The Indigoの7枚目。市川さんのある種豊富すぎるアレンジのバリエーションが、逆に器用貧乏っぽい印象を最近数枚は受けていたのだが、本作はデビュー盤に近いアコースティックロック/ポップス路線で、僕的には非常に好きな音になっているのだ。特に、2. “waiting for you”, 4.“I’m busy”, 8. 「あの雲をつかまえて」あたりは、音的には好き。11. “Just the way you are”はBilly Joelの名曲と同タイトルだが、カバーではなくオリジナル。しかし、音が好きなわりにはのめりこめないのは、歌詞の問題だろうか。特に英詞の部分は曲から浮いてしまってますね。
カテゴリー: 田岡美樹 (The Indigo)
田岡美樹をリードボーカルとするThe indigoのアルバムをレビュー。女性ボーカルレビューサイト My Favorite Female Singers
The Indigo, “My Fair melody 2” (2004)
Satisfaction”, Americaの「名前のない馬」、Van Halenの“Jump”と、好きな曲が並んでいたので期待したのだが、ちょっと遊びすぎですね、これは。まあでも、アコースティックっぽくまとめた“Jump”は、なかなかかも。
The Indigo, “Song is love” (2004)
ちょっと油断をしていたすきに、二枚アルバムが発売になっていた。一枚飛ばして、オリジナルとしては5枚目となる最新盤を先に購入。全体的に、夏を強く意識したアルバムの作りになっているように思われる。
“kiss in the sky”からアルバムは始まる。極端に上手ではないけれど中低音でじっくり聞かせる田岡美樹のボーカルが冴える。ゆったりサウンドから私が思い出したのは80年代初頭のAORグループSneaker。夏の昼下がりにぼーっと聞くのにふさわしい。続く“squall”は、ボサノバっぽいリズムの刻みで、これまた心地よし。「恋の魔法」は、生ギターのカッティング、ブラスのアレンジが心地よいポップ・チューン。“miracle”なんかは、とてもIndigoらしい曲だ。(ちなみにイントロからは、EPOの「無言のジェラシー」が思い出される)
The Indigo, “My fair melodies” (2002)
発売後しばらく経って気づいて購入したのだが、なんと全曲とも英語曲のカバーという一枚。このグループの音楽的背景がよくわかる一枚。変な英語を歌詞に入れ込まないところがいいと以前書いたが、英語のときはきっちり英語で勝負してくるというその姿勢におそれいる。田岡美樹の英語だが、アクセントはかなりきれい。
選曲も、原曲の年代がまちまちで面白い。もちろん、知ってる曲も、知らない曲もあるのだが、一曲目がいきなりCarole Kingの“I feel the earth move”で、「えらい、渋いところ突いてくるのぉ」という感想を持った。それにしても、市川氏のアレンジは、やはり素晴らしい仕事なのだ。
カーペンターズが原曲の“Rainy days and mondays”なんかは、どうしても原曲に負けてしまっている。しかし、カレンのphonogenicな声質(あるインタビューで、カレンのレコードに乗りやすい声質をRichardがこう表現していた)と比較しては、それはやはり酷というものだろう。
Suzanne Vegaの“Luka”を取り上げていたのには、ふと学生時代が懐かしく思い出された。元の歌詞は幼児虐待を扱ったシビアなものだったと記憶しているんだけど、仕上がりは上質のポップ。
Minnie Ripertonの“Lovin’ you”にチャレンジしているのも、なかなか面白い。原曲の高音域ボーカルとは大きく異なり、中低音域で抜いたボーカルでこの曲を歌い上げるというのは、なかなか意表を突いた攻撃だ。
原曲の解説などについては、the indigoの公式サイトにあるこのアルバムを紹介しているページ中の、田岡美樹筆のライナーノーツの方が参考になる。ご一読あれ。
The Indigo, “sound of fragrance” (2002)
早いものでもう四枚目なのだ。生ギターのカッティングで組み立てていくような音作りは影を潜め、ホーンを使ったアレンジが多くなっているのだが、それでもやはり市川さんの仕事は素晴らしい。
しょっぱなの「永遠の愛」から、indigoサウンド炸裂。「といかけ」から「素晴らしい明日」に続くあたりなんかは、カーペンターズですねえ。「夏の雨」の最初のメロディーは、山下達郎の”downtown”っぽいかな。
“stay”は、このアルバムでは唯一と言ってもいい、アコースティックな薄い音の作りの曲なのだが、素晴らしい。力の抜けた田岡美樹のボーカルがいいね。
The Indigo, “Records” (2001)
プラスティックケースを開けて、いきなり「はっ」と思った人は、昔からの洋楽マニアの人でしょう。CDのラベルが、Atlanticレーベル(CSN&Yなどを手がけていた)のLPのそれを模したものなのだ。
インストを一曲目に持ってきているのに意表を突かれる。二曲目の「ココロニ」から、ボーカルありのindigoワールド炸裂。四曲目の“pain”は、マイナーコードでの生ギターのカッティングが、どことなく「はっぴいえんど」を思い起こさせられ、とても好きな曲。。五曲目の「恋の女神」は、市川氏がindigoの公式サイトのアルバム紹介でネタばらしをしているが、Doobie Bros.ですねえ。
“She said”, 「夏のプリズム」, “melody”、「電話」と、とにかく佳曲が続く。根強いファンが付くグループでしょうね。田舎暮らしでライブとかに行けないのが残念だ。
The Indigo, “BLUE” (2000)
このバンドで一番気に入っているのが、大仕掛けじゃないんだけど、はっとさせられるアレンジ。アルバムを通して薄目の音が貫かれていて心地よい。一番の決め手は、開放弦の使い方が上手い市川裕一氏のアコースティックギターのコードカッティングで、見事にはまってしまった。国産ロック黎明期のガロ、一時期渡辺美里のバックをしていた佐橋佳幸氏以来久々に出会ったいい音って感じがする。音が薄めだと、必然的にベースラインとかも気になるんだけれど、高木権一氏のベースもいいんだよね。
さて、そんな中での田岡美樹の歌であるが、実にいいとこ突いていると思う。最近女性ボーカルが入っているユニットっていうのはあまたあるけれど、どうもそういう場合の女性ボーカルって「歌わされてる」感じがしてならない。でも、田岡美樹の場合は、完全に自分の世界にしちゃって、自由に歌ってる気がする。わたし的な一番のポイントは、高音域絶唱型じゃないというところ。声質的には、売れまくってるaikoとかに近いかな?
で、このアルバムなんだけれども、外れのない佳曲ぞろい。わたし的に一押しなのが、2曲目の「きかせて」。コード進行が拡がり感をうまく出してるんだなあ。“教えてよ”という単純な歌詞の一節にころっといってしまった。
「大切なもの」は、聞いていてふっと自分の東京での20代を思い出してしまった歌。“limiter”は、エレキギターのエフェクターの音質といい、ハモンドといい、わたし的に一番はまってしまう70年代の後半っぽい音でやられちまいました。“take away”もそんな感じかな?
その他、“blue”, “if”, 「口紅」なんかは、昔のフォークっぽくもあるけれども、確実に現在の音の造りで、うーん絶妙だ。わけのわからん英単語を変なアクセントで入れ込みすぎる時代にあって、日本語を大切にして歌を作ってるところにとっても共感してしまう。これって「はっぴいえんど」的な思考回路?