Bonnie Raitt, “I can’t make you love me” (1991)

昨日の会社からの帰り道、数年前から持ってはいるが低評価していたBonnie Raittのベスト盤を意図的に聞き直してみていた。そうすると、いきなり聞き覚えのある曲が出てきた。さて誰だったろうかと考えてみると、わかりました。2ヶ月ほど前にTSUTAYAでジャケ借りしたジャズ系の女性シンガーSophie Milmanのアルバムに入っていて気に入った曲だ。

Bonnie Raittが歌った”I can’t make you love me”は1991年の作品らしい。BillboardのTop 200で18位がピーク。そこそこ売れた割りには、気付いていなかったな。Wikiを読んでみると、ピアノがBruce Hornsbyらしい。確かにいかにもなフレージングだ。なんでこんな曲を見逃していたのかな。

調べてみると、いろんな歌い手さんがカバーをしているのですね。

Bonnie Raitt (1991)

Sophie Milman (2009)

Adele (2011)

George Michael (1997)

Lisa Loeb, “NO FAIRY TALE” (2013) ~ 2004年以来の新譜と来日

Lisa Loebの2004年以来となる新譜が2/5に発売になる模様。
http://www.lisaloeb.com/news/
ところが、国内ではもう先行発売されていたのですね。。。。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A019008.html
昨日・今日とBillboard Live Tokyoで来日公演があるのは気付いていてスルーしてたのですが、新譜発売と絡んでいたのは知らなかったです、

Evanescence Japan Tour 2012 横浜公演 (2012/02/08)

2012/02/08 パシフィコ横浜 国立大ホール

ワタシの趣味の本筋からは外れるのですが、妻のお伴でEvanescenceの来日公演に行ってきました。思い起こせば、大きな室内ホールでのコンサートというのは、ほぼ20年振りです。それでwikipedia的な分類ではゴスメタルのEvanescenceですよ。。。

結論から言うと、非常にいいライブでした。Amy Leeは、やはりただ者ではないボーカリストで圧倒されました。印象に残るリードギターが全く無いというHR/HMとしては異色の構成も印象に残りました。

しかし、客の入りは6割程度。昨年出した新譜はビルボードのトップを取ってますから、そういうアーティストでさえこの程度の動員しか出来ないということに、洋楽全盛時代を知るワタシは非常に驚きました。あと、久々のホールコンサートで驚いたのは、照明・映像技術の進歩です。客席をライティングするのは、観客を煽るという効果があるのだと聞きましたが、いまや大照度のLEDやらが客席をスキャンする時代。年寄りは目がチカチカしてかなわんと思ったのでありました。

Beth Nielsen Chapman, “Beth Nielsen Chapman” (1990)

10/07/18 250円で購入@伊勢佐木町ブックオフ。このCDの紹介の最初のバージョンは、1995年のサイト開設直後に書いた記憶がある。気温45度を越すアリゾナ在住中に車中にCDを放置したせいで、長らく聴けない状態になってしまっていた。ようやく中古で買い替えて一通り聴き直してみると、とにかくハズレのない佳曲揃いなのに、改めて驚く。

このCDは、たしか渋谷で買ったのだろうと思う。それがCiscoだったか?Waveだったか?記憶が定かではない。試聴ブースで聞いてほぼ即決だったのは、1. “Life holds on”のイントロの強烈さが決め手になったのだと思う。なぜかといえば、そのピアノのフレーズが、CSNの1977年再結成盤の”Shadow Captain”にあまりにそっくりだったから。もちろん、曲本体は素晴らしい。20年に渡る愛聴曲。

尖ったところは無く,無難に良い曲が並ぶ。コンテンポラリーなソングライターで、そのあたりはCarole Kingに通じるだろうか?通常のTop 100チャートに入るような曲は無かったが、アダルトコンテンポラリーチャートでは、3. “I Keep Coming Back To You”, 4. “Walk My Way”, 5, “All I Have”が10位台を記録している。

他に当時好んで聴いたのは、9. “Avalanche”, 12.“Years”あたり。6. ”Take It As It Comes”の最初のキーボードの使い方も、Joni Mitchellの80年代の作品そっくり。時代の音だったんですねえ。

今まで思い違いをしてました

ここに懺悔します。

私は、Joni Mitchellこそが最初に降臨した天才女性SSWで、それに続いたのがRickie Lee Jonesだと思っていました。しかし、その認識は間違っていました。この勘違いをしていた25年ほどを恨みます。

最初の天才はLaura Nyro

ツタヤで借りて来たベスト盤に驚愕しました。レビューは近々。

Miranda Lee Richards,”The Herethereafter”(2002)

発売直後に購入していたものの、レビューせず放置すること、早6年ですか。この作品は、なかなか面白いのです。Wikipediaによれば、サンフランシスコ育ちで両親はコミックアーティストだとのこと、カウンターカルチャーの中で育ってきたことが伺える。60年代後半のJefferson Airplaneとか、ヒッピーカルチャーの香りがするものを21世紀になってあえて作ってきたところが面白かった。

1. “The beginner”はStonesのカバーなのだそうだけど、オリジナルを知らず。でも、アレンジはサイケですねえ。2. “The Long Goodbye”は一番日本で売れた曲らしい。60年代後半のロックの色と、彼女自身がFavoriteとして挙げるChrissie Hynde (The Pretenders)の匂いがプンプンとする一曲で、私的にも一番のお気に入り。4. “Right now”, 7. “Last Solstice Of The 70’s”, 9. “Beauty Queen”, 13. “When We Go Walkin'”あたりも、いいですねえ。

Wilson Phillips. “Wilson Phillips” (1990)

全米No.1ヒットを3曲生み出した三人組のデビュー盤。売れたわりには、長く保有する気にもならないというアルバムだからか、『中古屋のベストセラー』状態。ブックオフで105円で出ていたところを購入したもの。デビュー直後は、親がThe Mamas & the PapasやThe Beach boysのメンバーであるという二世グループとしての顔が前面に出されたプロモーションだったと記憶している。

で、聴いてみると、非常に懐かしい音だ。教科書的な三度コーラスと、いかにもこの時代の売れ筋の音の作り方が成功の源か?ビルボードNo.1の“Hold On”, “Release Me”, “You’re In Love”あたりは、売れなきゃ不思議、という音。でも、チャート的には12位止まりだった “The Dream Is Still Alive”の記憶がはっきりしているのは何故だろう。このメロディーは好きだなあ。

事実上、一発屋だった彼女たちだが、「ミュージシャン」になりきれず、「歌い手」止まりだったということだろうか。

The Supremes, “The Ultimate Collection” (1997)

昔からSoulとかR&Bのような黒い音には、どうもなじめない私であります。しかし、数々のカバーを通して、いくつかのThe Supremesの曲にはなじみが深くなるのは必然で、ツタヤでベスト盤借りてみました。僕が洋楽を聴き出した80年代前半に、Diana Rossは押しも押されぬソロの大御所だったが、どうにもなじめなかった。しかし、60年代にThe Supremesで歌っていた頃の彼女の声は、どうにもチャーミングだ。

同じ姿の髪の薄いサングラス姿の男がずらりと並ぶPVが印象的だったのは、Phil Collinsがカバーした“You Can’t Hurry Love”(放題:「恋はあせらず」)だったが、やっぱり原曲が素晴らしいのだね。“Stop! In The Name Of Love”とか、“You Keep Me Hangin’ On”あたりも、元々非常になじみがあり。渡辺美里が初期のライブでカバーをやってましたな。

“Where Did Our Love Go”, “Baby Love”, “Back In My Arms Again”, “Someday We’ll Be Together”あたりの全米no.1になった曲は、やっぱりさすがの出来ですねえ。

Mary Lou Lord, “Baby Blue” (2004)

1965.3.1生まれだというので、僕自身とも2ヶ月と違わないんだな。Nirvanaを理解できない私にとってはどうでもいいことなのだが、Kurt Cobainの元恋人とも言われる人らしい。その真偽とは全く無関係に、このアルバムは素晴らしいものだと思う。誰に一番近いか考えてみたのだが、頭に浮かんだのはMatthew Sweet、フォークロックっぽいSSWという位置づけだろうか。

総じて外れのないアルバムなんだけど、特に好きなのは、1. “The Wind Blew All Around Me”, 4. “Baby Blue”の二曲。

Rebekah Jordan, “The Trouble With Fiction”(2005)

1997年にRebekah名義で“Remember to Breathe”を発表。このアルバムには現在でも中古屋で遭遇する確率が高いので、当時日本でもそれなりに受け入れいられたのだと思う。二作目の発売がなく消息がわからなくなっていたのだが、たまたま公式サイトを発見して最近の動向を知った。女優業にむしろ忙しかったようだが、2005年に6 songs EPとして出した久々のミニアルバムは、日本でもiTune storeで購入できる。

で、本作品なのだが、非常に良い。前作のように、アコースティックな曲〜オルタネ爆発な曲まで混在という感じではなく、ちょうど私の好きなアコースティックな路線あたりで落ち着いてまとまっている。blackっぽさを感じさせないblackな音は、相変わらず健在。2. “Dreams”がStevie Nicksのカバーである以外はオリジナル。特に好きなのが、4.“The Art of Losing”。メロディーの運びも、ギターのコード感覚も、とてもいい。3.“Happy”も、面白いなあ。5.“Bliss”もきれいな曲。外れがないアルバムと思えるのは、6曲に絞っているからか?大手レーベルに属さずとも、CDという媒体の物理的な容量にとらわれずとも、ダウンロード販売みたいな発表の仕方が出来るようになったってのは、マスプロ的ではない良質な作品が出てくることを確実に助けている、ということが実感できる作品だ。

Lisa Loebのほとんど新譜と言えるような再発もの(08/01/22発売)

Lisa Loebのメジャーデビュー前の作品である”Purple tape”が、CDとして陽の目を浴びることになったらしい。収録曲の中には、”Do You Sleep,” “Snow Day,” “Train Songs,” “This,” “Airplanes” and “It´s Over.”のように、後にメジャー盤に含まれることになる曲もある。あとは、“Cherries”という、6曲収録のMP3ダウンロードアルバムっていうのも知らぬ前に出ていたのに気付く。CDショップの店頭を見ているだけではダメな、難しい時代になりました。

詳細は、オフィシャルサイトを参照されたし

Norah Jones. “Not too late” (2007)

Norah Jonesの三作目。売れているようだが、どうにも私にとってはつまらない作品。なぜそう感じてしまうかと言えば、アメリカンルーツミュージックに寄り過ぎて、ジャズっぽさが薄れたのが原因じゃないかと思う。“Thinking about you”はいい曲だと思うが、オリジナルだというのに、どうも誰かの(The Bandあたりかな?)カバーのような気がしてしまうのだよね。

The Carpenters, “Gold-Greatest Hits” (2000)

1970年代を中心に大ヒットを連発した伝説の兄妹デュオThe Carpentersのベスト盤。いわゆる「ポピュラー」に分類されるものなので、ロックファンとしてはこれを語るのは気恥ずかしいところもあるのだけれど、やはりKaren Carpenterは不世出・別格の女性シンガーである、と言うのが結論だ。NHK-BSで見たカーペンタース特番で、Richard CarpenterはインタビューでKarenの声をPhonogenic(レコードに乗りやすい)と表現していたけれど、とにかく厚いというか、豊かというか、特に低音域であらゆる倍音成分がほどよくブレンドした声なのだ。

それぞれの人が、それぞれの曲に対していろんな思い入れを持っていることと思う。私は、1. “Yesterday Once More”, .2. “Superstar”, 3. “Rainy Days And Mondays”, 14. “(They Long To Be) Close To You”, 19. “Sing”あたりが、ポップス史を語る上で忘れることの出来ない不朽の名曲だと思う。決して「面白い」と思うような曲ではないのに、「でもやっぱりいい曲」と認めざるを得ないところが、カーペンターズがカーペンターズたる由縁で、長い間人々の心をひきつけている原因なのだと改めて思う。

Anna Nalick, “Wreck Of The Day” (2005)

Billboardアルバムチャートで20位まで行ったデビュー盤。いい若手ロックシンガーだ。1. “Breathe (2 AM)”は最初にシングルカットされた曲だが、やはり良い。.3. “Paper Bag”, 6. “In The Rough”, 9. “Bleed”あたりも非常に好きな曲調。4. “Wreck Of The Day”はタイトル曲だが、クラシックロックの要素をしっかり消化した妙に惹かれる仕上がりとなっている。84年生まれだからアルバム発売時は21歳。周りが作ってくれた音、という要素がまだまだ強いだろうが、これからどう化けていくかが楽しみなアーティストの一人だ。

Angela Ammons, “Angela Ammons” (2001)

デビュー当時17歳。Michelle BranchやAvril Lavigne的なガールズロックと捉えておけばいいのだろうか。しかし、良いpop-rockを聞かせてくれる。1. “Big Girl”や、2. “When It Doesn’t Matter”あたりは、単純に「いい!」と思える。アップテンポな曲は歌いきれるが、スローな曲はからっきし、というのが若いシンガーの定番だが、4. “Someday Soon”みたいなスローな曲でもしっかり歌いきって馬脚を現さないところは見事。

Ivy, “In the clear” (2005)

5作目。ジャケットは飛行機の窓、タイトルと相まって面白い。いつのまにか、ギターサウンドへ回帰している。2. “Thinking About You”, 4. “Tess Don’t Tell”, 6. “Corners Of Your Mind”あたりのギターサウンドの疾走感と、へなへなしたボーカルのアンバランス感はThe Cardigansを彷彿させて面白い。一方で、9. “Ocean City Girl”, 10. “Feel So Free”あたりのスローな曲も結構良いのです。

Ivy, “Long Distance” (2000)

3年のブランクを経ての三作目。アレンジが”ApartmentLife”のあたりとは少し変わり、ギターは奥に引っ込んだ。ある種Swing out sisterっぽくなったかも。おしゃれ系ポップスですかね。邦楽で言えば、The Indigoのような音といえばいいだろうか。アメリカでの発売は2001年で、日本では2000年に先行発売されたようだ。

気になる曲は、3. “Edge Of The Ocean”, 6. “Lucy Doesn’t Love You”, 9.“Midnight Sun”のあたり。4. “Blame It On Yourself”, 13. “Digging Your Scene”あたりの、前作っぽいギターサウンドも良い。

Ivy, “ApartmentLife” (1997)

IvyはNYCを根城とするバンドで、これはそのIvyの二枚目。いいギターポップバンドだと思う。ボーカルのDominique DurandはパリからNYCへ語学留学中にバンドに合流したそうな。決して上手いボーカリストではないが、サウンドとはよくマッチしている。

1. “The Best Thing”とか、4. “I Get The Message”あたりはThe Cardigansあたりのスカンジナビアン・ポップロックと共通の匂いがする私好みの音。9. “Get Out Of The City”あたりの疾走感は、(ボーカルの線はJennie Medinと比べると圧倒的に細いけれど)むしろCloudberry Jamっぽいかな。

Belinda Carlisle, “Real” (1993)

真っ白なカットソーにジーンズでのナチュラルな立ち姿のジャケットに心奪われる一枚。Go-Go’s的なサウンドの1. “Goodbye Day”からいきなりのベリンダワールド炸裂。肩の力が抜けた感じがたまらない。2. “Big Scary Animal”, 3. “Too Much Water”もいいなあ。6.“One With You”は、どことなくDuran Duranなんかを思い出すメロディーの運び。10. “Here Comes My Baby”も良いロックバラード、いい曲で締めてくる。総じて、決して上手くも美声でもないけれど、なぜか惹かれる一枚です。

Belinda Carlisle, “Runaway Horses” (1989)

これは実は名盤じゃないかと思う一枚。1. “Leave A Light On”から、pop-rockの王道を行くような曲。この曲でスライドギターを弾いているのは、今は亡きGeorge Harrisonらしい。2. “Runaway Horses”も自然体のいい曲に思える。4. “(We Want) The Same Thing”も名曲。「じゅわいよ・くちゅーるマキ」のCMで使われていたのだ。5. “Deep Deep Ocean”も、ストレートなロックでいいなあ。7. “Whatever It Takes”も、いかにも80年代らしい良いロックバラード。

Sweetness, “Ashtray floors”(2004)

旬の時期は逃してしまったが、是非書き残しておきたい一枚。僕が大好きな街San Diegoのインディーズバンドらしい。たしか、横浜のタワーで購入したのだが、試聴ブースのキャッチコピーは、「はじけきったThe Cardigansってこんな感じ?」だった。正に言い得て妙、即購入を決意したのだった。私の感想は、「たしかにThe Cardigansっぽい。しかし、Sixpence none the richerっぽい要素も多々あるな」というもの。

1. “Spellbound”はもう、The Cardigansそのものという感じの一曲。ポップさと格好良さの入り混じったドライブ感あふれる仕上がり。1.“Angry Candy”も似たような感じか。4.“I’m not sorry anymore”はSixpenceっぽさあふれる音の作り。こういう音の抜けの良さはアメリカのバンドらしいな、と思う。5. “Inbetweenwhiles”は、スローな曲もこなせるぞ、という感じの一曲。
6. “A synonym”とか7.“The balld if you and me”あたりは何と言えば良いのだろうか、ひたすらにポップだ。8.“S beautiful things”もまたCardigansっぽい。9. “I shall return”からは、どことなくThe Byrdsっぽいものを感じる。ギターのアルペジオの音の運びかな。11. “Lovenaplove”は、今時のアメリカのバンドには出せないヨーロッパっぽい音。面白い。締めとなる“The way you say my name”も、ポップギターバンドらしい良い曲。

まとめると、決して上手くはないが人を惹きつけるなにかがあるMarie(姓はクレジットされていない)のボーカルには要注目。しかし、よくもこんなバンドを見つけてくるものだと、日本のレーベルのポテンシャルの高さに感動した一枚。Quice Recordsというのが日本発売元です。

Sweetnessの公式サイト http://www.sweetnesstheband.com

Leigh Nash, “Blue on blue” (2006)

いつのまにか解散していたSixpence none the richer。メインボーカルだったLeigh Nashがこのたびソロデビュー。なかなか面白いアルバムだと思う。ギターバンドだったSixpence none the richerの枠を外れて、歌の良さが生きるアレンジをもらっているせいだろうか。ちょっとロリ声でDonna Lewisっぽい傾向などは変わらず。

1.“Along the wall”, 2.“Nervous in the light of dawn”でなぜか思い出したのが、Lene Marlinの二枚目。明るく突き抜けきったような音ではなくて、どことなく憂いをおびた曲調が日本人受けする予感。7.“More of it”のサビのあたりは、CMソングに採用されてもおかしくなさそうな抜けのいいギターポップロック。8.“Angel Tonight”は、わたし的には一番のあたりの曲。アレンジがどことなくCardiganっぽいのが面白い。

総じて、ほっとしながら「おかえりなさい」と言えるアルバム。おすすめです。

新しい公式サイト Leigh Nash Music

Jennifer Kimball, “Oh hear us” (2006)

“Veering from the wave”以来、8年ぶり2枚目となるソロ名義でのオリジナルアルバム。ポップさは薄くフォークっぽいが、アコースティック臭くない、という不思議な仕上がり。アルバムの前半は全く乗れず「外したか?」と思ったが、後半がなかなか良い。6. “When I was lost”, 7, “East of Indiana”あたりがお気に入り。8. “Lightning Bugs”は面白い。この手の変てこなリズムは前作でも見られたが、これが彼女の真骨頂だろうか。9. “Ballad #61”のAc. Gtr.のオープンチューニングも面白い。CSN&Yっぽいと言うか、Joni Mitchellっぽいと言うか。無条件でお勧めというわけでもないし、全くの外れというわけでもないし、微妙なアルバムというのが結論。

Rickie Lee Jones, “Pirates” (1981)

二作目となる1981年の作品。Steve Gadd, Neil Larsen, Randy Brecker, Donald Fagen, Dean Parks, Steve Lukatherと涙ものの人々がライナーノーツには並んでいる。一作目が高い評価を受けたアーティストほど、二作目は痛々しい出来になることが多いのだけれど、この自由さは何なのだろう?しかも、一人よがりの楽しさとは異質であるのは言うまでもない。一作目ほどのインパクトは感じられないのだけれど、やはり素晴らしい音に仕上がっていることに間違いはないし、やはり天才なのだなとひしひしと感じる。

1. “We Belong Together”から, 引き込まれていく。2. “Living It Up”なんかはすごくいいなあ。ファンクっぽい4. “Woody And Dutch On The Slow Train To Peking”なんかはとても楽しげ。「この時代っぽい」という意味で圧巻の出来なのは、やはりタイトル曲の5. “Pirates”だろうか。AOR色が強く、特に出だしのあたりにはSteely Danっぽさを強く感じる。曲調がいきなりバラード調に転換して、Rickie Lee Jonesワールドに引きずり込まれていく、いい意味で翻弄されてしまうこの感じはなんなのだろうね。7.”Traces Of The Western Slopes “なんかも複雑な曲なんだけど、さらりとやってくれます。天才の意思をしっかり具現化しているスタジオワークもすごいのだ。3. “Skeltons”, 8.”The Returns”はバラードで、これは実際に聴いてもらうしかない、としか書きようのない美しさ。必聴盤の一枚と言えましょう。

Shelby Lynne, ”I am Shelby Lynne” (2000)

2000年発売のデビュー作で、グラミー新人賞を獲得したアルバム。もっとも、これ以前にC&Wシンガーとしての長いキャリアがあるので、デビューと言うのも実は語弊がありそうだが。アメリカンルーツミュージックの泥臭さを残したロックで、Sheryl Crowのマーケットを食い荒らそうかという見事なかぶり方と思って調べると、プロデューサーが一緒らしい。

1. “Your Lies” , 2. “Leavin'”, 3. “Life Is Bad”あたりが泥臭いロック全開の曲だが、私が心惹かれたのはむしろ 4. “Thought It Would Be Easier”, 8. “Dream Some”あたりの静かな曲。押し付けがましくなく、あっさりと、しかし聴き手を捉える歌というのは、意外に少ないもので貴重。アリゾナの車も途絶えた郊外の道端で、夕暮れ時に聴いてみたくなるね。

Rickie Lee Jones, “Rickie Lee Jones” (1979)

正直な話、このアルバムは何年も前に買ってあったのだが、ピンと来ないで放置したのだ。ところがある日聴きなおしてみて、すっかりはまってしまった。このデビュー盤が彼女の最高傑作だというのが大方の評価だし、私もこの一枚しか聴いていないのだが、Joni Mitchellの域に一番近いのはこの人ではなかろうか。

1.“Chuck E.’s in love”はおそらく一番知られた曲で、このシャッフル感を出せるシンガーソングライターは彼女くらいなものだろうと思う。9.“Weasel and the write boys cool”も似たような曲想。70年代後半のフュージョンっぽい音にJames Taylorなどとも通じるところがあり、とても楽しく聴ける。2.“On saturday afternoon”, 8.“Coolsville”などは、Joni Mitchellかなあ。しみてくる佳曲だ。そして3.“Night train”は、David Crosbyかな。こんな音を自由に操れるのは、すごいとしか言えないのだ。個人的には一番好きな曲。そしてバラードの隠れ名曲として評価が高い10.“Company”は、まだ学部生だった頃に打ちひしがれた曲。20年も経ってまた聴いてみても、やはり心揺さぶられるものがあるのだ。美しくも悲しく、例える言葉もなく絶句するしかない。そして、アルバムは、やはり美しいバラードの11.“After hours”で静かに幕を閉じていくのだ。

Vanessa Carlton, “Be not Nobody” (2002)

Rachael Yamagataのページにも書いたのだけれど、ロックっぽいRachael Yamagata、ジャズベースのNorah Jones、そしてクラシックベースのVanessa Carltonと、かなり色分けのはっきりしたピアノ弾き語りのシンガーソングライターが出てきて面白い時代なのだ。

このアルバムはよく売れたし、この人のセンスはやはりすごいと痛感させられる一枚。はっきり言えば、そんなに好きなタイプじゃないはずなのに、何故か延々と聞き続けてしまうという不思議さがある。“White Houses”の、ひたすら刻んでくるバスドラが妙に気になるのだ。ストリングとピアノが絡んでクラシックの匂いをぷんぷんさせながらも、どことなくテクノだ。

“Annie”もVanessaの色が強く出ている曲で、何故か何故か引き付けられてしまうのだ。そして、きれいにまとめた“San Francisco”も素晴らしい。“like a boy of summer gives his first kiss”なんてあたりの歌詞を女性がさらりと歌いきってしまうところが、四十を過ぎてしまった私にはまぶしく、痛いのです。“Papa”みたいな曲も、彼女でないと書けない曲だな。

Shelby Lynne, “Suit yourself” (2005)

とにかくすっかりやられちまった作品。

もちろんShelby Lynneにもやられたのだが、それ以上にピーター・バラカンにやられたという印象だ。あまりにも意味不明なので、説明しておこうと思う。ある土曜の朝、ピーターバラカンがDJを努めるNHK-FMの番組を聴いていたら紹介されたのがこの一枚。ピーターバラカンといえば、最近の人には「ドキュメントUSA」などの報道ドキュメンタリーの印象が強いだろうが、我々の世代にとっては80年代半ばの洋楽MTV全盛期に「ホッパーズMTV」という特色のある番組のVJをしていたのが思い出深いはずだ。当時から彼の紹介するクリップは、売れ筋だけを追わない特色のあるものが多く、私もかなり影響を受けたのだが(典型例がSing out sisterかな)、この一枚の紹介がラジオから流れてその記憶がまざまざと蘇ったのだ。やっぱりすごい人だなあ、と。

上記バラカン氏によれば「デビュー作以降はプロデューサーに恵まれずさっぱりだったのが、セルフプロデュースで大復活」なのだそうだ。とにかく最初の一曲1.”Go with it”のフォービートの乗りがすごい。この手のアメリカンな音をここまで見事に演じ切る人は、(私がこの方面に疎いにせよ)初体験だ。2.”Where am I now”, 3.”I cry everyday”といい曲が続く。とにかく「かっこいいなー」という一言なのだ。5.”Old time sake”は、Americaの”I love you”を強烈に思い出す一曲。6.”You and me”も素晴らしい曲だし、と挙げていくときりがない。最後の12.”Track 12″は、12曲目っていうやる気なさげなタイトルなんだけど、けだるさが心にしみてくる佳曲。「スチールギターの音っていいなあ」と久しぶりに思ったな。

とにかく外れのないすごいアルバムで、私的には2005年上期のベストアルバム。強力にお勧めいたします。

Swan Dive, “Popcorn and a Mama Who Loves Me Too”(2005)

Victor移籍第二弾。前作ほどのインパクトは感じられないが、決して悪いアルバムではなく、「相変わらず良い」という表現が適切か。しょっぱなの“Get back together”なんかは、Bee Geesの”How deep is your love”っぽい音の運びで始まって、あとはSwing out sisterっぽく曲が展開していくという大人の音なのだ。“Trouble”なんかはブラジルっぽくもあり、「Nashville系」という括りに騙されてはいけない音の多彩さが目立つ。

そうなると、逆に単純な音が素晴らしくも感じられたりする。“You are my superstar”,“Mumbling a goodbye”のあたりは、メロディーの美しさが引き立つ曲。逆に勢いでもっていってしまう“We are two”も楽しげでいい。歌詞は最初は“We are two”なのに、最後は“empty chairs, broken cup, “に引き続いて“We were two”となってしまうので、決して単純に楽しい曲ではないんだけれど。“Now that I found you”あたりも余裕の感じられる曲でいいよね。

Rachael Yamagata東京公演@渋谷Quattro (2005.2.1)

またも当日券での入場。オールスタンディングはしんどいのだけれど、ステージとの近さはやはり捨てがたい。まだ一枚しかアルバムを出していないため1時間半にも満たないステージだったが十分堪能できた。一曲目に“Letter ahead”、二曲目に“Be be your love”と好きな曲が早々に出てしまったため、このあと一体どうなるんだ、とやや心配になってしまったが、十分収穫のあるステージだった。

アルバムからは、ピアノ弾き語りに本領を発揮する人だとの印象を持っていた。もちろんこれは間違っていないし、弾き語り曲は楽しめた。song writingがすごいのは、改めて痛感させられる。しかし、である。楽器から離れてマイクの前にしっかりと立ちシャウトする姿に、私は魅かれてしまうのだった。この人の声はハスキー系なのだけれど、Janis Joplinを彷彿とさせるシャウトが本当にすごい。そういうわけで、一番印象に残ったのは“Worn me down”。どうにも嫌いだったが、何故か気になった詩を専攻していた友達のことが題材だとMCで言っていたようだ。私の耳にはこんな風に聞こえた。「本当に可愛い人で、私はその子のことが嫌いで嫌いで、気づいたらこんな歌を書いていた」んだそうだ。

さて、Rachaelのキャラなのであるが、ステージ上でタバコをふかし、f-wordこそ使わないものの汚い言葉を連発し、それなりに不良しているのだが、なぜか可愛さを感じる人だ。今回うなずけなかったとすると、それはバンドの構成か。バイオリンとチェロが入ったいたが、どうも存在意義が感じられない。ギターはどうも役割を理解してるとは思えないプレー。ただし、ドラムとベースは良かった。ちなみに、ベースはRachaelの従兄弟なのだそうだ。

次作が当たれば、もうクアトロなんかでは見れないかもしれない。でも、次の来日が今から楽しみになってしまうライブだったのは間違いない。

Lisa Loeb東京公演@渋谷Quattro (2005.1.20)

私にとっては、富山の夏祭りでやってきた白井貴子さんのステージを除くと、まともなライブに行くのは1996年にPhoenix, AZで見たJames Taylor以来、さらに日本でとなると1994年以来の出来事なのだ。当然Quattroなんて初めてで、外タレ(死語?)の来日公演も随分様変わりしたな、と痛感したのだ。

しかしいいステージだった。最新作と”Tails”からの曲が中心だったようで、”firecracker”からの曲が少なかったのは残念だったが。“Fools like me”,“Stay”あたりが特に印象に残る。Lisaはちょっと舌足らずながら、私には非常にわかりやす英語で、とにかくしゃべりまくっていた。Lisaのギターは、ストロークはいまいちだがアルペジオはミスなくしっかりピックで全音拾っている。歌いながらあれだけできるのか、とちょっと尊敬。そして非常に印象に残ったのが唯一のサポートメンバーのMatt Beckのプレー。Lisaがアコースティック、Mattがエレクトリック担当なんだが、非常にいいサウンドに仕上がっていた。

終了後にしっかりサインなど貰ってしまったのは、直前に40歳に達していた私としてはやや恥ずかしい点なのだが、まあよしとしよう。いいステージでした。

Rachael Yamagata, “Happenstance” (2004)

Tower RecordsでもHMVでも平積みされている。ピアノの弾き語りということで、Norah Jonesとの類似性を打ち出したような案内文を店頭で見かけたが、Jazzのバックグラウンドは殆ど感じらない。かと言ってVanessa Carltonのようなクラシックの基礎がある感じでもなく、やはりロック系の人という認識で聴くのがいいんじゃないかと思う。今年屈指のスマッシュヒットであると私は思うし、新人ではピカイチではなかろうか。

“Be be your love”の、ゆるゆる感がたまらない。ハスキーな声質とのマッチングで、けだるさがしっかり出ていてはまる。“Letter ahead”のピアノの不協和音の気持ち悪さもいいね。でも、さびではすっきり抜けのいい音に解消されるところがさらに良し。この曲で使われているピアノはちょっとチューニングがずれている?“Paper doll”は、バックのアコースティックギターのオープンチューニングに、にんまり。CSN&Yの、”Judy blue eyes”がちょっと思い出されてしまうのだ。

Lisa Loeb, “The way it really is”(2004)

前作は契約がこじれたのか、日本盤が本国より数ヶ月先行発売になったり、別レーベルから再度発売になったりと慌しかったのだが、本作はブルーグラスなどになじみの深い人にはピンと来るRounderレーベル系のZOEからの発表。日本ではVictorの取り扱いとなるようだ。本国では商業的に成功しないと思うのだが、日本ではまずまずの出足のよう。

最初の二作ほどの輝きはないとの、散々な評価をよく見かけるが、僕は結構この作品が好きだ。2. “I control the sun”, 3. “Hand me down”, 5. “Try”, 11.“Now I understand”あたりをiPodで常時携行。特に好きなのは4. “Fools like me”。たたみかける歌詞がLisaワールド全開なのだ。

Lisa Loeb and Elizabeth Mitchell, “Catch the moon”(2004)

Lisa Loebと、IdaのElizabeth Mitchellの共作による、子供向けのアルバム。この二人、大学時代のルームメイトで、”Liz and Lisaというグループで自主制作盤も残していると、日本盤のライナーノートにある。オリジナル作ほどの冴えは期待できないが、“Oh Susanna”とか“Donguri/Rolling acorn”(どんぐりころころ)などのおなじみの曲は、微笑ましく聴けることでしょう。

Bethany Dillon, “Bethany Dillon” (2004)

いわゆるクリスチャン・ミュージックな人。トラッドから、アコースティックロックまで、アメリカンな音のエッセンスを吸収した1988年生まれの若手である。

これがソロデビューアルバム。ドブロが入っていて、カントリーのバックグラウンドを感じさせる“Revolutionaries”から、どこか懐かしい音だ。“Great big mystery”なんかも、アコースティックロックで面白いね。

Swan Dive, “William & Marlys” (2004)

しばらくの間、私の車の中ではこのアルバムがかけっぱなしにしていたという、お勧めの一枚。久しくデビュー盤の“You’re beautiful”を「この一枚」としてきたが、その座を交代。Swan Diveと契約解除してしまったSonyさん、惜しいことをしました。Victor Entertainmentさん、ナイスフォローです。

一曲目の“Good to be free”は、どことなく初期ビージーズなどを思い起こさせられる曲。わざと舌っ足らずに歌っているのは、Mollyの新境地かな、と思う。“Hometown”も、ストリングのアレンジがかっこよく、しかもMollyの歌が冴えるスローな曲。“Almost over you”は、昔ながらのアメリカンフォークの香りが面白い曲。“Happy for you”では、ペダルスティールのかぶってきかたに、初期Eaglesを思い起こさせられる。“That hat”も、Mollyのボーカルがきれいなスローな曲。一転、“Up with love”は、Swing out sisterあたりダブるポップス炸裂の音作りで、このアルバムで一番の当たりの曲と見た。“Few thousand days ago”は、late 60’s風と言えばいいのだろうか、これもいい曲。“Where am I going”はバラードだが、これもこのアルバムで一・二を争う佳曲。Americaの”Daisy Jane”(邦題:「ひなぎくのジェーン」)とか、Glenn Freyの”The one you love”(邦題:「恋人」)なんかと繋がる曲想だ。“Automatically Sunshine”は上記“Up with love”とも通じる、突き抜ける感じのポップな曲。日本盤ボーナス曲の“Western sky”“Sleeper”も聞きやすい曲。外れの殆どないアルバムで必聴盤と言えましょう。

Beth Nielsen Chapman, “Sand and water” (1997)

このサイトを1995年に始めたとき彼女のアルバムを掲載していたが、その後一時期、所蔵枚数も一枚だけだしということで外していた。なのに、復活させたのには訳がある。それはNHKでも放送中のアメリカの人気ドラマ”ER”で挿入歌がどうにも気になったことだった。調べてみると、それが昔馴染みの彼女の作品であることを知ったのだ。その決定的な一曲というのが“Sand and water”である。ご主人を亡くされた後に書かれた曲らしいのだけれども、Elton Johnがダイアナ妃の追悼コンサートで取り上げた曲としても有名。なんとも書きようのない素晴らしい曲。一度自分で聴かれることを強くお勧めする。

“Sand and water”の印象にかき消されがちだが、“The color of roses”“Beyond the blue”なども素晴らしい曲。

Beth Nielsen Chapman, “You hold the sky” (1993)

やはりこの人の本領は、“Say it to now”“Rage on rage”“The moment you were mine”で聴かれるように、ピアノの弾き語りと薄いバックで、フォークっぽい音作りの曲を歌い上げる点にあると思う。この点でCarole KingJoni Mitchellの初期とイメージがかぶる。

“Dance with me slow”は、ジャズのスタンダードボーカル風で、これも一興。

Swan Dive, “June”(2000)

久々の新譜である。最初は退屈なアルバムに思えて、一度聞いたきりしばらく放置してあった。しかし、聞きなおしてみると、これがなかなか良いのである。

“Girl on a wire”、”Truly, Madly, Deeply”(かなりBeatlesっぽい)、”Puzzle Ring”(この曲のボーカルはBill DeMain)、”Kaleidoscope”と「Swan Diveっぽい」ポップスが並ぶ。確固たるスタイルが前作から継承されていて、安心して買うことが出来るアルバムだと言えましょう。以前からのファンを絶対に裏切らないものと思う。

心地よいポップスもいいのであるが、Mollyのボーカルの良さを味わえる他の曲も個人的には好き。ボサノヴァっぽい三曲目の”one sided”、”Safe and Sound”、アコースティックな”Mountains”、”Katydids”が秀逸。

Sheryl Crow, “Live from Central park” (1999)

セントラルパークのライブと言えば、Simon and Garfunkelでしょ、と思うあなたは古い人です。このライブは、Eric Clapton, Chrissie HyndeSarah Mclachlan, Stevie Nicks, Keith Richardsらの豪華顔ぶれでのライブ。

しょっぱなの“Everyday is a winding road”から大変かっちょいい。これは日本ではジーンズのCMかなにかでかかっていたのではなかったか(日産シルビアが正解のようだ[2005.3.1追記])?“Gold dust woman”はStevie Nicksの持ち歌だけど、やっぱりいいねえ。“If it makes you happy”も売れた曲だが、これをChrissie HyndeとSherylが、がっぷり組むかのように歌ってるのは感動ものだ。“happy”での、Keith Richard, Chrissie Hyndeとの揃い踏みも、テレキャスの似合う三人だったのだろうと想像がふくらむ。かと思うと、全くカラーの異なるSarah Mclachlanとも、“The difficult kind”で、ちゃんと噛み合ってるところが面白い。“White room”のClaptonは貫禄と言う以外ないね。これにはSherylも霞みますわ。

Maria Mckee, “High Dive” (2003)

effenとの契約は切れて、自分のレーベルからの発売。アンナ・バナナの名盤と同じタイトルでちょっとぎょっとする。“To the only space”は、カントリーがちょっと入った60年代後半っぽい音。表題曲“High Dive”も適切な例えが見つからないけど、いい曲だと思う。“My friend foe”“Love doesn’t love”Non religious building”も60年代後半を意識した音の作り。Buffalo SpringfieldとかJeffersonのあたりかな。

最後に来ている“From our T.V. teens to the tomb”とか“Worry birds”とか曲はいいんだけど、声質と合ってない感じがするかな。どうも高音域の声の伸びが落ちていることが関係しているような気がする。聞きとおして、いまいち突き抜けきらない感じのする一枚。

Go Go’s, “Go Go’s Greatest” (1990)

パンクとしてスタートしたという割には、全編を通じてベンチャーズ・ビーチボーイズっぽい、昔ながらのカリフォルニアサウンド仕立て。とにかく、単純に勢いでもっていってしまえ、という曲が揃っているのだ。しかし、その中にあって、どうにも記憶にこびりついて離れないのが“vacation”私の履歴のところにも書いたが、高校3年に札幌でも”Best Hit USA”の放映が始まった。その頃ちょうどヒットしていたのがこの曲。簡単なフレージングなんだが、シンセが印象的なのだ。同名のアルバムのジャケットが、いかにもカリフォルニアしていた記憶が鮮明。この一曲を聴きたいがためにこのアルバムを買ってしまった。たとえば、夏の頭が朦朧した時期に、完全に脳味噌溶かしきってとどめを刺したいというような用途には大変向いているアルバムだ。

Belinda Carlisle, “Heaven on Earth” (1987)

これはもう“Heaven is a place on earth”で決まりなのだ。大ヒットしたので、当時はとにかく耳についたものだ。でも、いい歌詞だよね。Go Go’sの時期とはまったく違う味を出しており、中低音域での上手すぎないボーカルが結構はまる人には、はまるのではなかろうか。底は浅いような気もするけど、どことなくStevie Nicksっぽいところもあるかなあ。“Fool for love”では、ロッカーの片鱗を見せている。“I get weak”“We can change”の、ベースラインとかシンセのかぶり方なんかは、いかにも80年代っぽい音の作りで、そういう意味では懐かしい思いにひたれる一枚。

The wayfaring strangers, “Shifting Sands of Time” (2001)

Matt Glaser, Tony Trishkaら、ボストンのあたりの名うてのBluegrasserたちのバンド”the wayfaring strangers”のボーカリストとしてJennifer Kimballが参加しているというアルバム。しかし、(bluegrass的には)豪華なゲストボーカル陣に主役を奪われた格好になっているのは、”acoustic-based folk-pop”のJennifer好きの私にはとても悲しい。

しかし、15年ぶりに購入したブルーグラスアルバムである。神様だったTrishkaも随分おとなしい感じになってしまったなあ、と昔日を懐かしんでしまった。さて、検索エンジンなんかでこのページをひっかけた(特に40代前半の)ブルーグラス関係者で、Clarence WhiteとかRuss Barenbergが好きな関東の学生だった私に心当たりがある方、メールでも出してやってください。

Jewel, “pieces of you” (1994)

フォークっぽい音の仕上げが光るソロデビュー盤。まずあら捜しなのだが、ライブ録音の曲が多いせいか、リズムがかなり走り気味で落ち着かない。“Adrian”あたりのピッチの落ち着かなさも、ちょっとどうにかして欲しい。

で、けなすのはこのあたりにしておいて・・・。表題曲の“pieces of you”“Little Sister”は、ギター弾き語り曲なのだが、このギターの感じはDavid Crosbyとか初期のJoni Mitchellに通じるものがあるな。ちょっとカントリーフレーバーの“Morning song”も気持ちのいい曲だ。Jennifer Kimballと共通する部分も感じる。

だんとつにいいなあ、と思う一曲が、“Near you always”。このギターは、未解析だけれど、オープンチューニング使っている模様。Jackson BrowneのアルバムでのDavid Lindreyのプレーというのが一番ぴったりと来る例えかな。イントロで一瞬Byrdsっぽいなと思ってしまったのだが、トーンとかフレーズの運びがPat Methenyっぽくもある。歌ももちろんいいね。

Jewel, “Spirit” (1998)

泥臭いフォークの残り香が漂う、しかししっかり90年代している、とてもアメリカンな素晴らしいアルバム。(商業的に成功してる人の中では)Alanis MorissetteSheryl Crowがロックっぽい路線を代表するとすれば、JewelとLisa Loebが、アコースティック路線を支えている、というのが私の捉え方。

しょっぱなの“Deep water”から、非常に良いのだ。James Taylorっぽくもあるし、Lisa Loebっぽくもある。ピッチもデビュー盤と比べて格段に落ち着いて、非常に安心して聴ける。“What’s simple is true”“Hands”と良い曲が続く。“Down So long”は、音使いがCrosby and Nashっぽいかなあ、と思う。“Enter from the east”は、これはもう初期Joni Mitchellとしか言いようがないですな。Pedal steel Gtr.が印象的な“Barcelona”なんかは、初期EaglesとかJackson Browneっぽさも感じさせられる70年代西海岸サウンド炸裂って感じ。ドラムの音が、またいかにもそれらしい。

と、ここまで書いて気付くのだが、特に新しいことをやってるわけではないのだ。しかし、80年代にすっぽり抜けてしまったこういう音作りを、90年代にしっかりもう一度やってくれた、というところに共感してしまうのだな。私は70年代の音が好きだったのに、80年代に青春を過ごしてしまった人間だから。

Carole King, “Tapestry” (1971)

言わずもがなの名盤中の名盤。洋盤のタイトルの邦訳には泣きたくなるようなものが多いのだが、このアルバムの「つづれおり」というのは実にいい訳だと思う。ピアノの弾き語りがやはり特徴で、このスタイルが定着したのは、やはりCaloreの功績が大きいのではなかろうか。矢野顕子があるのも、八神純子があるのも、Beth Nielsen Chapmanがあるのも、Vannessa Carltonがあるのも、元はと言えばこの人の影響なのかなあ。個人的にはJoni Mitchellの功績も外して欲しくないのだが。

アルバムは名曲“I feel the earth move”から始まる。最近、元Mr. BIGのPaul Gilbertや、日本でもIndigoがカバーしていた。続く“So far away”も名曲だ。James Taylorのギターもいいね。“It’s too late”も、最初に聴いたのは高校生の時だったような気がするけれど、フォーク・ロック・ポップスの要素が絶妙にブレンドしている、頭から離れない曲。“Home again”もいい曲だ。どうしてこうも名曲が続いてしまうのだろう。

そしてそして、“You’ve got a friend”は、やはり不朽の名曲なのだ。ピアノ弾き語りのこのバージョンと、ギター弾き語りのJames Taylorバージョンを、是非聞き比べて欲しい。このアルバムでもJames Taylorがバックでギターを弾いているのだけれども、大変抑えたプレーでちょっとさびしい。

その他、The Shirellesが歌って1961年に全米No.1 に輝いた“Will you love me tomorrow?”、タイトル曲の“Tapestry”“, Aretha FranklinやCeline Dion がヒットさせた“(You make me feel like) a natural woman”あたりも、聞き逃せないでしょう。

  1. The official Carole King Website (公式サイト。)

Michelle Branch, “hotel paper” (2003)

ちょっと大人になったな、とまずは感じる彼女の二枚目。2003.7.12付けのBillboardアルバムチャートでは初登場2位を記録。“are you happy now?”“find your way back”とハードめのポップロックから始まる。このあたりの曲はシングルカットされて、それなりに売れるだろうと思う。(ちなみに、1st singleの“are you happy now”は7週目で25位)。

アコースティックな“desparately”、ミディアムテンポの“tuesday morning”“where are you now”、pop色の強い“breathe”あたりが、わたし的にはお勧め。Sheryl Crowが参加した“love me like that”も良い。

普通、アルバムの前半がしっくり来て、後半はいまいちというパターンが多いのだが、このアルバムに対する私の印象は全く逆だ。レコード会社がプッシュする路線と違う部分を私が気にいっている、ということなのだろうな。

Vanessa Carlton, “Be not Nobody” (2002)

自分のピアノとストリングのバックアップを多用したアレンジとで、クラシック教育を受けた雰囲気を感じさせつつも、シンガーソングライター系の音を作っている点が面白い。明るくスカっと抜ける曲はなく、マイナー系の曲が多くなっている。

ピアノのイントロが印象的な、3曲目の“A thousand miles”が大当たり。“ordinary day”“pretty baby”“rinse”なんかも良い曲だ。

Lisa Loeb, “Cake and Pie” (2001)

このアルバムの発売前後、ちょっとした混乱が起こっていた。まず日本発売が本国より4ヶ月早かった。本国で発売されたA&M盤は商業的に成功せず、同年のうちにレーベルを変え、一部の曲目を入れ替えて”Hello Lisa”(Kittyちゃんがジャケットに載ってるやつ)として再発。

内容はと言えば、前二作ほどのキレは無く、確かに売れないのもわかるのです。しかしワタシ的には、2.“Bring Me Up”, 5.“Someone You Should Know”, 7.”We Could Still Belong Together”, 8.“Kick start”, 9.””, あたりが好き。

Maria Mckee, “You Gotta Sin To Get Saved” (1993)

“I’m gonna sooothe you”からギターのオーバードライブのトーンが心地よいロックンロール。“My lonely sad eyes”“Why wasn’t I more grateful (when life was sweet)”は、60年代後半のカントリーロックっぽい曲。気持ちよいね。“My girlhood among the outlaws”はすごいロックバラード。文句なしの名曲。

“Only once”“Precious time”は、泥々のカントリーチューン。“I forgive you”あたりの高音でのシャウトは、Janis Joplinの影響かな。“I can’t make it alone”も心地よいロックナンバー。

総じて外れのないロックンロール色の強いアルバム。こういうゴツゴツした音作りのアルバムは結構希少価値があり、お奨めの一枚。

Norah Jones. “come away with me”(2002)

実にアメリカらしいシンガーソングライターだと言えるだろう。ピアノの弾き語りがかっこよく、どことなくSiljeっぽいのかな。二曲目の“Seven Years”は生ギター一本のバックから始まるのだが、これもいい曲だなあ。四曲目の“Feelin’ the same way”もいい感じの曲だ。10曲目の“Painter’s song”はジャズっぽい曲でこれもいいな。12曲目の“Nightingale”は、このアルバムでは数少ない自作曲だけど、これもいい感じなので、次作は自作曲を増やしてみてほしい。13曲目の“The long day is over”もさりげなく虚無的な歌詞がなかなか良い。

Sixpence none the richer, “divine discontent” (2002)

久々に出てきた新譜。大半がNashvilleでの録音だ。前作と傾向に大きな差異はない。“Breathe your name”“tonight”と心地よい。しかしながら、前作における“kiss me”のような、「これで決まり!」というインパクトの強い曲は無いような気がする。

「は~っ?」っと思ったのが四曲目のイントロ。えらく懐かしく、「ぱくりか?偶然か?」との思いが頭をよぎったが、正解は純然たるカバー。原曲はCrowded houseが歌っていた“Don’t dream it’s over”。このカバーはさわやかに仕上がってしまっていて、音の暗さ・重さが印象的な原曲を若い頃に好んで聞いていた私としては、ちょっとさびしい気もする。

[2003.8.10追記] 最近何やら”Sixpence none the richer”で検索をかけて来る人が多いと思っていたのだが、この“Don’t dream it’s over”が、映画「10日間で男を上手にフル方法」(原題:”How to lose a guy in 10 days”)のCMでやたらかかっているからなのだろうか?調べてみると、この映画のサントラに収録されているのは、“Don’t dream it’s over”ではなく、前のアルバムに収録されていた“kiss me”のようだ。いったい、どうなってるの?

[2003.12.12追記] ふだん映画を見ない私ではあるが、二ヶ月ほど前のアメリカ出張の際の機内上映で、上記「10日間で男を上手にフル方法」を見てしまった。“Kiss me”はバスケの会場のシーンで使われていたが、“Don’t dream it’s over”は使われていなかった模様。日本の配給会社の作戦だったというのが結論のよう。

The Bangles, “Greatest hits” (1995)

正直すごいバンドではないと当時から思っていたけれども、コーラスワークに関しては良かったという記憶が残っていた。先日、大ブレークの予感がするLillixを聴いていてふとそのコーラスワークのことを思い出した。それで唯一保有しているベスト盤を改めて聴いてみようかという気になったのだ。しかし、VH1の解説によれば、これはコロンビアが版権を持つヒット曲だけを収録しているので、バンドの全容を知るには必ずしも適していないそうだ。

“Manic monday”は全米2位まで行った出世作となったシングルで、実はPrinceがこの曲を書いたらしい。“If she knew what she wants”あたりもいいミディアムテンポのポップロック。“Walk like an Egyptian”は全米No.1になったけど、ちょっと軽すぎだなあ。

で、私がBanglesというと思い出すのが、“Hazy shade of winter”“。言わずと知れたSimon and Garfunkelの名曲をカバーしたもの。Bret Easton Ellis原作の”Less than zero”を映画化したもののサントラに使われた。原作の邦訳は読んで印象的だったけど、映画は見なかったな。ちょっとハード目な音とコーラスが特徴的で、Lillixを聴いてBanglesを思い出したというのは、そんなところに理由があるのだろうと自己分析。“Eternal flame”も全米No.1になった曲で、これはいいバラード。当時から気になった曲だ。改めて聴くとほんとにいいね。“I’ll set you free”もいいポップロックバラード。80年代から90年代への過渡期の曲っていう感じのするアレンジが印象的。やはりコーラスがいいね。

まとめると、ヒットになるように周りが丁寧に音を作った、という感じのするバンドなんだけれども、もらってる曲はいいのでそれなりに楽しめる、という一枚。先発のガールスバンドThe Go-Go’sなんかよりは、はるかに上質のバンドと見た。

IDA, “will you find me” (2000)

はまってしまった・・。金沢のタワーレコードの試聴コーナーで耳にして、その場でにやつき(周囲には不気味に思われたことであろう)、その後躊躇せずにCDを手に取りレジへと向かった。これほどすんなり「これキープ」と思えるCDは久々で大感動。

で、何にはまったかと言えば、2曲目の“maybelle”なのである。高校生の時からのアイドルであるCrosby, Stills and Nashの一枚目に収録されているDavid Crosbyの曲”Guinnevere”の雰囲気そのままなのだ。アコースティック系のバンドからCSN(&Y)の雰囲気を感じることは、そう珍しいことではない。でも、David Crosbyっぽい感じを出せる人っていうのは、そうはいないと思うのだよね。もっとも、日本語のライナーノーツの中にある「彼らが影響を受けたアーティスト」って項には、Neil Youngが辛うじて登場しているが、Crosbyに関しては影も形もないのだけれど。

その他の特徴としては、デュオとしてスタートした名残なのだろうか、コーラスが大部分は二声で抑えられてて、分厚いコーラスで勝負したりはしないってことが挙げられる。この辺が、ついついSwan Diveと比べてしまいたくなる由縁なのだろう。6曲目の“shotgun”なんかが典型なのだが、薄い音の作りな割りにものすごく垢抜けた音。ちょっとしたバリエーションもあって、最初の曲の“down on your back”では基本的に二声で進行するが、さびになると実に効果的にもう一人かぶってくる。“triptych”はソロ曲かと思っていたら、やっぱりほんのちょっとだけコーラスが、ほとんど楽器によるバックアップみたいな感じでかかって来るしね。

かと思うと、5曲目の“The Radiator”は、コーラス一切なし。これがまたいいのだ。10曲目の“Georgia”なんかは、Lisa Loebっぽいソロボーカル。“encantada”もソロボーカルみたいだけど、この曲のアレンジは絶妙に70年代前半的な感じでかっこいい。アコギ・ピアノだけでバックアップをとって組み立てて、あとから非技巧的なエレキのフレーズがかぶってくるっていうパターンなのであるが。

といった感じでとにかく絶妙な一枚。是非聴かれんことをお勧めする。蛇足ながら、ここまで書いてようやく思い当たった。このギターのコードとかアルペジオの取り方って、サイモン・アンド・ガーファンクルっぽいんだ。やっぱり東の方の音なんだね。

 

Rachael Sage, “smashing the serene” (1998)

マイナー趣味のこのサイトにあっても、最強のマイナーな人選だろう。

このアルバムに出会ったのは、1999年3月のアメリカ出張中、元地元のTower Records Tempe店の試聴コーナーだった。おどろおどろしいサイケなジャケットにびびりながら聴いてみたのだが、これが良い。帰国してから真面目に聴いてみると、さらに良い。

1曲目の“sistersong”は、生ギターで始まり、子供っぽいピアノの片手弾きが重なってきて、最後にバンド編成になっていくのだが、simpleながらいい音です。歌詞は強烈みたいだけど。

この手の薄目の音が全編貫かれている。他のおすすめとしては7曲目の“My Eliza”、8曲目の“Alive before you”のあたり。ただ、歌詞は超内向的おどろおどろ系。これには、のめり込めないな。

  • Rachaelsage.com (公式サイト。彼女が公式サイトを持つようになるとは、まさか思っていなかった。)

Sixpence none the richer, “Sixpence none the richer” (1998)

メジャーデビュー盤らしい。基本的には、ギターバンドっぽく、しかしバイオリンなどを効果的に入れたアレンジが、私には結構心地よい。Leighの声は、ものすごく特徴的というわけでもないし、特に上手い訳でもないのに、なぜかはまってしまう。不思議だ。

一曲目の“We have forgotten”から、上手くはないが、いいギターバンドだという気にさせられる。二曲目の“Anything”は、薄いアレンジの上にLeighのキュートな声が乗ってくる佳曲。

秀逸なのは、四曲目の“Kiss me”。maj7を使って人をだますというよくある仕掛けの曲だが、その単純さがたまらない。この中で、Leighの伸び切らない声が、生理的な快感を与えているのだ。きれいな曲です。14曲目にlive versionが入っているが、こっちは歌い急いでいるような感じで、それほど良くない。

他に印象に残った曲としては、七曲目の“I can’t catch you”を挙げておこう。Leighは、声も細く、ちょっと不安定さを感じさせるけれど、とにかくいい!そういう点では、曲のタッチはだいぶ違うものの、ちょっとLisa Loebぽいのかな。13曲目の“There she goes”も、素晴らしい。

Sara K., “closer than the appear”(1992)

「生音で勝負、オーバーダブはしない」を売りにするChesky Recordっていうレーベルから出ている。アコースティックベースとピアノのみのバックという構成の曲が多く、録音が私にとっては前代未聞の良さ。歌の細かいニュアンスというのか、ダイナミズムがストレートに伝わってくる。「歌って人間が奏でるものなのだな」などという当たり前のことを、改めて思い知らされます。とにかく真面目な一枚。部屋にこもって一人で聞きましょう。スピーカーの前に正座して。

上に書いたようにJoni Mitchell系っぽい音の作りなのだが、尖った感じの曲はない。安心して聴けるけれども、だれたりもしない絶妙なところを突いている感じ。一曲目の“miles away”なんかは、アメリカの西の方の雰囲気が伝わってくる。“Make Believe”とか“What’s a little more rain”みたいなスローテンポの曲が、この人の最高の持ち味なんじゃなかろうか。とにかくすごい。最後に収録されているのがBob Dylanの“like a rolling stone”なんだが、見事にSara K.の世界になっちゃってます。

Rebekah, “Remember to Breathe”(1997)

これがソロデビューアルバム。生ギター一本で聴かせる曲から、Alternative系の音まで一枚にごっちゃり詰まっているが、私はアコースティックな曲に例のごとくはまったのだ。

四曲目の“Love Song”で決まりなのだ。最初の”She picks…”の歌い出し方一つにころっといってしまう。純アコースティックの編成でお届けするバラッドであります。聴くべし。

七曲目の“Keep it a secret”“Love Song”と似た音の作りから始めて、さびでは上質のロックに化けていきます。やっぱり、このさびでの歌の説得力みたいなものに関しては、ホワイトには絶対出せないブラックの根強さみたいなものを痛烈に感じてしまうなあ。二曲目の“Sin so well”も似たような音のつくりで面白い。

Jennifer Kimball, “Veering from the wave” (1998)

これがソロデビューアルバムらしい。私好みの典型的な音で、www.jenniferkimball.comによればacoustic-based folk-popという分類になるんだそうだ。3月にアメリカに行ったときにTower Recordsの試聴コーナーで気に入って買ってしまった。

1.“Meet me in the twilight”から、「アコースティックだせい」という音の仕上げで、「いいアルバムにあたったかもしれない」という気にさせられる。一昔前のBruce Hornsbyみたいだ。CDのあたまにいい曲が来ているっていうのは、わたしのような試聴コーナーで衝動買いする人を引き込むには重要。

3.“Fall at your feet”は、ちょっと気色悪いコードから歌いだすんだけど、さびではきれいな曲に化けてしまうという不思議な曲。

5.“It’s a Long Way Home”が私の一番のおすすめ。生ギターがCSN&Yの頃のNeil Youngみたいな感じ。典型的なアメリカンってな歌詞で、実にありふれたところを突いているところが、軽薄な私受けしてしまう原因かもしれないな。

9.“(this is)My new vow”っていうのも結構気になる曲である。この曲でJenniferはStrumstickっていう楽器を弾いているんだけど、これはハンマーダルシマみたいなもんなのかな?The New Yorkerに出ていた詩に触発されて書いた曲なのか、一部引用があるようだ。曲自体はすごくきれい。

11.“Veering from the waves”もいいな。かなりのおすすめアルバム。

Sara K., “Play on words”(1994)

黒っぽい音への傾斜が打ち出されている感じがする。“Stop those bells”なんかは完全にブルースだし、“If I could sing your blues”なんかはチック・コリアの”Spain”に影響を受けたと思われるようなJazzだし。それでもやっぱり、あくまでCheskyの音なんだけど。ジャケットの裏には四弦ギターなる不思議な楽器を持つSara K.が写っているのだが、気になるところだ。

Sheryl Crow, “Sheryl Crow” (1996)

この一枚も大当たりで、これに納められた曲はCMなどでもずいぶん取り上げられた。私はどうしても、初対面の強烈さから最初の一枚を「この一枚」に挙げてしまいがちなのだが、このアルバムの方を「この一枚」にふさわしいと挙げるファンは多いと思う。とにもかくにも、けだるさも、疾走感も、泥臭さもごった煮の、アメリカンロックな一枚。

誰もが聞き覚えがありそうなのが“It makes you happy”や、“Everyday is a winding road”だろうか。特に後者は、アメリカの州の外れあたりのフリーウェイを爆走しながら聞きたい一曲だ。“Maybe angels”とか、“A change”のあたりもとても良い。快作です。

Michelle Branch, “The spirit room” (2001)

1983年生まれ、18歳でのデビューは鮮烈だった。私がかつて住んだArizona州PhoenixからGrand Canyonへ北上していくと、Flagstafという小さな街を通る。route 66が通過する、のどかで綺麗な田舎町なのだが、彼女はそこの出身だと言う。あの町からこういう人が出てくるのかと、ちょっと驚きだ。

このアルバムはよく売れた。なかなかハードな“everywhere”が一曲目なのだが、私が気に入っているのは二曲目から続く“you get me”“All you wanted”“you set me free”“something to sleep to”のあたりだ。心地よいアメリカンロックが続く。一転してロックバラード調の“goodbye to you”(10曲目)も、かなりいい仕上がりである。

Sheryl Crow, “Tuesday night nusic club” (1993)

いきなりシーン最前線に踊り出たデビュー盤。ちょっとクラシックなアメリカンロックを地で行く音作り。ジャケットも、アメリカで田舎道を走ってる最中に突然現れた小さな田舎町のモーテルなんかを想起させる、いいアートワークだ。“Run, Baby run”から、Bob Dylanっぽいルーズな感じのロック炸裂。女性でこういう感じを出して、なおかつ様になる人というのは滅多にいないのだ。

なんといっても最高なのは、“All I wanna do”だろう。この曲は、日本でもアメリカでも、至るところで耳にした。それまで、Chrissie HyndeとかJoan Jettとかが、少しずつあけてきた風穴を、一気に突き破った感のあるスマッシュヒットであった。スライドギターがかっちょいいね。

NIna Gordon, “tonight and the rest of my life” (2000)

“Veruca Salt”から独立してのソロデビュー盤。

まとまりがあるような、ないような、結構微妙なアルバムなのだが、私にとっては面白い。ミディアムテンポのロックである“now i can die”から入っていく。とても心惹かれたのが二曲目の“2003”。アレンジが気に入ったのだけれど、この懐かしい音、いったいどこで聞いたのだろう?“horses in the city”もいい曲だ。どことなくLisa Loebと通じるところがあるような気もする。どこか抜けきらず篭った声がいいのかもしれない。

“hold on to me”とか“got me down”のような、スローなロックバラードっぽい曲もなかなかよろしい。

Lisa Loeb, “Firecracker” (1997)

二枚目の“firecracker”。私はこれを聴いたとき、「やっぱり天才っているんだなあ」と思ったものだ。

一曲目の“I do”は、シンプルなアレンジのアメリカンな音。この人の歌詞の特徴は、単純な短文をきっちり韻を踏んで連続してたたみかけることで、詞を織り成していくっていうもののようだ。よくある感情を題材にしている分、下手すりゃ小学生の感想文風になってしまうとこなんだけれども、そこはやはり天才、ずっしり重いものに仕上げてくるよね。

三曲目の“Truthfully”は彼女としては珍しくpositiveかつstraightな内容の歌詞のかわいい仕上がりの曲で、とっても好きなんだけれども、同時にちょっとした違和感も感じてしまう。四曲目の“Let’s forget about it”もいい曲だ。アメリカにいたころ、この曲名と同じ言葉を口癖とする友達がいたなあ、などという個人的な記憶と結びついているんだけど。七曲目の“Wishing Heart”も大変好きな曲で、特にアコースティックギターのバッキングとドラムの乗りは大好きだ。たたみかけるような歌詞もいいね。ラストの“Guessing game”も結構不思議な曲で気に入っている。

なんといっても、これらの歌も、アルバムの音自体もアメリカ人にしかつくれない代物で、そういう意味でも大いに私のお気に入りなのだ。

ところで、二曲目の“Falling in love”の出だしはどこかで聴いたことありませんか?あたしはJames Taylorの”Sweet Baby James”にそっくりだと思ってしまった。

Lisa Loeb & Nine Stories, “Tails” (1995)

後にCDとして再発された”purple tape”はあるが、これが事実上のCDデビュー盤。一番すごいと思ったのは、二曲目の“Snow Day”。曲のはじまりのあたりでのアコースティクギターのアルペジオの取り方が、昨今耳にしないほどきれい(まあ典型的と言ってしまえばそうなのかもしれないけど)。でも、“It’s a bad day. You’re my medicine….”とかって歌いきっちゃってるさびのところなんかの迫力もすごいんだな。とても自由な感じで曲を組み立ててる感じがします。ラストの“Stay”でも、よく計算されてるわりには自由に聞こえる生ギターとマンドリンのからみが聞ける。これはほんとにいい歌。初期のJoni Mitchell的な発想かな。

1曲目の“It’s over”、3曲目の“Tabby”での歌詞なんかは、典型的なLisa Loeb world。9曲目の“Alone”は、エレキギターのバックアップが個人的に気に入らないけど、やっぱりいい曲だと思う。10曲目の“Waiting for Wednesday”の場合はまったく逆で、エレキギターの音質・フレージングともにByrdsっぽくてとっても好き。良質のFolk-Rockって感じかな?あらためて聞き直してみると、うん、すごい佳曲ぞろいだ。聴くべし。

Swan Dive, “Circle”(1998)

一曲目の“Breezeway”からいい感じで入ってくる。三曲目の“Goodbye September”は、70年代前半のGeorge MartinがプロデュースしてたころのAmericaとかに通じるような音の作りで懐かしい感じがする。グループの音の作りとしては向上しているけど、Mollyの良さが一作目と比べるとあまり出てきていないような気がする三枚目。

Swan Dive, “You’re Beautiful” (1997)

デビュー盤. “The Day That I Went Home”でのMollyのボーカルが絶品。なんといってもメロディラインがきれいで、生ギターを中心としたアレンジが心地よくて、Mollyの声質にぴったり合った曲です。アメリカの現代小説みたいな、さりげない表現で流しているが、奥深いものを感じさせる歌詞もいいんだよね。自分の故郷が思い起こされる歌である。

7曲目の“Charade”もいい曲です。アルバムのその他の曲の中にはMathew Sweet風の曲があったりして、外れの曲がほとんど無い正解のCD。