鬼才大貫妙子さんの2002年のアルバムを今頃になって聞いています。この時期の大貫さんは、山弦の二人と一緒に仕事をしているのですよね。山弦とは、(最近は松たか子の旦那としてむしろ知られているかもしれない)佐橋佳幸さんと、小倉博和さんのアコースティックギターデュオ。これに平松八千代さんを加えたSOYは、ワタシ的には大好物です。
1.「あなたを思うと」、2.「緑の道」、3.「ともだち」、8.“Snow”あたりの山弦コラボ作品が秀逸。山弦としてはちょっと抑えた、しかしツボを抑えたプレイで大貫さんの魅力を引き出しています。
一方で4.“Wonderland”なんかは、シュガーベイブの流れそのままのポップス、6.“Le Musique”あたりは、これも初期のトレードマークだったヨーロッパっぽい音造り、9.「星の奇跡」は、”pure acoustic”の頃の音造り。このとき大貫さんは多分48歳、新しいものを次々繰り出すという作品ではありません。しかし、自分の魅力を引き出してくれる山弦のようなアーティストとのコラボを取り入れつつも、自分がかつて作ってきた音でしっかりとアルバムをまとめるような安定感が際立つ心憎い作品。外れのない佳曲揃いです。