グループとしての二枚目。初期の最高傑作だと私は思う。最初の二曲が特にすごい。
“San Lorenzo”のイントロでは、ギター・ピアノ・ドラムのシンバルがなんとも言えないハーモニーを織り成す中で、ベースラインが動き出す、その音の拡がりが何ともたとえようがなく素晴らしいのである。大学院の最初の年だったろうか、夏休みの帰省中に、道東にヒッチハイクに出かけたことがある。札幌からは釧路へは夜行列車で向かったのだが、ちょうど海沿いの線路に出たあたりで朝日が昇り出した。そのときにちょうど聴いていたのがこの曲。ちょっと締まった朝の空気と、その光と、拡がりのある音が自分の中に作り出したものを、15年以上経つ今でも、忘れることができない。それ以来、気に入った景色の中にいるときは、必ずこの曲を聴いてしまう。常時携行アルバムだった。
“Phase dance”も、やはりすごい曲。これを聴いてからというもの、自分でギターを弾くのはやめよう、と思ってしまったのだ。それほど、自分にとっては決定的だったアルバムであった。