The Indigo, “My fair melodies” (2002)

発売後しばらく経って気づいて購入したのだが、なんと全曲とも英語曲のカバーという一枚。このグループの音楽的背景がよくわかる一枚。変な英語を歌詞に入れ込まないところがいいと以前書いたが、英語のときはきっちり英語で勝負してくるというその姿勢におそれいる。田岡美樹の英語だが、アクセントはかなりきれい。

選曲も、原曲の年代がまちまちで面白い。もちろん、知ってる曲も、知らない曲もあるのだが、一曲目がいきなりCarole King“I feel the earth move”で、「えらい、渋いところ突いてくるのぉ」という感想を持った。それにしても、市川氏のアレンジは、やはり素晴らしい仕事なのだ。

カーペンターズが原曲の“Rainy days and mondays”なんかは、どうしても原曲に負けてしまっている。しかし、カレンのphonogenicな声質(あるインタビューで、カレンのレコードに乗りやすい声質をRichardがこう表現していた)と比較しては、それはやはり酷というものだろう。

Suzanne Vegaの“Luka”を取り上げていたのには、ふと学生時代が懐かしく思い出された。元の歌詞は幼児虐待を扱ったシビアなものだったと記憶しているんだけど、仕上がりは上質のポップ。

Minnie Ripertonの“Lovin’ you”にチャレンジしているのも、なかなか面白い。原曲の高音域ボーカルとは大きく異なり、中低音域で抜いたボーカルでこの曲を歌い上げるというのは、なかなか意表を突いた攻撃だ。

原曲の解説などについては、the indigoの公式サイトにあるこのアルバムを紹介しているページ中の、田岡美樹筆のライナーノーツの方が参考になる。ご一読あれ。