Rolling Stone誌のサイトが伝えるところによると、CSN&YのDeja vuの50周年記念盤が出るらしい。オリジナルのLPとCDをリマスターしたものが一枚ずつ、残りのCD三枚がデモバージョンとか未収録曲などになるとのこと。オリジナル盤に収録されなかった曲には、やはりそれぞれネガティブ理由があるのだろうから、この手の商法にはいささかうんざりするところもある。しかし、ブートレックのライブ盤で演奏されていた曲なんかは全部入っているのを見ると、あのライブの選曲はそういういきさつだったのか、などと考えるのは楽しいですね。5月の発売だそうですが、Apple Musicへの登場を待ちます。
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サイト作成者の洋楽趣味の原点、Crosby, Stills, Nash and Youngのアルバムをレビュー。女性ボーカルレビューサイト My Favorite Female Singersの番外編
David Crosby, “Oh, Yes I can” (1989)
CSN&Yといえば、Neil YoungとかStephen Stillsのカラーが好きな人が多いのでしょうが、ワタシとしてはどうにもCrosbyが気になります。それは”Guinnevere”であったり、”Deja Vu”であったりという、幻想的な曲調によるものです。
しかし80年代のCrosbyは銃と麻薬で問題行動が多く、82年のCSN再結成のツアー中に拳銃不法所持で逮捕されたり、85年には8ヶ月を獄中で過ごしたりしていたようです。その状態から回復した1989年に発表されたのが本作品です。
まず一曲挙げるとすれば、タイトル曲の10.“Oh, yes I can”。バックグラウンドボーカルはJames Taylorらしい。全曲スキャットで通してしまう9. “Flying man”はフュージョンっぽい不思議な曲だなと思うと、ギターがLarry Carltonだったりする。
今は亡きMichael Hedgesがギターを弾いている5. “Tracks in the Dust”, 11.“My Country ‘Tis of Thee”も、なかなかです。
Crosby, Stills and Nash東京公演@NHKホール(1991/4/22)、東京厚生年金会館(1991/4/25)
1981年にCSNを聴き始めてからちょうど10年。来日が決まったときは狂喜乱舞しました。東京公演を二日見に行ったのだが、一日目はStillsの調子がいまいち、二日目は絶好調と波の激しさを見せていた、しかし、とにかく素晴らしかった。「聴く人」としての原点を、そして音楽からは切り離されて存在できない自分の在り方を確認した二日間。ライブで物販にほとんど手を出さないワタシですが、このときのリーフレットは手元にあります。
Crosby, Stills and Nash, “Crosby, Stills and Nash” (1969)
CSNとしてのデビュー盤。確か、”4way street”を先に聴いてから、こちらを後から聴いた。かなりの曲は事前に知っていたわけだが、LPに針を落とした瞬間から、スタジオ録音での1. “Suite: Judy Blue Eyes”のDADDADの変則チューニングと、圧巻の三度コーラスのにいきなり打ちのめされた。4. “You Don’t Have To Cry”, 8.“Helplessly hoping”もいい曲だね。
意外にはまるのが、Crosbyの3. “Guinnevere”。すごく好きな曲なんだけど、いかにも薬でラリってますという感じの曲で、他人にも理解されにくいのが難点。確かにこれに聞き入る高校生ってのは、傍から見ていてやばい存在だったかも。
Neil Young, “After the gold rush” (1970)
- Tell Me Why
- After The Gold Rush
- Only Love Can Break Your Heart
- Southern Man
- Till The Morning Comes
- Oh, Lonesome Me
- Don’t Let It Bring You Down
- Birds
- When You Dance You Can Really Love
- I Believe In You
- Cripple Creek Ferry
アコースティックロックの原点みたいなアルバムです。かつ、Bluegrass的な要素もあって、ワタシ的には素晴らしい。
CSN&Yが”Deja vu”を出した1970年のソロ作品。46歳になった昨年に、初めてアルバムを通して聞いた訳ですが、ほとんどの曲を知っていた。CSN&Yのブートを随分聴いていたのだけれど、それらにソロ曲が多く収録されてたからでしょう。それもある意味、CSN&Yのカラーですね。
4. “Southern man”と7. “Don’t let it bring you down”は、翌年に出たCSN&Yのライブアルバム”4-way street”に収録。
3.?“Only love can break your heart”はカントリーっぽいワルツで、後年のEaglesの”Hollywood Waltz”なんかに繋がっていく世界。1.?“Tell me why”, ?2. “After the gold rush”,, 8. “Birds”あたりも好きな曲です。
Original Soundtrack, “No Nukes” (1979)
西海岸系のアーティストによる反原発コンサート。下に示すようなメンツなので、聞かないわけにはいかないアルバム。これは映画にもなって、東京に出たての頃だったろうか、レーザーディスクを上映する渋谷の飲み屋までわざわざ見に行った記憶がある。しかし、選曲のせいだろうか、メンツの割には正直面白くないアルバムだと今になると思う。しいてお勧めするのは The Doobie Brothers with John Hall & James TaylorというメンツでのJohn Hallの名曲、5. “Power”だ。
Woodstock, Bangladesh concert, No Nukes, Live Aid…….ロックで時代が変わると信じてられていた熱気も今は昔。
Complete Set “CSN” (1991)
すべてのアルバムに深ーい思い入れがある割には、CDへの買い替えが進まないのはこのセットを購入してしまったからなのだ。CSN(&Y)の大部分の作品と、ソロ作などがてんこもりのお買い得品。これを買わずして、というセットである。
実はCSN&Yには”Human Highway”という「幻の一枚」がある。1974年にレコーディングが完了し、ハワイでジャケットの撮影までしたのに、結局発売が流れてしまったアルバムだ。Crosbyをして、「あの一枚に比べたら、”Déjà vu”なんてがきのお遊びみたいなもの」と言わせしめた作品らしい。噂には聞いていたが、別テイクがその後のCSN(1977)やCrosby and Nashのアルバムに収録されたり、一曲だけがNeil Youngのソロ作に流出した以外は、闇に葬られていた。が、このコンプリートセットには、その「蔵出し音源」が収録されているところが聴き所。このセットについているリーフレットには、その使われなかったカバーフォトが載っている。
たとえばdisc3の“See the changes”は、四人がクレジットされており”CSN”(1977)に収録されたのとは異なるバージョン。私がCSN&Yの作品として一番好きなのが、このアルバムだけに収録されている“Homeward through the haze”なのだ。Crosbyの作品なのだけれど、なんとも形容しがたく良いのだなあ。コーラスばりばりって曲ではないのだけれど、Crosbyの楽曲の力はやはりすごい。“Taken at all”も、Crosby and Nashのアルバムに収録された曲だが、StillsとYoungが参加した別テイクが収録されている。素晴らしい出来。
Crosby, Stills and Nash, “CSN” (1977)
“Shadow Captain”を聴いて、えらく音が洗練されたな、と思ったものだけど、それだけ70年代は音楽が激変した時代だったってことだね。ちなみにBeth Nielsen Chapmanの“Life holds on”のイントロは、この曲のイントロをぱくったものとしか思われない。“See the changes”, “In My Dreams”もお気に入り。
個人的にどうしても忘れられないのが、“Just a song before I go”。大学受験が終わり、大井町線の大岡山駅のホームで電車を待っているときのことだ。出来が悪くて意気消沈していたときに、追い討ちをかけるかのように商店街の街頭放送でこの曲がかかった。旅立つ人を送る内容の歌詞なのだが、こんなマイナーな曲がこんなタイミングでかかるものか?と思い、その場所には二度と戻ってこれないことを覚悟したものだ。でも、何故か受かっていたんだけどね。
Crosby, Stills and Nash, “Daylight again” (1982)
高校三年の夏休みに発売になったアルバム。予備校の夏期講習が終わってから、某大学の生協まで買いに行った記憶がある。高校一年の終わりにCSNを聞き出してからは初めての再結成だったので、狂喜乱舞したものだ。ファーストシングルが“Wasted On The Way”っで、そのチャートの動きに一喜一憂したなあ。“Southern Cross”はStillsの曲だけど、好きだねえ。これが二枚目のシングルになったのだったかな。一番好きなのは、やはりCrosbyの作品で“Delta”。わりにさわやかな側面もある、Crosby得意の幻想ムードの曲。
Crosby, Stills, Nash and Young, “4 way street” (1971)
二枚組のLPで、札幌では中古で出回っていることもなく、「清水の舞台から飛び降りる」つもりで新品を買った。しかし、感動したんだなあ。“On The Way Home”が最高に気に入った。生ギター二本の絡みがいいんだな。元々はBuffalo Springfieldのアルバムに収録されたNeil Youngの曲なんだけど、こっちのバージョンが圧倒的に好き。同じくNeil Youngの“Cowgirl In The Sand”もいいね。“Love The One You’re With”も、こちらのバージョンの方が好きだな。
LPでは一枚目がアコースティックセット、二枚目がエレクトリックセットになっていた。このバンドのエレキの下手さには定評があり、賛否両論あると思われるが、“Ohio”, “Southern man”と、私は好きだな。
Crosby, Stills, Nash and Young, “Déjà vu” (1970)
こういうHTMLで書きにくいタイトルは止めてくれ、というのが第一の感想。Neil Youngが初参加したアルバム。タワーレコード札幌店でなけなしの小遣いをはたいて買った一枚で、これが洋楽への入り口となった。思えば、大きく人生を狂わせてくれた元凶だとさえ言える。「レコードがすり切れるほど聴く」という表現は今は死語となってしまったが、まさにそういう感じの一枚だ。
最初のノックアウトされたのは、“Carry on”のギターのイントロと、いきなりの三度コーラスだった。こんな世界があったんだ、と打ち震えた感動が忘れられない。続く“Teach your children”も定番的な名曲。スチールギターを初めてかっこいいと思った曲だ。この曲は、映画「小さな恋のメロディ」でも使われていた。“Almost cut my hair”は、いかにもDavid Crosbyという曲。当時はあまり好きではなかったが、今はなじめる。Neil Youngの“Helpless”も、これまた定番的名曲。カナダカナダした歌詞が良い。この曲は、映画「いちご白書」(”strawberry statement”)で、機動隊に包囲された封鎖学生のシーンで使われていて、あまりのはまり具合に感動した。今でも自分が危機的状況に陥ると、頭の中でこの曲が悲しく鳴り響く。“Woodstock”は、下手っぴなエレキが印象的な一曲。Joni Mitchellの”Ladies of the Canyon”(1970)に収録されているアコースティックバージョンと比較してみるのも面白い。“Déjà vu”も、これまたCrosbyの難解な曲。でも、すごいんだな。このアコースティックギターワークは、私の中では「一等賞」なのだ。
それから一転して“Our house”は、Graham Nashの甘ったるい曲。わかりやすいがために、最初は一番よく聴いた曲だ。その姿はよほど印象に残ったらしく、うちの母親は今でも「あんたが死んだら葬式でこの曲をかけてやる」と言う。“4+20”は、Stillsのソロ曲。このフィンガーピッキングのギターも当時ははまりにはまった。“Country girl”は組曲仕立てのNiel Youngの曲、。そして最後は勢いで持っていってしまう“Everybody I love you”。“Everybody, I love you. Everybody, I do. Though your heart is an anchor….”と、実に単純な曲だが大好きだった。高校の卒業文集に歌詞そっくりぱくって書いたものね。
書いていて思わず涙ぐみそうになるね。関係者の方々、私が死んだらこの一枚を棺桶に入れて下さい。CDじゃなく、LPがいいな。