Jackson Browne, “Running on empty” (1977)

ライブ収録が多いのだが、ライブ盤と言うよりは、ロードムービーの音楽版という感じだろうか。タイトル自体は、車のガスタンクが殆ど空の状態で家とスタジオを往復していた、というところから来ているらしい。

表題曲の“Running on empty”から涙ものなのだ。ピアノでロック弾き語るのが、なんともいえずカッコいいのだ。“The road”もDavid Lindreyが泣かせてくれる。“The load out”のJacksonとDavidの絡みも、ずっしり重い。と思っている間に音がだんだん厚くなってきて“Stay”へ流れ込んでいくのだ。Rosemary Butler(「幻魔大戦」のテーマ曲を歌っていた)の絶叫もすごい。

Jackson Browne, “For everyman” (1973)

Jackson Browneの二枚目にして、初期の最高傑作。本作に加わったDavid Lindleyは、以降JBの作品に欠かせないキーパーソンとなる。アルバムは、The Eaglesのヒットとして知られる1.“Take it easy”から始まる。ドラムが16ビートを刻んでいるところ、David Lindleyのスライドギターが効果的に使われているところが、がイーグルスバージョンとの大きな違いか。4. “I though I was a child”もSSWとしての本領を発揮した名曲。5. “These days”はJBの曲の中でも最も好きな曲の一つ。最初に触れたのは、New Grass Revivalによるカバーバージョンでしたが。6. “Redneck friend”はあまり好きな曲ではないが、キーボードがElton Johnだってのが特記事項。9. “Sing my songs to me”も佳曲。タイトル曲でもある10. “For everyman”は、David Crosbyへのメッセージとして書かれた曲。everymanは「どこにでもいる当たり前の人」と訳すらしい。「この場に踏み止まり生きていく」ことを、内向きな表現ながら、強い社会的メッセージを発した曲だそうだ。

Original Soundtrack, “No Nukes” (1979)

西海岸系のアーティストによる反原発コンサート。下に示すようなメンツなので、聞かないわけにはいかないアルバム。これは映画にもなって、東京に出たての頃だったろうか、レーザーディスクを上映する渋谷の飲み屋までわざわざ見に行った記憶がある。しかし、選曲のせいだろうか、メンツの割には正直面白くないアルバムだと今になると思う。しいてお勧めするのは The Doobie Brothers with John Hall & James TaylorというメンツでのJohn Hallの名曲、5. “Power”だ。

Woodstock, Bangladesh concert, No Nukes, Live Aid…….ロックで時代が変わると信じてられていた熱気も今は昔。

Jackson Browne, “Saturate before using” (1972)

衝撃のファーストアルバム。 一番ヒットしたのは4. “Doctor my eyes”。ワタシ的には、2. “A Child In These Hills”、5.”From Silver Lake”あたりが好き。

しかし、なんと言ってもJBが天才たる所以は、デビューアルバムの冒頭に1. “Jamaica say you will”はを持ってきてしまえるところだと思う。ピアノ弾き語りで始まる曲だが、この曲が気にいって何十回と聞いていると、三番からかぶってくる裏でかすかに聞こえているアコースティックギターのバッキングがふっと気になりだす。ピ アノ・ベース・ドラムで十分厚い音の中、ふっと聞こえてくるアルペジオは、 明らかにフラットピックでつま弾かれたものであり、「クロスピッキング」と いう単語が頭をよぎる。気になりだすといろいろな発見があるもので、 何やらベースランのような音も聞こえて、しかも全部ダウンピッキングでたたきつけているようだ。ちょっと弦がびびり気味で、特に4弦開放のDの音で顕著。妙にシンコペートしたところも耳につく。これはあの人ではないか?そう思って 聞いてみると、決め手がある。二音同時にピックではなく指で引っかけているような音が聞こえるフレーズ。この奏法は、 Muleskinnerの”Dark Hollow”の中でも聞かれたやつである。

そう。この曲のバックのアコースティックギターは、ひそかにClanrence White。The Byrdsが”Byrdmaniax”でも取り上げています。

 

Original soundtrack, “Fast times at Ridgemont high” (1982)

邦題が「初体験リッチモントハイ」というB級青春映画のサントラ。フィービーケイツが脱いでいたなあ。でも、このサントラの面子はすごいのだ。Don Felder, Don Henley, Timothy B. Schmidt, Joe WalshのEagles勢(解散直後だったのだ), The Go-Go’s, Stevie Nicks, Donna Summer, Sammy Hager(のちに Van Halenに参加)と、そうそうたる顔ぶれ。

そんな中で、Jackson Browneの“Somebody’s baby”はシングルカットされ、Radio & Recordsのチャート(テレ朝系”Best Hit USA”で採用されていた)ではトップを獲得した。なんともJacksonらしからぬ軽薄な歌詞・メロディーなのだが、好きなんだなあ。最初にテレビを通じて見た「動くJackson Browne」だったから。大学受験直前の冬のことでした。

 

Jackson Browne, “Hold out” (1980)

Jacksonにとって初となるビルボード1位獲得アルバム。私の大学一年の二学期は、もうこのアルバムにどっぷり、という時期で、忘れがたいアルバム。このアルバムがわかるようになった、ということが、自分にとってはちょっと大人になった、ということを意味する出来事だったように思う。

“hold out”のピアノとハモンドの絡むイントロから泣ける。“Boulevard”、単純ながらとてもかっこよいイントロから、上質のロックンロールへと流れ込んでいく。“Call ir a loan”のDavid Lindleyのギターも泣ける。また歌がいいのだ。そして、ピアノのイントロから始まる“Hold on Hold out”のかっこよさは、筆舌に尽くしがたい。

とにかく、色々なことが思い出され、キーボードを打つ手が止まってしまう、そういう一枚。音楽を聴くということは非常に個人的なことであって、他の人にはどうでもいい、どうにもわからない、と言っても、本人がいかんともし難い重みを感じてしまう一枚があったりするわけだな。