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平松八千代 (LANPA, SOY)

平松八千代、”Travelling Soul” (2004)

長いキャリアの中でも、これが初ソロ作ということになる。あまり店頭では遭遇せず、5店目くらいの横浜西口のHMVでようやく購入した。最初の正直な感想は、「微妙なアルバムだな」であった。正直、Soy時代の八千代さんを知らなければ、おそらく購入していなかったと思う。どうもアルバム全体を通じて突き抜けきらない感じがするのは何故だろう、と随分考えた。曲がいまいちなのか、アレンジの問題なのか、歌い方なのか、声質の変化なのか、録り方の問題なのか、と。ヒントになったのは、「抱きしめたいのに」とか“Rescue Me”だった。いわゆる、「英語歌い」というやつか、日本語として響いてこないのだ。また、声域の広さを過剰に意識したのか、ワンフレーズ中でかなり音域の飛ぶ曲がかなりある。八千代さんの場合、シームレスに全部の音域をカバーするのではなく、それぞれの音域をそれぞれちょっと違った歌い方でカバーするタイプなので、音域の飛ぶフレーズはぶち切れに響いてしまう感がある。

そういう点から見ると一番出来の良い曲は、桑田佳祐の“Journey”のカバーではないかと思う。長めの文節からなる歌詞と、ゆったりしたメロディーの動きが八千代さんには合っているように思う。「これは日本語か?」とデビュー当時物議を醸した桑田さんの曲だというのが皮肉なところだ。

などと、ちょっと不満を持ちつつ、購入後数日を過ぎると、“You are like the sunshine”のメロディーを口ずさんでいる自分に気づく。“Back to me”なんかも、Love Psychedelicoっぽいなと思うけど、好きな曲だ。“Love is blue”あたりは、Indigoっぽくもあるが、やはり良い曲。何だかんだと言いながら、結局はまってしまっている自分。やはり八千代さんは素晴らしいのです。