Sara K., “closer than the appear”(1992)

「生音で勝負、オーバーダブはしない」を売りにするChesky Recordっていうレーベルから出ている。アコースティックベースとピアノのみのバックという構成の曲が多く、録音が私にとっては前代未聞の良さ。歌の細かいニュアンスというのか、ダイナミズムがストレートに伝わってくる。「歌って人間が奏でるものなのだな」などという当たり前のことを、改めて思い知らされます。とにかく真面目な一枚。部屋にこもって一人で聞きましょう。スピーカーの前に正座して。

上に書いたようにJoni Mitchell系っぽい音の作りなのだが、尖った感じの曲はない。安心して聴けるけれども、だれたりもしない絶妙なところを突いている感じ。一曲目の“miles away”なんかは、アメリカの西の方の雰囲気が伝わってくる。“Make Believe”とか“What’s a little more rain”みたいなスローテンポの曲が、この人の最高の持ち味なんじゃなかろうか。とにかくすごい。最後に収録されているのがBob Dylanの“like a rolling stone”なんだが、見事にSara K.の世界になっちゃってます。

Sara K., “Play on words”(1994)

黒っぽい音への傾斜が打ち出されている感じがする。“Stop those bells”なんかは完全にブルースだし、“If I could sing your blues”なんかはチック・コリアの”Spain”に影響を受けたと思われるようなJazzだし。それでもやっぱり、あくまでCheskyの音なんだけど。ジャケットの裏には四弦ギターなる不思議な楽器を持つSara K.が写っているのだが、気になるところだ。