Lene Marlin, “Twist the truth” (2009)

3/30日付けで本国発売になっていたLene Marlinのアルバムを、日本盤の発売はなさそううな状況でもあるので、iTunes Music StoreでDL購入した。(先行シングルの、”Here we are”については既に本ブログにてレビュー済み)

前作”Lost in a moment”の派手なエレクトリックな音にはがっかりしたが、本作は一転してacousticな音の造り。それにも関わらず、またもがっかりしてしまった。

やはり、デビュー盤のような鮮烈さを、10年を経過して20代後半になり、声質も変わってきた彼女に求めるのは無理なのだろう。薄い生音で勝負した場合、Kathryn Williamsのような人が出てきているだけに、比較するとイマイチなのだ。歌で聴かせきるには、歌唱力・曲の力、どちらも今ひとつ足りないような気がする。

やはり気になるのは、ここ二枚目以降の三作で音の造りがバラバラだということ。いろんな音にチャレンジしてさまになる(たとえばNeil Youngとか)ほどの力はないでしょう。ここは好意的に、単に迷走期なのだと思いたい。いつかきっと自分自身の音を確立して戻ってきてくれるのを、気長に待とうと思う。それはきっと彼女が30代後半くらいになってからだと思うのだけれど。

Lene Marlin, “Here we are” (2009)

Lene Marlinの四枚目”Twist the truth”が3/30に本国で発売になる。今のところ、東芝EMIは何ら反応しているようには見えず、日本盤の発売が危ぶまれる状況。先行シングルである”Here we are”はiTune Music Storeでダウンロード購入が可能な他、My SpaceYouTubeで、全曲視聴できる。

さて、肝心の曲の出来だが、いまいち冴えないなというのが率直な感想。イントロのストリングアレンジを聴いて、こりゃダメだと思った。曲調自体はセカンドの頃に似ている気もするけど、どうにも苦手なリズムの刻みです。声質もファーストの頃とはちょっと違う感じなのが大きいのかな。でも、前作のサードよりはいいかもしれない、って予感はします。

Lene Marlin, “Lost in a moment” (2005)

また、4年も待たされるのだろうとのんびりしていたら、あっさり出てきた新作。日本語版のライナーノーツによれば、サントラ用の単発の仕事が発展して、瓢箪から駒のアルバムに仕上がったそう。ジャケットの写真などを見ると、姿の様変わりに唖然としたりもするのだが、もうデビューから6年も経っているのだから不思議もない。前作での日本のレコード会社のプロモーションはやる気なさげなものだったが、本作ではさらにそれに輪をかけている印象だ。

“How would it be”とか“What if”は、ベースラインがPoliceを思わせるポップな曲で聴きやすい。アコギのカッティングが心地よい“Eyes closed”は、1stの雰囲気を漂わせている。“My lucky day”“All I can say”あたりは、前作の延長線上にある感じなのだが、どことなく明るさも感じる良い曲なのだ。

しかし、全体としては音の作りが派手すぎて、ボーカルが埋もれてしまっているかな、という印象。彼女のさわやかさと今に壊れてしまいそうな繊細さの危ういバランスが感じ取れないのだ。一作目での“Sitting Down Here”や二作目での“You weren’t there”のような、「この一曲で決まり」という曲もなく、どうにも突き抜けきらないのがもどかしい。しかし悪いアルバムという訳でもなく、前作とは打って変わって本人が楽しそうにやっているというところで評価が難しい(無理な明るさかなとも思ってしまうのだが)。ちなみにこのCD、copy-controlledではあるが、私のカーステで無難に再生できました。これはありがたい。

Lene Marlin, “Another Day” (2003)

ようやく入手した4年ぶりの新譜。デビュー作の成功というプレッシャーの中で、18歳が22歳に成長したその軌跡が伺えるアルバム。日本で前作並みの商業的な成功をおさめられるかどうかは疑問だが、間違いなく傑作だ。まず、音の作りが大きく変わったことに気が付く。前作では、歌詞をぎゅうぎゅうに詰め込んだ譜割りだったが、本作はゆったり。すかすかの音符の歌のバックに、細かい刻みのギターが入る。このギターも前作はコードカッティングが主体だったのが、本作はアルペジオが主体。U2的な音の作りなのだ。じっくり歌いこんでいて、angel voiceが染みてくる。

このアルバムの特徴は、シングルカットされた“Another day”とか“you weren’t there”、あるいは“from this sky”などに端的に現れている憂いを帯びた曲にあると思う。個人的には、前作に触発されてNorwayを訪れたときの街の印象や、このアルバムが出た直後に訪れた秋のスイス(見事に蹴られた就職の面接)の街並みの印象と重なるのだ。“faces”とか“my love”も同じように良い曲だ。“whatever it takes”なんかは、アコギのカッティングが心地よいいい曲だ。実は苦しんで苦しんで、ようやく産み出したこのアルバムが、私にとっての彼女の最高傑作になるのかもしれない、と、三作目の発売時にこれを聴き直してみてそう思うのであった。

[2003.12.15追記] ノルウェー本国のシングルチャートであるhit40.noによれば、ファーストシングルだった“You weren’t there”は、10週以上トップをキープした。二曲目の“Another day”は出足不調なようだが、トップ10に二曲同時にチャートインしているのは、地元アーティストとしては、やはりすごい。

北欧旅行記〜Lene Marlin

1999/8/29, Stockholmにおける出来事。動くLene Marlinを見てしまった。単に”sitting down here”のビデオクリップで、生ギター弾きながら歌っているのを一瞬垣間見ただけなんだが、MTV系不毛の地金沢に住んでいる私にとっては初見である。地元のFM局のTV CM(?)らしいのだが、The Cardigans, Alanis Morissetteに挟まれる格好で登場している、ってことはスウェーデンでもトップシンガーの位置を確立してるってことだよね。やっぱ、すごいよ。かなりミーハー的な行動として、LeneのCDシングルも二枚ほど調達してしまった。結構渋目に仕上がったジャケットです。

1999/8/31-9/5, ノルウェー国内を徘徊。CDの売り上げはさすがに落ちているようだが、それでもどこのCDショップでも20位前後のランクをキープしている模様。ちなみに、アルバムのジャケット写真は日本で売られているものと同じであった。

Norwayは米英系の音楽がそのまま受け入れられるところで(みんな結構まともな英語を喋る)、地元勢のレコードは店の片隅に追いやれているのが現状。その中でチャートに食い込んでいくことは大変そう。地元のTVを結構見たつもりだが、音楽系の番組はほとんど無くて、ビデオでプロモーションかけてくのは難しそうな気がした。アメリカなんかと同様、むしろラジオが強いんだろう。

それにしても、快晴のPreikestolenの上で、Lene MarlinとSiljeを聴きながら昼寝をしたのは、ノルウェー満喫っていう感じで、言いようもなく快感だった。多分一生のうちでも、最も幸せな瞬間の一つだな。

Lene Marlin, “Playing My Game” (1999)

これがソロデビューアルバム。そのpopsのセンスは天才的で、おぢさんはすっかり参ってしまった。顔のつくりもかわいいし。3曲目の“Unforgivable Sinner”が本国で馬鹿売れして高い評価を受けているようだが、私の好みはちょっと違う。

私の一押しは、一曲目の“Sitting Down Here”(これは結局二枚目のシングルとなる)。コードカッティングが心地いい、アコースティックロック。また、声質がいいのだよね。若さゆえの細さと言うか、繊細なところにこれはもう生理的としかいいようのない好印象をもってしまう。6曲目の“So I see”“Where I’m headed”も、乾いたいいソフトロックに仕上がっている。

一方でスローな曲をじっくり歌っている曲も良い。“Playing my game”“Flown away”“A place nearby”などがいい例かな。で、なんと言っても素晴らしいのが“The way we are (acoustic version)”。ピアノだけのバックなのだけれど、声質が声質なだけに、ぐぐっと捉えられてしまう。この曲でアルバムを締めるなんて卑怯だと思う。これじゃあ何年でも次回作を待つわな。

あと、符割りがちょっと変わっている、という特徴がある。子音の発音が弱いという特徴と相まって、私の英語力では歌詞をうまく単語に分解できないのが悔しい。