Leigh Nash, “Blue on blue” (2006)

いつのまにか解散していたSixpence none the richer。メインボーカルだったLeigh Nashがこのたびソロデビュー。なかなか面白いアルバムだと思う。ギターバンドだったSixpence none the richerの枠を外れて、歌の良さが生きるアレンジをもらっているせいだろうか。ちょっとロリ声でDonna Lewisっぽい傾向などは変わらず。

1.“Along the wall”, 2.“Nervous in the light of dawn”でなぜか思い出したのが、Lene Marlinの二枚目。明るく突き抜けきったような音ではなくて、どことなく憂いをおびた曲調が日本人受けする予感。7.“More of it”のサビのあたりは、CMソングに採用されてもおかしくなさそうな抜けのいいギターポップロック。8.“Angel Tonight”は、わたし的には一番のあたりの曲。アレンジがどことなくCardiganっぽいのが面白い。

総じて、ほっとしながら「おかえりなさい」と言えるアルバム。おすすめです。

新しい公式サイト Leigh Nash Music

Sixpence none the richer, “divine discontent” (2002)

久々に出てきた新譜。大半がNashvilleでの録音だ。前作と傾向に大きな差異はない。“Breathe your name”“tonight”と心地よい。しかしながら、前作における“kiss me”のような、「これで決まり!」というインパクトの強い曲は無いような気がする。

「は~っ?」っと思ったのが四曲目のイントロ。えらく懐かしく、「ぱくりか?偶然か?」との思いが頭をよぎったが、正解は純然たるカバー。原曲はCrowded houseが歌っていた“Don’t dream it’s over”。このカバーはさわやかに仕上がってしまっていて、音の暗さ・重さが印象的な原曲を若い頃に好んで聞いていた私としては、ちょっとさびしい気もする。

[2003.8.10追記] 最近何やら”Sixpence none the richer”で検索をかけて来る人が多いと思っていたのだが、この“Don’t dream it’s over”が、映画「10日間で男を上手にフル方法」(原題:”How to lose a guy in 10 days”)のCMでやたらかかっているからなのだろうか?調べてみると、この映画のサントラに収録されているのは、“Don’t dream it’s over”ではなく、前のアルバムに収録されていた“kiss me”のようだ。いったい、どうなってるの?

[2003.12.12追記] ふだん映画を見ない私ではあるが、二ヶ月ほど前のアメリカ出張の際の機内上映で、上記「10日間で男を上手にフル方法」を見てしまった。“Kiss me”はバスケの会場のシーンで使われていたが、“Don’t dream it’s over”は使われていなかった模様。日本の配給会社の作戦だったというのが結論のよう。

Sixpence none the richer, “Sixpence none the richer” (1998)

メジャーデビュー盤らしい。基本的には、ギターバンドっぽく、しかしバイオリンなどを効果的に入れたアレンジが、私には結構心地よい。Leighの声は、ものすごく特徴的というわけでもないし、特に上手い訳でもないのに、なぜかはまってしまう。不思議だ。

一曲目の“We have forgotten”から、上手くはないが、いいギターバンドだという気にさせられる。二曲目の“Anything”は、薄いアレンジの上にLeighのキュートな声が乗ってくる佳曲。

秀逸なのは、四曲目の“Kiss me”。maj7を使って人をだますというよくある仕掛けの曲だが、その単純さがたまらない。この中で、Leighの伸び切らない声が、生理的な快感を与えているのだ。きれいな曲です。14曲目にlive versionが入っているが、こっちは歌い急いでいるような感じで、それほど良くない。

他に印象に残った曲としては、七曲目の“I can’t catch you”を挙げておこう。Leighは、声も細く、ちょっと不安定さを感じさせるけれど、とにかくいい!そういう点では、曲のタッチはだいぶ違うものの、ちょっとLisa Loebぽいのかな。13曲目の“There she goes”も、素晴らしい。