彼女のデビューアルバムであり、かつ彼女の最高傑作。この頃に女性ロッカーが出始めていて、当時の教祖様は「六本木心中」で当てたアンルイス。これに対して地道に人気があったのが白井貴子で、渡辺美里は「白井貴子の妹分」として売り出されたと記憶している。同時期に中村あゆみや小比類巻かおるが出てきたという時代であった。
このアルバムの中では、“Growing up”, 「すべて君のため」、「悲しいボーイフレンド」、そしてタイトル曲の“eyes”が秀逸。曲を提供しているのも、小室哲哉・木根尚登のTM勢、大江千里、岡村靖幸、白井貴子と豪華な顔ぶれ。特に小室哲哉が重要な役割を果たしていて、彼自身にとってもプロデュース業で最初に収めた大成功だったと記憶している(TMが商業的に成功したのはこの数年後)。
これ以後のアルバムと比べると、シンガーとしてのテクニック的には劣る。速い曲では若さに任せて勢いで歌いきっているけれども、特にスローな曲であらが目立つ。しかし、声が圧倒的に若いのだ。これが何事にも代え難い!そして、このアルバムの翌春に、あの名曲“My Revolution”が出て(「セーラー服通り」で使われたんだな)、渡辺美里は時代の寵児になっていくのであった。