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Epo

EPO, “Wica”(1992)

正直な話、上記の“Fire & Snow”がぴんと来なかったので、発売された時には購入しなかったのだ。発売から12年も経ってから、レコファンで入手してはじめて聴いた。全くもって、失われた12年を呪ってしまうようないいアルバムなのだ。

全曲とも、EPO自身の作詞・作曲。「花」でのピアノはEPO自身。はるか前に、ライブでピアノを弾き語る姿を見たことがあったが、なぜ自分のアルバムでは演じないのだろうと不思議に思っていた。「汽車」では、以後延々と続くChoro Clubの笹子さんとのコラボレーションが聴ける。「ジェラシーと呼ばないで」は、以前からのEPOの路線の音を踏襲しつつも、詞の面では今に続く新しい世界が開かれつつあったんだな、と今になって感じさせられる。「百年の孤独」は、後に“air”にも再録されるのだが、自分の歌詞の世界をしっかり広げだしていることが感じられる。「見知らぬ手と手」はずっしり重い曲を、さらりとしたメロディー(どこか「音楽のような風」を思い起こさせる)に乗せて、ピアノ弾き語りで歌いきった佳曲。

音的には、従来からのポップス、ブラジリアン、アジアンと、多少まとまりが悪い部分もあるが、現在に至るEPOがこの辺りで芽吹いたのだな、ということがわかって、それも一興。