路に出たあたりで朝日が昇り出した。そのときにちょうど聴いていたのがこの曲。ちょっと締まった朝の空気と、その光と、拡がりのある音が自分の中に作り出したものを、15年以上経つ今でも、忘れることができない。それ以来、気に入った景色の中にいるときは、必ずこの曲を聴いてしまう。常時携行アルバムだった。

“Phase dance”も、やはりすごい曲。これを聴いてからというもの、自分でギターを弾くのはやめよう、と思ってしまったのだ。それほど、自分にとっては決定的だったアルバムであった。

Pat Metheny Group, “Offramp” (1982)

たしか、「愛のカフェオレ」とかいう、とんでもない邦題を付けられたアルバム。このアルバムで聞き逃せないのは、James Taylorを意識して書いたという“James”。なんとも言えず優しい音で、忘れえぬ曲。最近のアルバムでも再演されていることが多く、ファンの多い曲らしい。

Pat Metheny and Lyle Mays, “As falls Wichta, So falls Wichita Falls” (1981)

Pat Metheny Group名義ではなく、二人の共作という位置付け。実は結構退屈してしまうアルバムなのだが、一曲挙げておかねばならないのが、“Ozark”。Lyle Maysの超絶テクのピアノプレーに、Patの単純なアコースティックギターがかぶる不思議な作品。ライブなどでは取り上げられこともない作品なのだけれども、私としてはPMGがらみの中ではかなりの上位に来る曲だ。

Pat Metheny Group, “American Garage” (1979)

ECMなどというヨーロッパ系のレコード会社と契約し、録音もオスロなどで行われることの多かったPMG。トレーラーハウスの並ぶこのジャケットに、「おれたちアメリカ人」という自己主張を感じてしまう。

とにかく全曲外れなし。特に、4. “American Garage“のイントロにはしびれますね。

Pat Metheny Group, “Still Life (talking)” (1987)

Methenyを狂ったように聴き出したのが86年のことだったと思う。それ以降で最初のスタジオ・アルバム。ブラジル系の音への傾斜が鮮明な時期の一枚。しかし、一番気に入っているのは、のどかにアメリカンしている3. “Last Train Home”。ドラムがひたすら、汽車のしゅぽしゅぽを刻みつつ、シタールっぽいギターシンセでPatが歌いまくるのだ。そして曲の後半でかぶってくるコーラスが新機軸。そしてフェイドアウトで汽車は通り過ぎていくのだ。1. “Minuano (Six Eight)”, 2.”So May It Secretly Begin”ともちろん素晴らしい。ラストの“In her family”も泣ける。

Pat Metheny, “Secret story” (1992)

これはPatのソロ作。しょっぱなの“above the treetops”がカンボジアサウンドで面食らうのだが、続く“facing west”は、PMG以上にPMGしているんじゃないか、と言う曲。“The longest summer”が、本当に泣ける。ピアノを弾くのはLyle Maysではなく、Pat Metheny自身。これが、ピアノであってもPatの音なのだ。これには本当に驚いてしまった。これにかぶってくるギターシンセにも、ぐぐっと来る。続く“Sunlight”も、PMGっぽいとてもきれいな曲。

後半は、Pat自身が「とにかく哀しい音にした」と言っている部分だ。しかし、“See the world”は、やはりPMGっぽい佳曲。ソロと言いつつ、PMGの面々がバックを固めた時が一番なのだ。日本人として聞き逃してはならないのが、“As a flower blooms (I am running to you)”。曲の最後でバックにひっそりとかぶってくるボーカルは矢野顕子。歌詞はちゃっかり日本語なのだ。これを楽しめるのは日本人の特権であるから、せいぜい楽しもう。

しかしこのアルバムが出た頃の雑誌のインタビューでは、Patは「PMGではやりたいことはやり尽くした。」的な発言をし、Lyleは一流ミュージシャンをゲストに揃えたこのアルバムに嫌味を言うなど、非常に危ない空気が伝わってきたのだが、何故か10年経った今でもPatとLyleは一緒にやっている。めでたしめでたし。

Pat Metheny Group, “Letter from home” (1989)

これは中期を代表する名盤。このアルバムが出た夏は、ほんと、この一枚で乗り切った記憶がある。“Have you heard”に始まり、“Every Summer Night”はピアニカとボーカルが妙にはまる曲。Brazilianしきってる“Better days ahead”は、軽快かつ美しく、記憶に残る曲。同じくラテンしてる“Beat70”もピアニカとギターが軽快で、とにかく抜けのいい曲。“Dream of the return”も美しい曲だし、外れ曲のほとんどない一枚。必聴。