Rickie Lee Jones, “Pirates” (1981)

二作目となる1981年の作品。Steve Gadd, Neil Larsen, Randy Brecker, Donald Fagen, Dean Parks, Steve Lukatherと涙ものの人々がライナーノーツには並んでいる。一作目が高い評価を受けたアーティストほど、二作目は痛々しい出来になることが多いのだけれど、この自由さは何なのだろう?しかも、一人よがりの楽しさとは異質であるのは言うまでもない。一作目ほどのインパクトは感じられないのだけれど、やはり素晴らしい音に仕上がっていることに間違いはないし、やはり天才なのだなとひしひしと感じる。

1. “We Belong Together”から, 引き込まれていく。2. “Living It Up”なんかはすごくいいなあ。ファンクっぽい4. “Woody And Dutch On The Slow Train To Peking”なんかはとても楽しげ。「この時代っぽい」という意味で圧巻の出来なのは、やはりタイトル曲の5. “Pirates”だろうか。AOR色が強く、特に出だしのあたりにはSteely Danっぽさを強く感じる。曲調がいきなりバラード調に転換して、Rickie Lee Jonesワールドに引きずり込まれていく、いい意味で翻弄されてしまうこの感じはなんなのだろうね。7.”Traces Of The Western Slopes “なんかも複雑な曲なんだけど、さらりとやってくれます。天才の意思をしっかり具現化しているスタジオワークもすごいのだ。3. “Skeltons”, 8.”The Returns”はバラードで、これは実際に聴いてもらうしかない、としか書きようのない美しさ。必聴盤の一枚と言えましょう。

Rickie Lee Jones, “Rickie Lee Jones” (1979)

正直な話、このアルバムは何年も前に買ってあったのだが、ピンと来ないで放置したのだ。ところがある日聴きなおしてみて、すっかりはまってしまった。このデビュー盤が彼女の最高傑作だというのが大方の評価だし、私もこの一枚しか聴いていないのだが、Joni Mitchellの域に一番近いのはこの人ではなかろうか。

1.“Chuck E.’s in love”はおそらく一番知られた曲で、このシャッフル感を出せるシンガーソングライターは彼女くらいなものだろうと思う。9.“Weasel and the write boys cool”も似たような曲想。70年代後半のフュージョンっぽい音にJames Taylorなどとも通じるところがあり、とても楽しく聴ける。2.“On saturday afternoon”, 8.“Coolsville”などは、Joni Mitchellかなあ。しみてくる佳曲だ。そして3.“Night train”は、David Crosbyかな。こんな音を自由に操れるのは、すごいとしか言えないのだ。個人的には一番好きな曲。そしてバラードの隠れ名曲として評価が高い10.“Company”は、まだ学部生だった頃に打ちひしがれた曲。20年も経ってまた聴いてみても、やはり心揺さぶられるものがあるのだ。美しくも悲しく、例える言葉もなく絶句するしかない。そして、アルバムは、やはり美しいバラードの11.“After hours”で静かに幕を閉じていくのだ。