The Pretenders, “Viva El Amor” (1999)

ギターバンドっぽい音への回帰が顕著な作品。「お帰りなさい。」と言いたくなる。“human”は非常に気に入ったが、実は他のバンドのカバーだと聞いてちょっと驚いてしまった。変な表現かもしれないけど、「伝統的なPretendersの音」だもの。“From the heart down”はきれいにまとめたスローバラード。“Who’s who”も、古くからのファンは涙なしには聞けぬ曲だろうな。

“One more time”はJanis Joplin節ってな曲で、Chrissieってこういう趣味があったのか、などと感じてしまったよ。“Leagalise me”はJeff Beckがギターを弾いているところに注目。それにしてもleagalizeではなくleagaliseなのね、さすがBritish。

最後に、日本盤の歌詞対訳中でうなずけない箇所を一点。“popstar”の中の、”red meat”ってそりゃ「赤い肉」だけど、これ「牛肉」の意味ぢゃないの?

Joni Mitchell, “Hits” (1996)

96年暮れに発表になった二枚ばら売りという奇妙なベスト盤を取り上げてみる。邦題は忘れてしまいたいほど酷いものだったので、ここには書かぬ。

一枚目の”hits”の方は、文字どおりヒット曲が集められている。その中には、“Woodstock”“Both sides, now”のように他人に提供してヒットした曲も含まれる。自ずと、70年代の曲が多くなる.。

このCDはArizonaにいたときに殆ど常に車の中でかけっぱなしにしてたせいか、妙にArizonaへの郷愁を感じてしまう。まあ、Joni自身は、AZとは縁遠いCanadaianで、むしろ雪が似合うんだろうがね。

渡辺美里、”eyes” (1985)

彼女のデビューアルバムであり、かつ彼女の最高傑作。この頃に女性ロッカーが出始めていて、当時の教祖様は「六本木心中」で当てたアンルイス。これに対して地道に人気があったのが白井貴子で、渡辺美里は「白井貴子の妹分」として売り出されたと記憶している。同時期に中村あゆみや小比類巻かおるが出てきたという時代であった。

このアルバムの中では、“Growing up”「すべて君のため」「悲しいボーイフレンド」、そしてタイトル曲の“eyes”が秀逸。曲を提供しているのも、小室哲哉・木根尚登のTM勢、大江千里、岡村靖幸、白井貴子と豪華な顔ぶれ。特に小室哲哉が重要な役割を果たしていて、彼自身にとってもプロデュース業で最初に収めた大成功だったと記憶している(TMが商業的に成功したのはこの数年後)。

これ以後のアルバムと比べると、シンガーとしてのテクニック的には劣る。速い曲では若さに任せて勢いで歌いきっているけれども、特にスローな曲であらが目立つ。しかし、声が圧倒的に若いのだ。これが何事にも代え難い!そして、このアルバムの翌春に、あの名曲“My Revolution”が出て(「セーラー服通り」で使われたんだな)、渡辺美里は時代の寵児になっていくのであった。

Silje, “Cow on the highway” (1993)

音の作りがちょっとアメリカっぽくなったかな?と思った三枚目。“Cow on the highway”“Break all the rules”“Crazy Ocean”は結構好きな音の作りだ。でも、やっぱりこういう音はアメリカ系の人じゃないと結局はさまにならないのだな、とも痛感させられる一枚。

The Pretenders, “Packed” (1990)

しょっぱなの“never do that”から、ほとんどお約束のようなギターサウンドとChrissieのヴォーカル。三枚目の(“Show me”+”back on the chain gang”)/2ってな曲と言えばいいのかな。“when will i see you”も好きな感じの曲だ。“hold a candle to this”も、ちょっとハード目の佳曲。

スローな曲でいいのがない、というのがこのアルバムの感想。強いて言えば、ラストの“criminal”くらいだろうか。全般を通して、昔からの路線をちょっと踏み外して一気に魅力低減、という曲が多いアルバムのように思う。これは私がThe pretendersに求めているものが決まってしまっている、ということなのかもしれない。が、一方で前作までで芸の幅は決まってしまったぞ、という印象を受けてもいる。

 

Workshy, “Mood” (2002)

これも金沢のタワーレコードの試聴ブースで聞いて、一発でやられてしまったCDである。メロウな曲調が特色で、丸められたコードワークがひたすら心地よい。さて肝心のChrystaのボーカルであるが、絶叫・熱唱型とは反対の力が抜けた歌い方なのだが、しっかりテクニシャン。いわゆる美声とはちょっと違うのに、ひたすらに心地よいのだ。一言で言えば大人なのです。

一曲目の“Forever”でのファルセットにすっと抜くところにいきなり感動。二曲目の“how it is”も上質のポップスである。六曲目の“summer’s gone”なんかも、コーラスの組み立てがお気に入りの曲なのだ。とにかく、仕事から帰って、ちょっと照明を落とした部屋で脱力しながらひたりたい、そういう一枚である。

America, “Hearts” (1975)

シングルチャート的にも成功した5枚目のアルバム。プロデュースは、あのBeatlesも手がけたGeorge Martin。最も有名だと思われるのが、ビルボード一位を獲得した“Sister golden hair”(邦題:「金色の髪の少女」)。相変わらずの甘ったれた学園もの系の歌詞だが、音は心地よい。他のヒット曲としては、“Daisy Jane”(邦題:「ひなぎくのジェーン」)が挙げられる。個人的にはAmericaの曲の中でも最も好きな曲の部類に入る。隠れ名曲として挙げたいのが、“The story of a teenager”。なにかのサントラで使われたとライナーノーツで読んだ記憶があるが、良い曲だ。

Sheryl Crow, “Sheryl Crow” (1996)

この一枚も大当たりで、これに納められた曲はCMなどでもずいぶん取り上げられた。私はどうしても、初対面の強烈さから最初の一枚を「この一枚」に挙げてしまいがちなのだが、このアルバムの方を「この一枚」にふさわしいと挙げるファンは多いと思う。とにもかくにも、けだるさも、疾走感も、泥臭さもごった煮の、アメリカンロックな一枚。

誰もが聞き覚えがありそうなのが“It makes you happy”や、“Everyday is a winding road”だろうか。特に後者は、アメリカの州の外れあたりのフリーウェイを爆走しながら聞きたい一曲だ。“Maybe angels”とか、“A change”のあたりもとても良い。快作です。

Heather Nova, “Siren” (1998)

しょっぱなの“London rain”が、非常に良い。“Heart and shoulder”も似たような感じ。80年代のBrian Adamsとか、あのあたりの音の作りが思い出されるからだろうか。“Widescreen”も、良いポップロックだと思う。

一方で、“What a feeling”は良いバラードだ。同じくスローバラードの“Paper cup”もいい曲だと思うのだが、もうちょっと歌唱力あればねえ・・・と思ってしまう。アコースティックな音作りの“Valley of sound”“Avalanche”も聞き逃せない。

Heather Nova, “South” (2001)

前二作が売れてツアー疲れをしてしまい、バミューダでちょっと休息をとっての新作。明るい音が印象的。ピッチも安定して聴きやすくなった感がある。

軽めのアコースティック・ポップロックに大きく傾いた音作り。しょっぱな“If I saw you in a movie”から、良い感じなのだ。一番のお勧めは“It’s only love”“virus of the mind”も良いアコロックで、ちょっとSheryl Crowっぽい音の作りだ。“heaven sent”もいいポップロック。

一方で“waste the day”なんかは、タイトル通りのけだるい曲でこれもいいな。夏の昼下がり向きじゃなかろうか。

Alanis Morissette, “jagged little pill” (1995)

これがソロデビューアルバムらしい。一番強烈な印象を与えたのは、大当たりした“ironic”だろう。この曲のサビは頭にこびりついて離れない。この当時私はアメリカにいて、ケーブルTVのMTVで流れているこの曲のビデオクリップを何度となく見た記憶がある。あるときカナダ人の仕事仲間が、私のアパートに泊まりに来ていたのだが、ビデオを見ながら「この人はカナダ人なんだ。」と言っていたのが思い出される。

フォークっぽさを残したシンガーソングライターとしての顔と、ぶち切れかけたロッカーとしての双方の顔が思わぬタイミングで入れ替わる、その自由さに圧倒されてしまう。たとえば、三曲目“Perfect”の、昔ながらのフォークっぽい導入部は、なんと綺麗なことだろうか。かと思えば、いきなりの一曲目“All I really want”でのロッカー振りは、なんと激しいことだろうか。

Swing out sister, “Somewhere deep in the night” (2001)

貫禄の一枚と言ったところだろうか。しょっぱなの“Through the sky”から、すっかりSwing outの世界に引きずり込まれてしまう。引き続く“Will we find love”もいい。

このアルバムでは私的にはベストの一曲は、“What kind of fool are you?”だろうか。メロウな感じがたまらない。“Where the hell did I go wrong?”も、似たような感じでいい。(曲名までどことなく似ているが)

さすがにデビューから15年も経つだけあり、初期の作品のようなポップス炸裂感はないけれど、大人の音になって、それでも魅力を失わないswing out sisterはやっぱりすごいぞ、と思わされる一枚。

Crosby, Stills and Nash, “CSN” (1977)

“Shadow Captain”を聴いて、えらく音が洗練されたな、と思ったものだけど、それだけ70年代は音楽が激変した時代だったってことだね。ちなみにBeth Nielsen Chapman“Life holds on”のイントロは、この曲のイントロをぱくったものとしか思われない。“See the changes”“In My Dreams”もお気に入り。

個人的にどうしても忘れられないのが、“Just a song before I go”。大学受験が終わり、大井町線の大岡山駅のホームで電車を待っているときのことだ。出来が悪くて意気消沈していたときに、追い討ちをかけるかのように商店街の街頭放送でこの曲がかかった。旅立つ人を送る内容の歌詞なのだが、こんなマイナーな曲がこんなタイミングでかかるものか?と思い、その場所には二度と戻ってこれないことを覚悟したものだ。でも、何故か受かっていたんだけどね。

Michelle Branch, “The spirit room” (2001)

1983年生まれ、18歳でのデビューは鮮烈だった。私がかつて住んだArizona州PhoenixからGrand Canyonへ北上していくと、Flagstafという小さな街を通る。route 66が通過する、のどかで綺麗な田舎町なのだが、彼女はそこの出身だと言う。あの町からこういう人が出てくるのかと、ちょっと驚きだ。

このアルバムはよく売れた。なかなかハードな“everywhere”が一曲目なのだが、私が気に入っているのは二曲目から続く“you get me”“All you wanted”“you set me free”“something to sleep to”のあたりだ。心地よいアメリカンロックが続く。一転してロックバラード調の“goodbye to you”(10曲目)も、かなりいい仕上がりである。

Crosby, Stills and Nash, “Daylight again” (1982)

高校三年の夏休みに発売になったアルバム。予備校の夏期講習が終わってから、某大学の生協まで買いに行った記憶がある。高校一年の終わりにCSNを聞き出してからは初めての再結成だったので、狂喜乱舞したものだ。ファーストシングルが“Wasted On The Way”っで、そのチャートの動きに一喜一憂したなあ。“Southern Cross”はStillsの曲だけど、好きだねえ。これが二枚目のシングルになったのだったかな。一番好きなのは、やはりCrosbyの作品で“Delta”。わりにさわやかな側面もある、Crosby得意の幻想ムードの曲。

 

America, “Alibi” (1980)

この頃の作品は評価も低く、すっかり忘れられているのだと思うが、サウンドはけっこう心地良いのだ。Dean Parks, Waddy Wachtel, Steve Lukather, Lee Sklarなどが脇を固め、ゲストボーカルにはTimothy B. Schmidt, J.D. Southerなんかも参加している。TOTOとかJames Taylorの”dad loves his work”あたりと共通する部分があるかな。

“Survival”の枯れた抜けきるカリフォルニアサウンドが素晴らしい。“You could’t been the one”あたりの、ピアノの音やツインギターなんかは、いわゆるウェストコーストサウンドが練れ切った時代の集大成的な音だと思う(いわゆるAORですかね)。“I don’t believe in miracle”なんかもRuss Balladが提供した良い曲で、これが”view from the ground”の成功につながっていく布石となっているわけかな。

EPO, “air” (2001)

5.「星の舟歌」が、とても印象的な一曲だ。6.「ずっとここにいよう」も近年のEPOらしい佳曲。9.「百年の孤独」は、“Wica”からの再録。EPOがいい年齢の重ね方をしてるなってことが伝わってくるい曲です。

あと一曲どうしても言及しておかなければいけないのが、4.「土曜の夜はパラダイス」。これは冒頭にあげた”Vitamine EPO”の中にも収録してされていたポップ路線爆走時代の曲だが、これを見事にボサノバ調に消化しきっているところを聴くと、完全にあの時代からは吹っ切れたのだなと感慨深いものがある。

 

Eddi Reader, “Simple Soul” (2001)

私としては、これがEddiとの出会い。前々から気にはなっていたが、どの一枚から手を出していいものか悩んでいた。そんな人ではあったが、試聴ブースで実物を聴いて、ためらうことなく購入した一枚。他のアルバムと比べた場合、「シンガーソングライター」らしい生音勝負に徹したのが本作の特徴。一曲目の“Wolves”から素晴らしい。二曲目の“The wanting kind”は、一番のお気に入り。

Jackson Browne, “Saturate before using” (1972)

衝撃のファーストアルバム。 一番ヒットしたのは4. “Doctor my eyes”。ワタシ的には、2. “A Child In These Hills”、5.”From Silver Lake”あたりが好き。

しかし、なんと言ってもJBが天才たる所以は、デビューアルバムの冒頭に1. “Jamaica say you will”はを持ってきてしまえるところだと思う。ピアノ弾き語りで始まる曲だが、この曲が気にいって何十回と聞いていると、三番からかぶってくる裏でかすかに聞こえているアコースティックギターのバッキングがふっと気になりだす。ピ アノ・ベース・ドラムで十分厚い音の中、ふっと聞こえてくるアルペジオは、 明らかにフラットピックでつま弾かれたものであり、「クロスピッキング」と いう単語が頭をよぎる。気になりだすといろいろな発見があるもので、 何やらベースランのような音も聞こえて、しかも全部ダウンピッキングでたたきつけているようだ。ちょっと弦がびびり気味で、特に4弦開放のDの音で顕著。妙にシンコペートしたところも耳につく。これはあの人ではないか?そう思って 聞いてみると、決め手がある。二音同時にピックではなく指で引っかけているような音が聞こえるフレーズ。この奏法は、 Muleskinnerの”Dark Hollow”の中でも聞かれたやつである。

そう。この曲のバックのアコースティックギターは、ひそかにClanrence White。The Byrdsが”Byrdmaniax”でも取り上げています。

 

Sheryl Crow, “Tuesday night nusic club” (1993)

いきなりシーン最前線に踊り出たデビュー盤。ちょっとクラシックなアメリカンロックを地で行く音作り。ジャケットも、アメリカで田舎道を走ってる最中に突然現れた小さな田舎町のモーテルなんかを想起させる、いいアートワークだ。“Run, Baby run”から、Bob Dylanっぽいルーズな感じのロック炸裂。女性でこういう感じを出して、なおかつ様になる人というのは滅多にいないのだ。

なんといっても最高なのは、“All I wanna do”だろう。この曲は、日本でもアメリカでも、至るところで耳にした。それまで、Chrissie HyndeとかJoan Jettとかが、少しずつあけてきた風穴を、一気に突き破った感のあるスマッシュヒットであった。スライドギターがかっちょいいね。

Crosby, Stills, Nash and Young, “4 way street” (1971)

二枚組のLPで、札幌では中古で出回っていることもなく、「清水の舞台から飛び降りる」つもりで新品を買った。しかし、感動したんだなあ。“On The Way Home”が最高に気に入った。生ギター二本の絡みがいいんだな。元々はBuffalo Springfieldのアルバムに収録されたNeil Youngの曲なんだけど、こっちのバージョンが圧倒的に好き。同じくNeil Youngの“Cowgirl In The Sand”もいいね。“Love The One You’re With”も、こちらのバージョンの方が好きだな。

LPでは一枚目がアコースティックセット、二枚目がエレクトリックセットになっていた。このバンドのエレキの下手さには定評があり、賛否両論あると思われるが、“Ohio”“Southern man”と、私は好きだな。

The Cloudberry Jam, “Providing the atomosphere”(1996)

しょっぱなの“clichés”から、ドライブかかってる。“going further”は、ちょっとSteely Dan入っている感じ。“Nothing to declare”なんかは、結構凝った音の造り。のちにJennieは、「スリーコードの単純な曲をやりたい」と言って別のバンドに走るわけだが、こういうことでストレスが溜まっていったのか、と考えてしまう。“another moment follows”あたりで聞かれるドライブ感は、前作を継承した感じが堪らない。

しかし、邦題の「雰囲気造り」ってそりゃそうだけど、なんだかなあ。

The Indigo, “Records” (2001)

プラスティックケースを開けて、いきなり「はっ」と思った人は、昔からの洋楽マニアの人でしょう。CDのラベルが、Atlanticレーベル(CSN&Yなどを手がけていた)のLPのそれを模したものなのだ。

インストを一曲目に持ってきているのに意表を突かれる。二曲目の「ココロニ」から、ボーカルありのindigoワールド炸裂。四曲目の“pain”は、マイナーコードでの生ギターのカッティングが、どことなく「はっぴいえんど」を思い起こさせられ、とても好きな曲。。五曲目の「恋の女神」は、市川氏がindigoの公式サイトのアルバム紹介でネタばらしをしているが、Doobie Bros.ですねえ。

“She said”「夏のプリズム」“melody”「電話」と、とにかく佳曲が続く。根強いファンが付くグループでしょうね。田舎暮らしでライブとかに行けないのが残念だ。

NIna Gordon, “tonight and the rest of my life” (2000)

“Veruca Salt”から独立してのソロデビュー盤。

まとまりがあるような、ないような、結構微妙なアルバムなのだが、私にとっては面白い。ミディアムテンポのロックである“now i can die”から入っていく。とても心惹かれたのが二曲目の“2003”。アレンジが気に入ったのだけれど、この懐かしい音、いったいどこで聞いたのだろう?“horses in the city”もいい曲だ。どことなくLisa Loebと通じるところがあるような気もする。どこか抜けきらず篭った声がいいのかもしれない。

“hold on to me”とか“got me down”のような、スローなロックバラードっぽい曲もなかなかよろしい。

EPO, “Fire & Snow”(1991)

Virginレーベルからの第一弾アルバムだったが、あまり印象に残ってない。というか、「もうEPOは終わったな」という印象を強く持ったのを覚えている。

しかし、テレビで見たインタビューで、このアルバムのロンドンレコーディングの際に、「君は元気なポッポスより、癒し系の曲を歌うべき声をしている」と言われたのが転機になった、と本人が語っていた記憶がある。

Original soundtrack, “Fast times at Ridgemont high” (1982)

邦題が「初体験リッチモントハイ」というB級青春映画のサントラ。フィービーケイツが脱いでいたなあ。でも、このサントラの面子はすごいのだ。Don Felder, Don Henley, Timothy B. Schmidt, Joe WalshのEagles勢(解散直後だったのだ), The Go-Go’s, Stevie Nicks, Donna Summer, Sammy Hager(のちに Van Halenに参加)と、そうそうたる顔ぶれ。

そんな中で、Jackson Browneの“Somebody’s baby”はシングルカットされ、Radio & Recordsのチャート(テレ朝系”Best Hit USA”で採用されていた)ではトップを獲得した。なんともJacksonらしからぬ軽薄な歌詞・メロディーなのだが、好きなんだなあ。最初にテレビを通じて見た「動くJackson Browne」だったから。大学受験直前の冬のことでした。

 

小泉今日子、”Anytime” (1994)

アルバム単位でフォローしてないので、ベスト盤を紹介する。真面目なファンの方、ごめんなさい。

しょっぱなの“My sweet home”は、TBSの東芝日曜劇場「Sweet Home」(1994)の主題歌。山口智子がお受験ママを演じたやつでしたね(遠い目)。作詞は小泉今日子自身、作曲が小林武史。歌が上手でないのは仕方ないのだが、いい曲なのです。

「優しい雨」も、さびの印象が強烈な曲。作曲は鈴木祥子さんだったのだと、最近気付いた。TBS系ドラマ「愛するということ」(1993)の主題歌だったが、ドラマの内容はさっぱり覚えていない。

そして「この曲で決まり」というのが、「あなたに会えてよかった」。この一曲のために、わざわざCDを買ったようなものだ。TBS系ドラマ「パパとなっちゃん」(1991)の主題歌。パパが田村正和、恋人役が大江千里だったかな。ドラマの内容は今となっては思い出せないくらいなのだが、この曲は今でも聴いてしまう。“”さよならさえ上手に言えなかった”という歌詞が泣ける。どうでもいい話だが、Kinki-kidsと吉田拓郎がやってた番組で、篠原ともえがこの曲をアコースティックバージョンで歌っていたことがあった。これも涙ものの素晴らしい出来映えで、篠原ともえ株が私の中で急上昇したのであった。

そして「月ひとしずく」。井上陽水・奥田民雄・小泉今日子の共作だが、奥田カラーが強いと思われる。これもまたまたTBS系ドラマ「僕が彼女に、借金をした理由」(1994)の主題歌。

「ラブバラ(Love Ballad)」は、フライングキッズの浜崎貴司とのデュエット。懐かしい人だなあ。「おやすみ・・・」も密かにいい曲だ。Pat Methenyっぽいバックのギターがいいね。

Lisa Loeb, “Firecracker” (1997)

二枚目の“firecracker”。私はこれを聴いたとき、「やっぱり天才っているんだなあ」と思ったものだ。

一曲目の“I do”は、シンプルなアレンジのアメリカンな音。この人の歌詞の特徴は、単純な短文をきっちり韻を踏んで連続してたたみかけることで、詞を織り成していくっていうもののようだ。よくある感情を題材にしている分、下手すりゃ小学生の感想文風になってしまうとこなんだけれども、そこはやはり天才、ずっしり重いものに仕上げてくるよね。

三曲目の“Truthfully”は彼女としては珍しくpositiveかつstraightな内容の歌詞のかわいい仕上がりの曲で、とっても好きなんだけれども、同時にちょっとした違和感も感じてしまう。四曲目の“Let’s forget about it”もいい曲だ。アメリカにいたころ、この曲名と同じ言葉を口癖とする友達がいたなあ、などという個人的な記憶と結びついているんだけど。七曲目の“Wishing Heart”も大変好きな曲で、特にアコースティックギターのバッキングとドラムの乗りは大好きだ。たたみかけるような歌詞もいいね。ラストの“Guessing game”も結構不思議な曲で気に入っている。

なんといっても、これらの歌も、アルバムの音自体もアメリカ人にしかつくれない代物で、そういう意味でも大いに私のお気に入りなのだ。

ところで、二曲目の“Falling in love”の出だしはどこかで聴いたことありませんか?あたしはJames Taylorの”Sweet Baby James”にそっくりだと思ってしまった。

Lisa Loeb & Nine Stories, “Tails” (1995)

後にCDとして再発された”purple tape”はあるが、これが事実上のCDデビュー盤。一番すごいと思ったのは、二曲目の“Snow Day”。曲のはじまりのあたりでのアコースティクギターのアルペジオの取り方が、昨今耳にしないほどきれい(まあ典型的と言ってしまえばそうなのかもしれないけど)。でも、“It’s a bad day. You’re my medicine….”とかって歌いきっちゃってるさびのところなんかの迫力もすごいんだな。とても自由な感じで曲を組み立ててる感じがします。ラストの“Stay”でも、よく計算されてるわりには自由に聞こえる生ギターとマンドリンのからみが聞ける。これはほんとにいい歌。初期のJoni Mitchell的な発想かな。

1曲目の“It’s over”、3曲目の“Tabby”での歌詞なんかは、典型的なLisa Loeb world。9曲目の“Alone”は、エレキギターのバックアップが個人的に気に入らないけど、やっぱりいい曲だと思う。10曲目の“Waiting for Wednesday”の場合はまったく逆で、エレキギターの音質・フレージングともにByrdsっぽくてとっても好き。良質のFolk-Rockって感じかな?あらためて聞き直してみると、うん、すごい佳曲ぞろいだ。聴くべし。

Swan Dive, “Circle”(1998)

一曲目の“Breezeway”からいい感じで入ってくる。三曲目の“Goodbye September”は、70年代前半のGeorge MartinがプロデュースしてたころのAmericaとかに通じるような音の作りで懐かしい感じがする。グループの音の作りとしては向上しているけど、Mollyの良さが一作目と比べるとあまり出てきていないような気がする三枚目。

Swan Dive, “You’re Beautiful” (1997)

デビュー盤. “The Day That I Went Home”でのMollyのボーカルが絶品。なんといってもメロディラインがきれいで、生ギターを中心としたアレンジが心地よくて、Mollyの声質にぴったり合った曲です。アメリカの現代小説みたいな、さりげない表現で流しているが、奥深いものを感じさせる歌詞もいいんだよね。自分の故郷が思い起こされる歌である。

7曲目の“Charade”もいい曲です。アルバムのその他の曲の中にはMathew Sweet風の曲があったりして、外れの曲がほとんど無い正解のCD。

アンナ・バナナ, “High Dive” (1993)

きっかけは、NHKの「みんなの歌」だった。一時期この番組は、(歌詞に色恋沙汰が出て来ないって意味で)若いお母さん向けの曲も流していた。その頃流れたのがこのアルバム中の9曲目、ほんと何気ない昼下がりを歌った“smile”“ゆっくり過ぎて行く時間も拡がる通り。Afternoon 行き交う人もSmile。樹の葉を縫って踊る様に陽光を投げる”(作詞:吉田美奈子)といった歌詞なのだが、窓の外を行き交う人波をぼーっと見ているのが個人的に好きなので、この曲には大いに感情移入してしまった。「はっぴいえんど」の名曲「12月の雨の日」と同じような世界で面白い。あちらの方は、薄暗い通りを想起させるものではあるが。

アルバムのプロデューサーは、オリジナルラブの田島氏。この当時、邦楽にはあんまり興味を持てなかったのだが、上質なポップスが展開されているこの一枚だけは別だった。(これ以前のアンナバナナのアルバムってテクノ歌謡みたいなもので、あんまり面白いと思わない。)

他の曲では、1曲目の「太陽の季節」、6曲目の「裸になりたい」10曲目の“U & I Forever”あたりが、ゴージャスなポップスに仕上がっている。

The Indigo, “BLUE” (2000)

このバンドで一番気に入っているのが、大仕掛けじゃないんだけど、はっとさせられるアレンジ。アルバムを通して薄目の音が貫かれていて心地よい。一番の決め手は、開放弦の使い方が上手い市川裕一氏のアコースティックギターのコードカッティングで、見事にはまってしまった。国産ロック黎明期のガロ、一時期渡辺美里のバックをしていた佐橋佳幸氏以来久々に出会ったいい音って感じがする。音が薄めだと、必然的にベースラインとかも気になるんだけれど、高木権一氏のベースもいいんだよね。

さて、そんな中での田岡美樹の歌であるが、実にいいとこ突いていると思う。最近女性ボーカルが入っているユニットっていうのはあまたあるけれど、どうもそういう場合の女性ボーカルって「歌わされてる」感じがしてならない。でも、田岡美樹の場合は、完全に自分の世界にしちゃって、自由に歌ってる気がする。わたし的な一番のポイントは、高音域絶唱型じゃないというところ。声質的には、売れまくってるaikoとかに近いかな?

で、このアルバムなんだけれども、外れのない佳曲ぞろい。わたし的に一押しなのが、2曲目の「きかせて」。コード進行が拡がり感をうまく出してるんだなあ。“教えてよ”という単純な歌詞の一節にころっといってしまった。

「大切なもの」は、聞いていてふっと自分の東京での20代を思い出してしまった歌。“limiter”は、エレキギターのエフェクターの音質といい、ハモンドといい、わたし的に一番はまってしまう70年代の後半っぽい音でやられちまいました。“take away”もそんな感じかな?

その他、“blue”“if”「口紅」なんかは、昔のフォークっぽくもあるけれども、確実に現在の音の造りで、うーん絶妙だ。わけのわからん英単語を変なアクセントで入れ込みすぎる時代にあって、日本語を大切にして歌を作ってるところにとっても共感してしまう。これって「はっぴいえんど」的な思考回路?

Jackson Browne, “Hold out” (1980)

Jacksonにとって初となるビルボード1位獲得アルバム。私の大学一年の二学期は、もうこのアルバムにどっぷり、という時期で、忘れがたいアルバム。このアルバムがわかるようになった、ということが、自分にとってはちょっと大人になった、ということを意味する出来事だったように思う。

“hold out”のピアノとハモンドの絡むイントロから泣ける。“Boulevard”、単純ながらとてもかっこよいイントロから、上質のロックンロールへと流れ込んでいく。“Call ir a loan”のDavid Lindleyのギターも泣ける。また歌がいいのだ。そして、ピアノのイントロから始まる“Hold on Hold out”のかっこよさは、筆舌に尽くしがたい。

とにかく、色々なことが思い出され、キーボードを打つ手が止まってしまう、そういう一枚。音楽を聴くということは非常に個人的なことであって、他の人にはどうでもいい、どうにもわからない、と言っても、本人がいかんともし難い重みを感じてしまう一枚があったりするわけだな。

 

James Taylor, “Dad loves his work” (1981)

フュージョンっぽいアレンジとJamesの歌がぴったりマッチした名盤。AORの最高峰の一角を担う作品だと私は思う。しょっぱなの“hard times”から、がつんとやられる。なんでこんなにかっこいいんだろうね?続く二曲目は、私がこのアルバムで一番好きな曲。J.D. Southerとのデュエットの“her town too”(邦題は「憶い出の街」だったかな?)。これはシングルチャートでも上まで行って、よくFMでかかっていたのでよく覚えている。ギターの1~3弦のアルペジオを聴くだけで泣けてしまうのです。音が違うよね。歌詞は、離婚した女性についた歌ったものでちょっとシビアなのであるが・・。

“I will follow”なんかは、昔ながらのシンプルなアレンジで、シンガーソングライターとしてのJamesの良さが堪能できる。最後がアカペラ→ピアノのバックだけがかかってくる“that lonsome road”で締めというのも感動。

Pat Metheny, “Pat Metheny Group” (1978)

グループとしての二枚目。初期の最高傑作だと私は思う。最初の二曲が特にすごい。

“San Lorenzo”のイントロでは、ギター・ピアノ・ドラムのシンバルがなんとも言えないハーモニーを織り成す中で、ベースラインが動き出す、その音の拡がりが何ともたとえようがなく素晴らしいのである。大学院の最初の年だったろうか、夏休みの帰省中に、道東にヒッチハイクに出かけたことがある。札幌からは釧路へは夜行列車で向かったのだが、ちょうど海沿いの線路に出たあたりで朝日が昇り出した。そのときにちょうど聴いていたのがこの曲。ちょっと締まった朝の空気と、その光と、拡がりのある音が自分の中に作り出したものを、15年以上経つ今でも、忘れることができない。それ以来、気に入った景色の中にいるときは、必ずこの曲を聴いてしまう。常時携行アルバムだった。

“Phase dance”も、やはりすごい曲。これを聴いてからというもの、自分でギターを弾くのはやめよう、と思ってしまったのだ。それほど、自分にとっては決定的だったアルバムであった。

Pat Metheny Group, “Offramp” (1982)

たしか、「愛のカフェオレ」とかいう、とんでもない邦題を付けられたアルバム。このアルバムで聞き逃せないのは、James Taylorを意識して書いたという“James”。なんとも言えず優しい音で、忘れえぬ曲。最近のアルバムでも再演されていることが多く、ファンの多い曲らしい。

Sinéad Lohan, “no mermaid” (1998)

この人のアルバムとしては二枚目に当たるらしい。アメリカ出張中に、Tempeのタワーレコードの「期待の新人」コーナーで見かけた。ジャケットに「びびび」と来たので試聴もせずに購入。ジャケットと中の歌詞カードのアートワークのヨーロッパ的な色使いがとってもきれいで、見ていて楽しい。

で、肝心の音の方だが、声域としては低めのところで攻めてくる。上手いシンガーという訳ではないけれど、いい曲を書く人なんで大正解。一番のお気に入りは3曲目の“Whatever it takes”。シンセの音なんかが80年代前半っぽい。ラストの“Diving to be deeper”なんかも似た系統の音作り。これらは軽快なポップスなんだが、反対にだるだるでいいのが1曲目の“No marmaid”とか2曲目の“Don’t know”。機械的なリズムの刻みに、アコースティックなバックアップを乗せていって、声質とあいまって、独特のけだるさを出していると言えばいいのか?

10曲目の“Disillusioned”なんかは、だいぶ感じが違って、かなり純なフォークっぽい感じでいい。トラッドなIrishに造詣が深い人なら、もっと楽しめるのかも。アップテンポの曲より、むしろスローな曲の方にこの人の特徴が出ているようだ。

Pat Metheny and Lyle Mays, “As falls Wichta, So falls Wichita Falls” (1981)

Pat Metheny Group名義ではなく、二人の共作という位置付け。実は結構退屈してしまうアルバムなのだが、一曲挙げておかねばならないのが、“Ozark”。Lyle Maysの超絶テクのピアノプレーに、Patの単純なアコースティックギターがかぶる不思議な作品。ライブなどでは取り上げられこともない作品なのだけれども、私としてはPMGがらみの中ではかなりの上位に来る曲だ。

Pat Metheny Group, “American Garage” (1979)

ECMなどというヨーロッパ系のレコード会社と契約し、録音もオスロなどで行われることの多かったPMG。トレーラーハウスの並ぶこのジャケットに、「おれたちアメリカ人」という自己主張を感じてしまう。

とにかく全曲外れなし。特に、4. “American Garage“のイントロにはしびれますね。

Pat Metheny Group, “Still Life (talking)” (1987)

Methenyを狂ったように聴き出したのが86年のことだったと思う。それ以降で最初のスタジオ・アルバム。ブラジル系の音への傾斜が鮮明な時期の一枚。しかし、一番気に入っているのは、のどかにアメリカンしている3. “Last Train Home”。ドラムがひたすら、汽車のしゅぽしゅぽを刻みつつ、シタールっぽいギターシンセでPatが歌いまくるのだ。そして曲の後半でかぶってくるコーラスが新機軸。そしてフェイドアウトで汽車は通り過ぎていくのだ。1. “Minuano (Six Eight)”, 2.”So May It Secretly Begin”ともちろん素晴らしい。ラストの“In her family”も泣ける。

Pat Metheny, “Secret story” (1992)

これはPatのソロ作。しょっぱなの“above the treetops”がカンボジアサウンドで面食らうのだが、続く“facing west”は、PMG以上にPMGしているんじゃないか、と言う曲。“The longest summer”が、本当に泣ける。ピアノを弾くのはLyle Maysではなく、Pat Metheny自身。これが、ピアノであってもPatの音なのだ。これには本当に驚いてしまった。これにかぶってくるギターシンセにも、ぐぐっと来る。続く“Sunlight”も、PMGっぽいとてもきれいな曲。

後半は、Pat自身が「とにかく哀しい音にした」と言っている部分だ。しかし、“See the world”は、やはりPMGっぽい佳曲。ソロと言いつつ、PMGの面々がバックを固めた時が一番なのだ。日本人として聞き逃してはならないのが、“As a flower blooms (I am running to you)”。曲の最後でバックにひっそりとかぶってくるボーカルは矢野顕子。歌詞はちゃっかり日本語なのだ。これを楽しめるのは日本人の特権であるから、せいぜい楽しもう。

しかしこのアルバムが出た頃の雑誌のインタビューでは、Patは「PMGではやりたいことはやり尽くした。」的な発言をし、Lyleは一流ミュージシャンをゲストに揃えたこのアルバムに嫌味を言うなど、非常に危ない空気が伝わってきたのだが、何故か10年経った今でもPatとLyleは一緒にやっている。めでたしめでたし。

Crosby, Stills, Nash and Young, “Déjà vu” (1970)

こういうHTMLで書きにくいタイトルは止めてくれ、というのが第一の感想。Neil Youngが初参加したアルバム。タワーレコード札幌店でなけなしの小遣いをはたいて買った一枚で、これが洋楽への入り口となった。思えば、大きく人生を狂わせてくれた元凶だとさえ言える。「レコードがすり切れるほど聴く」という表現は今は死語となってしまったが、まさにそういう感じの一枚だ。

最初のノックアウトされたのは、“Carry on”のギターのイントロと、いきなりの三度コーラスだった。こんな世界があったんだ、と打ち震えた感動が忘れられない。続く“Teach your children”も定番的な名曲。スチールギターを初めてかっこいいと思った曲だ。この曲は、映画「小さな恋のメロディ」でも使われていた。“Almost cut my hair”は、いかにもDavid Crosbyという曲。当時はあまり好きではなかったが、今はなじめる。Neil Youngの“Helpless”も、これまた定番的名曲。カナダカナダした歌詞が良い。この曲は、映画「いちご白書」(”strawberry statement”)で、機動隊に包囲された封鎖学生のシーンで使われていて、あまりのはまり具合に感動した。今でも自分が危機的状況に陥ると、頭の中でこの曲が悲しく鳴り響く。“Woodstock”は、下手っぴなエレキが印象的な一曲。Joni Mitchellの”Ladies of the Canyon”(1970)に収録されているアコースティックバージョンと比較してみるのも面白い。“Déjà vu”も、これまたCrosbyの難解な曲。でも、すごいんだな。このアコースティックギターワークは、私の中では「一等賞」なのだ。

それから一転して“Our house”は、Graham Nashの甘ったるい曲。わかりやすいがために、最初は一番よく聴いた曲だ。その姿はよほど印象に残ったらしく、うちの母親は今でも「あんたが死んだら葬式でこの曲をかけてやる」と言う。“4+20”は、Stillsのソロ曲。このフィンガーピッキングのギターも当時ははまりにはまった。“Country girl”は組曲仕立てのNiel Youngの曲、。そして最後は勢いで持っていってしまう“Everybody I love you”“Everybody, I love you. Everybody, I do. Though your heart is an anchor….”と、実に単純な曲だが大好きだった。高校の卒業文集に歌詞そっくりぱくって書いたものね。

書いていて思わず涙ぐみそうになるね。関係者の方々、私が死んだらこの一枚を棺桶に入れて下さい。CDじゃなく、LPがいいな。

Pat Metheny Group, “Letter from home” (1989)

これは中期を代表する名盤。このアルバムが出た夏は、ほんと、この一枚で乗り切った記憶がある。“Have you heard”に始まり、“Every Summer Night”はピアニカとボーカルが妙にはまる曲。Brazilianしきってる“Better days ahead”は、軽快かつ美しく、記憶に残る曲。同じくラテンしてる“Beat70”もピアニカとギターが軽快で、とにかく抜けのいい曲。“Dream of the return”も美しい曲だし、外れ曲のほとんどない一枚。必聴。

Lene Marlin, “Playing My Game” (1999)

これがソロデビューアルバム。そのpopsのセンスは天才的で、おぢさんはすっかり参ってしまった。顔のつくりもかわいいし。3曲目の“Unforgivable Sinner”が本国で馬鹿売れして高い評価を受けているようだが、私の好みはちょっと違う。

私の一押しは、一曲目の“Sitting Down Here”(これは結局二枚目のシングルとなる)。コードカッティングが心地いい、アコースティックロック。また、声質がいいのだよね。若さゆえの細さと言うか、繊細なところにこれはもう生理的としかいいようのない好印象をもってしまう。6曲目の“So I see”“Where I’m headed”も、乾いたいいソフトロックに仕上がっている。

一方でスローな曲をじっくり歌っている曲も良い。“Playing my game”“Flown away”“A place nearby”などがいい例かな。で、なんと言っても素晴らしいのが“The way we are (acoustic version)”。ピアノだけのバックなのだけれど、声質が声質なだけに、ぐぐっと捉えられてしまう。この曲でアルバムを締めるなんて卑怯だと思う。これじゃあ何年でも次回作を待つわな。

あと、符割りがちょっと変わっている、という特徴がある。子音の発音が弱いという特徴と相まって、私の英語力では歌詞をうまく単語に分解できないのが悔しい。