「この人、男だか女だかわからん」

と、隣の部屋でテレビを見ていた妻が言うので、怖いもの観たさで近づいてみた。そこに映っていたのは。。。。

The PretendersのChrissie Hynde姐御であった。

しばし絶句。「なんという、とんでもないことを言うのだ。おれの女神様だぞ。」と胸中では思いつつも、黙って見入ってしまったのでした。いくつになっても、ひたすら格好いいのである。引き続いてのThe Doobie Bros.も良かったねえ。2006年のウドーフェスの録画でありました。(実際の会場は、相当面白い状況だったようですが。)

Sheryl Crow, “Live from Central park” (1999)

セントラルパークのライブと言えば、Simon and Garfunkelでしょ、と思うあなたは古い人です。このライブは、Eric Clapton, Chrissie HyndeSarah Mclachlan, Stevie Nicks, Keith Richardsらの豪華顔ぶれでのライブ。

しょっぱなの“Everyday is a winding road”から大変かっちょいい。これは日本ではジーンズのCMかなにかでかかっていたのではなかったか(日産シルビアが正解のようだ[2005.3.1追記])?“Gold dust woman”はStevie Nicksの持ち歌だけど、やっぱりいいねえ。“If it makes you happy”も売れた曲だが、これをChrissie HyndeとSherylが、がっぷり組むかのように歌ってるのは感動ものだ。“happy”での、Keith Richard, Chrissie Hyndeとの揃い踏みも、テレキャスの似合う三人だったのだろうと想像がふくらむ。かと思うと、全くカラーの異なるSarah Mclachlanとも、“The difficult kind”で、ちゃんと噛み合ってるところが面白い。“White room”のClaptonは貫禄と言う以外ないね。これにはSherylも霞みますわ。

The Pretenders, “I’m Not In Love” (1993)

言わずと知れた10ccの名曲を、映画”independet proposal”のサントラでカバー。それがシングルカットされたものらしい。2曲目はご丁寧にもカラオケである。

原曲の緻密なスタジオワークは、私にとっては殆ど宗教の域に達した、信奉の対象なのだ。なわけで、いかにPretendersと言えども、この安易なカバーには正直許せないものを感じてしまう。

The Pretenders, “Loose Screw” (2003)

ライナーノーツによれば、レゲエ盤にしようかという話もあったくらいだというくらい、レゲエっぽい曲が多く収録されている。わたし的には微妙なアルバム。

しょっぱなの“Lie to me”から笑えた。ギターのリフについては、「おお、Stonesっぽい」というのが一般的な受け止め方だろうが、私はBaffalo SpringfieldというかNeil Youngの”Mr. Soul”が頭に浮かんでしまった。

The Pretenders, “Get Close” (1986)

ちょっとPOP色が強いけど、これもお薦め。ジャケットのChrissieのTelecaster姿がかっちょいい。ヒットした“Don’t Get Me Wrong”が好きなのだ。シンセの音に違和感を覚えたりもするんだけれど。“My baby”のイントロは、いかにもプリテンダースのケルトっぽい音使い。“When I change my life”は、ストリングが印象的。George MartinがプロデュースしてたころのAmericaっぽい音。 “Chill Factor”“Hymn to her”はChrissieが本領発揮するロックバラード。

 

The Pretenders, “Learning to Crawl” (1983)

3rd album。メンバー四人のうち二人が、薬がらみで死んでしまうという危機を乗り越えての一枚。一曲選ぶとすれば、5曲目の“Show me”かな。もちろん、売れた一曲目の“Middle of the road”も良い。“Back on the chain gang”“My city was gone”“Thin Line Between Love and Hate”,“2000 miles”と本当に名曲ぞろいで、これを聴かずして80年代ロックを語ることなかれという一枚。

思えば当時のチャートは、Culture ClubやらDuran Duranやらの新興イギリス勢 vs. アメリカではMichael Jacksonの「スリラー」てな時代であった。ストレートなロックが弱かった時代にあって、やはりきらりと光る一枚であったと、今にして思う。当時はCalifornia Sound漬けだった私は、このCDを真面目に聴いたのはもっと後になってからのことだった。おはずかしい・・・。

The Pretenders, “PRETENDERS” (1980)

デビュー盤。前半はちょっといただけないが、後半がよろしい。“Stop your Sobbing”“Kid”,“Brass in Pocket”辺りのシングルになった曲がお勧め。それにしても、邦題の「愛しのキッズ」はいただない。

ちなみにこのアルバムは、MTV系のケーブルチャンネルVH1の選んだ”100 Greatest Album of Rock & soul”の第52位にランクされていた。残念ながら、VH1のサイトにあったこのページは既になくなってしまったのだが、周囲に並ぶアルバムは歴史的名盤ばかり。どれくらい高く評価されているか、改めて驚いてしまったのだった。

The Pretenders, “Last of Independence” (1994)

これだけメンバーチェンジを繰り返しても、やはりThe Pretendersの音なのだ。意地の悪い見方をすると、初期Pretendersの後追いとも言えるような回帰も見られるアルバムではなかろうか。

しょっぱなの“Hollywood Perfume”から、ギターサウンド炸裂のChrissie節。“Night in my veins”は、のりのりでいい曲だと絶賛したいのだが、歌詞の対訳を見てちと赤面。自分の英語力の無さを呪う。“revolution”は、メロディーの音の運びとかギターのトーンとかがさりげなくケルティックで、いかにもPretendersっぽいのだ。

“All my dream”“I’ll stand by you”はいいロックバラードだと思う。それに対して、似たような感じではあるが“977”は、いまいち消化不良なような気がする。締めはBob Dylanの“Forever young”。これもいまいちですな。

 

The Pretenders, “PRETENDERS II” (1981)

非常に好き。“The Adultness”はminor系の曲にも関わらず、珍しくお気に入り。“I go to Sleep”を聞くと夜のPhoenixを車で走っている自分を思い出す。“Talk of the town”はPretendersの曲の中でも最も気に入っている曲で、ギターがまたいいのだ。“Pack it up”,“Day after day”“The English Roses”も同様の理由で大好きな一曲。ギターバンドとしてのPretendersの頂点となるアルバムであると私は思う。このアルバムが出た後に、ギターのJames Honeyman Scottはこの世を去ってしまったのである。

The Pretenders, “Singles” (1988)

同名のベスト盤も発売されているが、私がおすすめするのはビデオの方。デビューから”Get Close”までのシングル曲のビデオ集。一番良かった時期のPretendersを堪能できる。やっぱ、かっこいいわ。ちなみに、NH4Clのデンドライト成長のビデオという、私の本業に密接に関係がある場面が挿入されている。舞い上がってしまったのは、おれだけか?

The Pretenders, “Viva El Amor” (1999)

ギターバンドっぽい音への回帰が顕著な作品。「お帰りなさい。」と言いたくなる。“human”は非常に気に入ったが、実は他のバンドのカバーだと聞いてちょっと驚いてしまった。変な表現かもしれないけど、「伝統的なPretendersの音」だもの。“From the heart down”はきれいにまとめたスローバラード。“Who’s who”も、古くからのファンは涙なしには聞けぬ曲だろうな。

“One more time”はJanis Joplin節ってな曲で、Chrissieってこういう趣味があったのか、などと感じてしまったよ。“Leagalise me”はJeff Beckがギターを弾いているところに注目。それにしてもleagalizeではなくleagaliseなのね、さすがBritish。

最後に、日本盤の歌詞対訳中でうなずけない箇所を一点。“popstar”の中の、”red meat”ってそりゃ「赤い肉」だけど、これ「牛肉」の意味ぢゃないの?

The Pretenders, “Packed” (1990)

しょっぱなの“never do that”から、ほとんどお約束のようなギターサウンドとChrissieのヴォーカル。三枚目の(“Show me”+”back on the chain gang”)/2ってな曲と言えばいいのかな。“when will i see you”も好きな感じの曲だ。“hold a candle to this”も、ちょっとハード目の佳曲。

スローな曲でいいのがない、というのがこのアルバムの感想。強いて言えば、ラストの“criminal”くらいだろうか。全般を通して、昔からの路線をちょっと踏み外して一気に魅力低減、という曲が多いアルバムのように思う。これは私がThe pretendersに求めているものが決まってしまっている、ということなのかもしれない。が、一方で前作までで芸の幅は決まってしまったぞ、という印象を受けてもいる。