Soy, “Soy2” (2000)

きっと20年以上経っても、時折CDキャビネットから引きずり出して聴いてしまうアルバムだろう。そう確信させられる一枚。西海岸っぽいアコースティックロックとアメリカンポップスが絶妙に混じりあった感じが心地よい。

彼らを知ったきっかけは、ある日ふと気になって「佐橋佳之」のキーワードでインターネット検索をかけてみたことだった。佐橋氏は言うまでもなく渡辺美里の初期作品やライブで中心的な役割を果たしていた、アコースティックな音が偉くかっこよかったギタリストである。探し当てたサイトにはこうあった。「現在『山弦』というギターユニットと、それにさらに元ランパの平松八千代を加えた”Soy”というユニットでの活動をしている」。ランパ・・・「イカ天」に出ていたなあ。あのボーカルの落ち着いた声は好きだった。10年以上経過して私の好みも変り、あの声質はいっそう好きになっている。そういう思いが瞬時に頭をかけめぐり、このアルバムはメンツを聞いた時点で(実際に聴いたことがないにも関わらず)「買い」候補の筆頭へと躍り出したのである。

で金沢郊外のCD屋で探し当てたのが彼らの二枚目にあたる”Soy2″。アコギ二本のからみから始まる一曲目「おしえて」から、すっかり狂喜乱舞状態に陥ってしまう。「リベルテ」は、Steven Stillsっぽい音作りにこれまた狂喜乱舞。「恋に似ている」は、とてもきれいな高音域が聴ける。さび前の曲想は大貫妙子っぽいなかな?「嘘は罪」では、中音域が生理的に気持ちいい。いまどきのお子様シンガー達にはこういう世界は作れないだろうなあ。「ひなぎく」“SUBWAY”「遠い日」は80年代中期のEPOのスローな曲っぽい。「雪降る街でノースリーブ」EPOのポップス路線時代の曲っぽい。そういえば佐橋氏って高校はEPOと同窓で、業界デビューはEPOのレコーディングだった筈、と思い出してしまった。「EPOっぽくて良い」と私が書いていると受け取られると、それはちょっと不本意。声質では八千代さんが上をいっていると思うし、テクニック的にもまったく遜色ない。

アコースティックギターフリークの方々にもこのアルバムはとてもお勧め。計算しつくされたアコースティックギターワークと、声質最高の女性ボーカル。こんなグループがあればいいなと思っていたのが実現されてしまうなんて、邦楽もなかなか捨てたものでないなと思った次第。