Workshy, “Bitter Sweet” (2011)

発売直後にiTunes Storeで購入したのに、今までレビューを書いていませんでした。久々に新譜のレビューを書けるチャンスだったのに、出遅れちゃいましたね。

さて、この作品、なかなか素晴らしいのです。1. “Looking Forward To”と4. “Bitter or Sweet”の二曲が特にお勧め、ワタシのiTunesでのratingは五つ星です。その他、11. “West End Lane”, Michael John McDermattがボーカルを取っている10. “Only Maybe”も素晴らしい。

さて、WorkshyのオフィシャルウェブがFacebook上で開設されています。興味を持たれた方は是非。
http://www.facebook.com/WorkshyOfficial
また、Chrysta Jonesは個人でも参加していて、ワタシは友達登録していただきました。こういうつぶやき方をする人なのか、と新しい発見でした。

Workshy, “Clear” (2000)

このアルバムも、外れのない快作。とても心地よい緻密な音なのだ。BGMとしては最高、しかし決定的に吸い込まれていくインパクトの強い曲があるかといえば、そうでもない。というあたりが微妙だ。

1. “Got it clear”, 4. “With Or Without You”, 5. “Anything You Want”あたりがお勧め。6.“If You’re In Love”は、Stevie Wonderあたりを想起させられるメロディーの運び、かつ次作”Mood”の中の”Forever”にも似てますかね。

Workshy, “Smile Again” (2007)

5年ぶりとなる新譜が、テイチク系のImperialレーベルから出た。相変わらずの洗練されたサウンドは見事なのだ。しかし、前作”Mood”のように、心奪われるようなものにはなっていない。どうしてだろうかと考えてみたのだが、原因はどうやらChrysta Jonesのボーカルの声域にありそうだ。Workshyのは高音域を売りにしてようだが、前作で私が心奪われたのは低中音域の豊かさだった。この作品は、その中低域を使った曲が非常に少なく、初期作品のように高音域にぶら下がったような曲が多い。これはもう生理的なものだとしかいいようがなく、アルバムの出来の評価の指標としては不適切なものなのだが。

いいなあ、と思った曲は、3.“Publiceye”, 7. “Breakthrough”のあたり。2.“smile”や6.“Call on me”なんかは、初期作品っぽい軽さというか、キラっとした派手さがある曲だ。

Workshy, “Soul Love” (1994)

ソウルの名曲を彼ららしいアレンジでカバーしていくという趣向のアルバム。四作目というタイミングはカバーアルバムを出すタイミングとしてはいいのではないかと思う。(リアルタイムで聴いたアルバムではないので説得力薄いですが)

1. “I say a little prayer”は、Dionne WarwickやAretha Franklinが歌ったのだそうだが、私がなぜこの曲を覚えているかといえば、ドラマ”Ally McBeal”で見たからだろう。3.“Its too late”は、ソウルとも言いがたいCarole Kingの名曲だが、このサラリと流すアレンジはなかなか良い。2.“If I ever lose this heaven”や7.“Work to do”もいい曲だね。黒いソウルはどうも駄目な私だが、こういう音の作りであれば受け入れられるなあ。

Workshy, “Heaven” (1993)

さわやかさ半分、ゴージャスさ半分という微妙な路線を継承した三作目。1.“But alive”, 7.Love Love Loveなんかはその典型。8.“I’ll never know”なんかのさわやかサウンドも、夏っぽいというか何と言うか、かなり良い。この時期のChrystaの声質は、さわやかそうだけど実はちょっと尖った芯があり、ちょっとしたシャープさをかもし出している。はまると結構心地良いかも。

Workshy, “Under the influence” (1995)

“DUI”という言葉は、英語圏で暮らした人なら覚えがあることだろう。”Driving Under Influence”の略なのだが、「アルコール・薬物の影響下での運転」を意味する。このアルバムタイトルを見たとき、これに邦題をつけるとすれば『ラリってる』かな、と直感したのだが、『恋に酔って』という解釈が正しいそうだ。

さて、一曲目の“Under the influence”がいいかな、という程度。とても精緻な音の作りで、それは素晴らしいことなのだろうけれど、R&B志向の弱い私としては、他のアルバムと比べるとお勧め度はやや下がります。

Workshy, “The golden mile” (1989)

これがデビュー盤ということになる。上述“Mood”を先に聞いてから、遡って中古で入手したので、グループの13年での変遷がはっきりわかる。Chrystaが唯一のボーカルとして前面に押し出されているわけではなく、Michael John McDermattもリードを取っている。Chrystaの声質は、深みがある現在と比べ、若さゆえ微妙に尖ったところがある。しかし、これに伴う華やかさが捨て難い。音の作りは、エレクトリックポップス・ブラジリアンなどのてんこもりで、メロウというより清清しさを感じさせらる。

“You’re the summer”“I saw the light”とさわやかな曲で夏向きだ。“Love is the place to be”でのコーラスワークなどは、吸い込まれていきそうな感じすらする。“Somewhere”の軽快さも素晴らしい。

Workshy, “Ocean” (1992)

二作目。このアルバムから、日本のポニーキャニオンと契約。一部はポルトガルでの録音らしい。一曲目の“Fascination”に特に強く惹きつけられる。ゴージャスな音の作りを、しっかり抜けの良さと両立させている。“Trouble mind”の中途半端な南米志向の音も、なぜか楽しめる。“Show me the night”は、Swing out sisterの感じによく似た軽快なポップス。“Dream street”“Where are you now?”もいい曲だ。

最後にどうでもいいこと。ライナーノーツのChrystaの経歴に、「ロイヤル音楽院中退」とあるんだけど、「王立音楽院中退」の方がしっくり来るような気がするが、いかが?

Workshy, “Mood” (2002)

これも金沢のタワーレコードの試聴ブースで聞いて、一発でやられてしまったCDである。メロウな曲調が特色で、丸められたコードワークがひたすら心地よい。さて肝心のChrystaのボーカルであるが、絶叫・熱唱型とは反対の力が抜けた歌い方なのだが、しっかりテクニシャン。いわゆる美声とはちょっと違うのに、ひたすらに心地よいのだ。一言で言えば大人なのです。

一曲目の“Forever”でのファルセットにすっと抜くところにいきなり感動。二曲目の“how it is”も上質のポップスである。六曲目の“summer’s gone”なんかも、コーラスの組み立てがお気に入りの曲なのだ。とにかく、仕事から帰って、ちょっと照明を落とした部屋で脱力しながらひたりたい、そういう一枚である。