Jewel, “Spirit” (1998)

泥臭いフォークの残り香が漂う、しかししっかり90年代している、とてもアメリカンな素晴らしいアルバム。(商業的に成功してる人の中では)Alanis MorissetteSheryl Crowがロックっぽい路線を代表するとすれば、JewelとLisa Loebが、アコースティック路線を支えている、というのが私の捉え方。

しょっぱなの“Deep water”から、非常に良いのだ。James Taylorっぽくもあるし、Lisa Loebっぽくもある。ピッチもデビュー盤と比べて格段に落ち着いて、非常に安心して聴ける。“What’s simple is true”“Hands”と良い曲が続く。“Down So long”は、音使いがCrosby and Nashっぽいかなあ、と思う。“Enter from the east”は、これはもう初期Joni Mitchellとしか言いようがないですな。Pedal steel Gtr.が印象的な“Barcelona”なんかは、初期EaglesとかJackson Browneっぽさも感じさせられる70年代西海岸サウンド炸裂って感じ。ドラムの音が、またいかにもそれらしい。

と、ここまで書いて気付くのだが、特に新しいことをやってるわけではないのだ。しかし、80年代にすっぽり抜けてしまったこういう音作りを、90年代にしっかりもう一度やってくれた、というところに共感してしまうのだな。私は70年代の音が好きだったのに、80年代に青春を過ごしてしまった人間だから。