Sara K., “closer than the appear”(1992)

「生音で勝負、オーバーダブはしない」を売りにするChesky Recordっていうレーベルから出ている。アコースティックベースとピアノのみのバックという構成の曲が多く、録音が私にとっては前代未聞の良さ。歌の細かいニュアンスというのか、ダイナミズムがストレートに伝わってくる。「歌って人間が奏でるものなのだな」などという当たり前のことを、改めて思い知らされます。とにかく真面目な一枚。部屋にこもって一人で聞きましょう。スピーカーの前に正座して。

上に書いたようにJoni Mitchell系っぽい音の作りなのだが、尖った感じの曲はない。安心して聴けるけれども、だれたりもしない絶妙なところを突いている感じ。一曲目の“miles away”なんかは、アメリカの西の方の雰囲気が伝わってくる。“Make Believe”とか“What’s a little more rain”みたいなスローテンポの曲が、この人の最高の持ち味なんじゃなかろうか。とにかくすごい。最後に収録されているのがBob Dylanの“like a rolling stone”なんだが、見事にSara K.の世界になっちゃってます。