Swing out sister, “better to travel”(1986)

Swing out sisterは、同じアルバムの中でも曲の好き嫌いは激しいし、どのアルバムにも気に入った曲はあるので、とても難しい。そんな中で、鮮烈な印象という観点からするならば、やはりこのデビュー盤を一番に挙げたい。

この当時は、electricな打ち込み系ニューウェーブと、その対極にあるゴツゴツしたロックンロールバンドが栄えていた。そこに、Swing out sisterが出て来た。ホーンを旨く採り入れたスウィングジャズっぽいアレンジがちょっと昔に戻った感じのゴージャスさを持っていて、上質のポップスがイギリスから出てきたな、という感じだった。

でも、そういった音自体の他に、私がのめりこんでしまった原因はプロモビデオだったなあ。一曲目の“breakdown”のビデオで、ちょっと大柄な、ショートボブのねーちゃんがとびきりのsmiling faceを見せていた。それがCorinne Dreweryだったんだな。イギリスに一夏滞在したこともある私だが、Britishの女性であれだけいい笑顔を見せる人に実際に会ったのは一度だけ、御用達の銀行の窓口のおねーちゃんの営業スマイルだけだ。

その他のおすすめとしては3曲目の“after hours”なんかだろうか。何とも不思議な世界なのだ。Swing Outのスローテンポの曲はいくつかいいのがあるんだけど、とにかく引き込まれてしまうんだよね、何故か。