Sophie Zelmani, “Sophie Zelmani” (1995)

これがデビュー盤らしい。見事なまでに(迷走開始前の)Neil Youngで、とてもうれしく思ってしまう。“I’d be broken”などは、その典型であろう。“Always you”“I’ll remember you”のような曲も私は好きだ。本当にAmericanじゃなくSwedishなの?と言いたくなる乾いた音がたまらない。70年代西海岸趣味の人には特にお勧め。

Sophie Zelmani, “Love Affair” (2003)

前作と比較してみると、アコースティック色を一層強めた感がある。音は一層薄くなり、前作で私が面白がったようなアレンジは影を潜めた。Donna Lewisなんかとも共通するロリ声+アコースティックギター一本、などという曲も多い。歌がべらぼうに上手いわけでもなく、かと言ってJoni Mitchellのような強烈で多彩な個性があるわけでもなく、そうなるとアルバムの後半に入ると聞き通すのがちょっとしんどくなってきてしまう。

“September tears”“Maja’s song”“Grand as loving”なんかはいい曲だと思います。

Sophie Zelmani, “Precious Burden” (1998)

デビュー盤も話題になったのだそうだけれども、最初に購入したのがこのアルバムだったもので。

微妙に青っぽいジャケットが印象的。1999年夏に北欧を旅行したとき、店頭でこのジャケットは随分と目に飛び込んできた記憶がある。MejaLene Marlinもそうなのだけれど、スカンジナビアンはこういうのが好きなんでしょうかね?さてこのアルバムだが、Sophieの歌自体はそれなりに良い。本人が書いている楽曲も素晴らしい。しかし、それ以上に気になって仕方がないのが、プロデュースも手がけるギタリストのLars Halapiのプレーなのだ。

最初の曲の“Leaving”は、ギターだけ聴いていると映画「トッツィー」のテーマ曲だったStephen Bishopの”It might be you”を何故か思い出してしまう。“Black Day”の生ギターの多録もとても印象的なのだが、輪をかけてインパクトがあるのが最後にかぶってくるエレキのプレー。「Neil Youngっぽく、わざわざ下手に弾いている」としか思えない。かと思うと、“Precious Burden”のイントロでピアノを弾いているのだけど、これもまたNeil Youngのピアノのような音使いをわざわざしているんだよね。その一方で、“vacation”でのギター二本の絡みは、(あんまり知ってる人もいないと思うけど)Happy and Artie Traumそのものって感じがする。ここまで来ると、心の底から「すげえわ、これは」と言えてしまう。“Before the day’s gone”なんかも70年代初期の西海岸の音を強く意識しているね。

以上、非常に変な観点からアルバムを聴いてみたのだが、素直に歌の方を聞いてみると、上手くもないけど、味があっていいボーカルだ。しかし、やはりsong writingで勝負の人。いい素材(楽曲)を、いいアレンジで助けてもらっている、といったとこだろうか。