増尾好秋、「グッドモーニング」 (1979)

高校時代、地元札幌の民放局が深夜の映画番組のテーマ曲として“Little bit more”を使っていた。夕暮れのヨットハーバーかなんかのコラージュっぽい「動かない映像」に、この曲がかかっているという芸のないものだったが、なぜか記憶から離れないのだ。あと、このアルバムから想起されるものといえば、川原由美子の漫画かな。「フュージョン」という言葉よりは、「クロスオーバー」という言葉がしっくり来るように感じる一枚。

増尾さんは燦燦と輝くキャリアを持つジャズギタリストだが、このアルバムではメロディメーカーとしての顔を強く出している。バックの面々は、テクニックばりばりのフュージョンを展開しているのだが、増尾さんは技巧を抑えて「ギターで歌う」ことに集中しているかのようだ。聴きやすさを重視したぶん、ギターアルバムとしては物足りない部分も出てくるのだけれど、私はこの作品どうにも好きだなあ。どの曲が特に、ということもなく、全体そのままがどこか自分の一部になっているように感じられる、お勧めのアルバムです。

’06/10/08の購入リスト

レコファン渋谷店

1. SADE, “Best of Sade” (1994)
2. Bread, “Anthology of Bread” (1985)
3. America, “History / America’s greatest hits” (1975)

Tower records 渋谷店

1. 増尾好秋, 「グッドモーニング」(1979)

今回はベスト物中心の購入。Americaは”Hat trick”, “Holiday”, “Heart”のあたりをアルバム単位で揃えたいのだけれど、なかなか遭遇しないもので。Breadなんかも、バラでは難しいし、そこまで執念ないし。Sadeはお勉強という感じ。”Smooth operator”は手元に持っておきたかった。

昔聞いていた増尾さんのは、最近購入予定リストのトップに躍り出ていたのを、たまたま店頭で遭遇したので即買い。

Sweetness, “Ashtray floors”(2004)

旬の時期は逃してしまったが、是非書き残しておきたい一枚。僕が大好きな街San Diegoのインディーズバンドらしい。たしか、横浜のタワーで購入したのだが、試聴ブースのキャッチコピーは、「はじけきったThe Cardigansってこんな感じ?」だった。正に言い得て妙、即購入を決意したのだった。私の感想は、「たしかにThe Cardigansっぽい。しかし、Sixpence none the richerっぽい要素も多々あるな」というもの。

1. “Spellbound”はもう、The Cardigansそのものという感じの一曲。ポップさと格好良さの入り混じったドライブ感あふれる仕上がり。1.“Angry Candy”も似たような感じか。4.“I’m not sorry anymore”はSixpenceっぽさあふれる音の作り。こういう音の抜けの良さはアメリカのバンドらしいな、と思う。5. “Inbetweenwhiles”は、スローな曲もこなせるぞ、という感じの一曲。
6. “A synonym”とか7.“The balld if you and me”あたりは何と言えば良いのだろうか、ひたすらにポップだ。8.“S beautiful things”もまたCardigansっぽい。9. “I shall return”からは、どことなくThe Byrdsっぽいものを感じる。ギターのアルペジオの音の運びかな。11. “Lovenaplove”は、今時のアメリカのバンドには出せないヨーロッパっぽい音。面白い。締めとなる“The way you say my name”も、ポップギターバンドらしい良い曲。

まとめると、決して上手くはないが人を惹きつけるなにかがあるMarie(姓はクレジットされていない)のボーカルには要注目。しかし、よくもこんなバンドを見つけてくるものだと、日本のレーベルのポテンシャルの高さに感動した一枚。Quice Recordsというのが日本発売元です。

Sweetnessの公式サイト http://www.sweetnesstheband.com

荒井由実, “MISSLIM” (1974)

初期四部作の中でも、わたしとしては最高傑作ではないかと思う一枚。

1.「生まれた街で」は、四畳半フォークっぽい材料でもあり、歌謡曲っぽい材料でもあるのに、しっかりポップスになっているというのが不思議な曲。2. 「瞳を閉じて」は名曲。ボーカルのレコーディングはダブリングなのか?これが功を奏している感じ。3. 「やさしさに包まれたなら」も、最近のJR東日本のCMにも使われるなど、時代を超えて通用する曲。4. 「海を見ていた午後」は、山本潤子さんのページにも書いたけれど名曲。歌の巧さとか声質という点をとれば山本潤子さんの足元にも及ばないのだけれど、アレンジも含めた曲の良さとか深みという点をとるとやはりオリジナルのこちらに軍配があがる。これは、「卒業写真」とか「中央フリーウェイ」でも同じことなんだけれど。ちなみに以前ブログにも書いたけれど、「坂をのぼってひとり今日も来てしまった」という歌詞なのだが、これを根岸の方から歩いて登っていったのであれば、それはかなりご苦労さまなことです。5.「12月の雨」は、EPOもほとんどそっくりそのままのアレンジでカバーしていたけれど、やはりいい曲だ。このアルバムにも参加している細野・鈴木両氏が参加していたはっぴいえんどの名曲に「12月の雨の日」というのがあり、なにかしら関連があるのかと昔から思っているのだが、これに関しての記述はどこでも見たことがない。8. 「たぶんあなたはむかえに来ない」は、ピアノとベースがいいなあ。荒井由実の高音域ってのはヘッドフォンで聞いてるとなかなか辛いものもあるんだけど。そしてアルバムを締めるのが、10. 「旅立つ秋」

Leigh Nash, “Blue on blue” (2006)

いつのまにか解散していたSixpence none the richer。メインボーカルだったLeigh Nashがこのたびソロデビュー。なかなか面白いアルバムだと思う。ギターバンドだったSixpence none the richerの枠を外れて、歌の良さが生きるアレンジをもらっているせいだろうか。ちょっとロリ声でDonna Lewisっぽい傾向などは変わらず。

1.“Along the wall”, 2.“Nervous in the light of dawn”でなぜか思い出したのが、Lene Marlinの二枚目。明るく突き抜けきったような音ではなくて、どことなく憂いをおびた曲調が日本人受けする予感。7.“More of it”のサビのあたりは、CMソングに採用されてもおかしくなさそうな抜けのいいギターポップロック。8.“Angel Tonight”は、わたし的には一番のあたりの曲。アレンジがどことなくCardiganっぽいのが面白い。

総じて、ほっとしながら「おかえりなさい」と言えるアルバム。おすすめです。

新しい公式サイト Leigh Nash Music

最新情報をいかに得る?

実は自分から積極的に探しにでることは少なく、皆さんに教えてもらっています。My favorite female singersのアクセスログを見ていると、ある時期突然特定のアーティストに関する検索が増えたりするのです。そういうときはたいてい、新しいアルバムの発売や来日などの出来事があるわけで。

ここ数日そうやって得た情報には、
1. 元Sixpence None The RicherのLeigh Nashが初ソロアルバムを出した。
2. Maggie Reillyが新譜を出した。
というのがありました。

米タワーレコードまたも倒産に思う

いやはや、大変な時代になってしまったものだ。タワーレコードっていうのは、ある意味僕の今を決定付けたところでもあり、とても寂しい思いがする。

タワーレコードが日本で最初に出店したのが、札幌。1979年のことだという。南3西4の五番街ビルの上の方の狭い店舗だった。輸入のLP特有の匂いが立ち込めた店内が懐かしい。81年の3月にここで購入したのが、CSN&YのDeja vu。邦盤より1000円くらいは安かったのだろうか。乏しい小遣いからLPを買ってみる気になったのも輸入価格だったからこそ。この一枚との出会いが、すっかり僕を変えてしまったように思う。

大学で東京に出てきても、あてにしていたのは、ハンズの向かい・ジーンズメイトの上の渋谷店。何を買いに行くのにも車で出かけなくてはいけないような場所だったアリゾナでも、ラッキーなことに大学から歩いていけるところにTempe店があった。書籍のコーナーには日本の漫画雑誌が5ドルくらいで売っていたりして。週末にLAに初めて出かけてみたときは、サンセット・ブールバード店詣をした。ニューヨーク店も行ったことあるなあ。ひと夏住んだイギリスでは、ロンドンのピカデリーサーカス店の世話になった(既にバージンメガストアに売却されてしまったらしいが)。海外のタワーレコードっていうのは、日本でしか再発されない希少盤みたいなものを輸入して店頭に置いていて、クラシックロックファンの貴重な仕入れ源になっていたようだ。

日本に戻って住んだ金沢では、竪町からラブロ片町に移ったタワーの金沢店くらい輸入盤を扱う大手のCDショップはなく。そして今は、池袋店とか横浜店の世話になっている。

日本法人は2002年から完全に独立してしまっているので影響はないそう。しかし、「どこに住んでも、そこにある」、僕にとってそういう存在だったタワーレコードが、これからはそうではなくなっていくのが時代の流れのようだ。

Jennifer Kimball, “Oh hear us” (2006)

“Veering from the wave”以来、8年ぶり2枚目となるソロ名義でのオリジナルアルバム。ポップさは薄くフォークっぽいが、アコースティック臭くない、という不思議な仕上がり。アルバムの前半は全く乗れず「外したか?」と思ったが、後半がなかなか良い。6. “When I was lost”, 7, “East of Indiana”あたりがお気に入り。8. “Lightning Bugs”は面白い。この手の変てこなリズムは前作でも見られたが、これが彼女の真骨頂だろうか。9. “Ballad #61”のAc. Gtr.のオープンチューニングも面白い。CSN&Yっぽいと言うか、Joni Mitchellっぽいと言うか。無条件でお勧めというわけでもないし、全くの外れというわけでもないし、微妙なアルバムというのが結論。

無題

EPO, 「三番目の幸せ」: Jackson Browne, “Boulevard” : Boston, “Amanda”: Journey, “Separate ways”

彼女が好きだったBudweiserを一献、校舎の壁にもたれながら上の曲を聴く。あれから5年、今年で不惑になるはずだったのに。こうなるために、別々の道を選んだわけじゃないだろう。

と問いかけても、答えがあるわけもなく。そして、僕は今生きるべき現在へと戻る。

荒井由実、”COBALT HOUR” (1975)

彼女の三作目となる”Cobalt hour”。この一曲は、と言えば、やはり2. 「卒業写真」だ。Hi-Fi setの方がヒットしたし、ボーカルだけをとれば山本潤子さんの方がすばらしいのである。が、曲の仕上がりとしてはこちらの方が圧倒的に良い。やはり、このバックのアレンジによるところが大きいのかなと思う。鈴木茂のギターはすごいね。ヒットした5. 「ルージュの伝言」は、どうも私にはピンとこない。8. 「少しだけ片想い」、9. 「雨のステイション」は名曲。

’06/06/17の購入リスト

BOOKOFF 港北茅ヶ崎店

1.荒井由実,「ひこうき雲」(1973)
2.荒井由実, “MISSLIM” (1974)
3.荒井由実, “COBALT HOUR” (1975)
4.荒井由実, “THE 14th MOON” (1976)
5. Lanpa, 「水の上のPEDESTRAIN」(1990)
6. Julia Fordham, “Julia Fordham” (1988)
7. Belinda Carslisle, Runaway Horses” (1989)

長らくウェイティングリストにあった荒井由実の初期四部作をついに入手。なかなか中古で出くわさないので、新品で揃えようかと思っていた矢先だった。Lanpaもついに遭遇。でもちょっと高くついたか。Belinda Carslisleが大当たり。聞き覚えがある曲が並んでるってことは、以前テープでも持っていたのかもしれない。

Corrinne May, “Safe in a crazy world” (2005)

バラード漬けだった前作とはちょっと違った一枚。1. “Little Superhero girl”は、本国シンガポールをはじめ、東南アジアでヒットしている様子。幼児向けTV番組にヒントを得た曲らしいのだが、楽しげですね。2. “Save me”は、心の内のちょっとどろっとしたところを出した作品だろうか。最近結婚したとのことで、こういう部分を上手く出せるようになったのかもしれない。

タイトル曲の5. “Safe in a crazy world”もストリングが乗ってくるピアノ弾き語り曲。自分の世界にしっかり引き込んでくれる。7. “Angel in disguise”もそうだが、アルペジオを多用するようになったのは、Vannessa Carltonの”A thousand miles”のヒットの影響なのだろうか?9. “The birthday song”もいい曲だ。

さて、このアルバムの一番の当たりは3. “Free”Beth Nielsen Chapmanっぽさも感じるが、音の処理の洗練された感じはこの人に軍配があがりそう。さすが。11として、別バージョンも含まれている。

このアルバムも外れがない。前作のインパクトにはやや劣るかもしれないが、音に幅を広げた点を見るべきと思う。私としては、2006年上期ベストの一枚です。地道に全米を回っていたりもするので、メジャーになってほしいですね。

Corrinne May, “Fly away” (2002)

とにかく素晴らしい作品。ピアノ弾き語りをメインとするシンガポール出身の女性SSWで、声質と曲がひたすらに美しいのだ。この作品は2002年の発表で、当時日本でも発売になったが、私は気づいていなかった。最近二作目の日本発売に伴って取り扱い先を変えての再発売となったのでこの作品に出会ったが、知らずに過ごした4年間を悔やんでしまう。Carole King的な王道を行く人だとのコメントを多く見かけるが、最近の人では誰に一番近いだろうかと考えると、Beth Nielsen Chapmanではないかと思う。声質でふっと思い出したのは宇多田ヒカル、高めの声域でちょっと似ていることがある。

一番はまってしまった曲が10. “Will you remember me”だ。ありがちな美しいスローバラードっぽいのだが、コード進行と曲の展開に仕掛けがたくさんある。曲の頭から、ピアノ+シンセで薄いながらも広がりを感じさせる音世界をまず作る。声質にとにかく引き込まれてしまう。局の後半が圧巻。思わぬタイミングで、テンションのかかったコードがぽんと入ってくる(augumentかな?)。最後の”will you remember me? remember”とひたすら続くリフレインがものすごい。これのどこがすごいの?と思う人が多いだろうというのは想像つくのだが、おそらくこれは80年代初頭を体験した人間の郷愁に訴えかけてくるものがあるからだろう。

タイトル曲の1. “Fly away”も、ものすごい曲だ。ピアノ一本でじっくり最後まで聞かせきるバラード。上と違って音に仕掛けはないんだけど、声質と歌唱力を堪能すべし。高音域まで、力むことなくきれいに出し切れるこの人は、いったい何者なのでしょう?“2. Same side of the moon”は、生ギター+シンセがバックの曲。聴かせてくれます。5. “If you didn’t love me”, 9. “Walk away”, 11. “Journey”もいいピアノバラードだ。全部は書ききれないが、外れ曲がないアルバムで、「明かりを落とした部屋で、正座してスピーカーに対峙して聞きましょう。」とそう言いたくなる一枚。

しいて難を言えば、きれいすぎる、あぶないところがない、ということだろうか。音自体に、どこかとげとげしたところとか、どろどろしたところが、まったく感じられないのだ(歌詞はそうでもないかも)。ソングライターとしては、Joni MitchellとかRickie Lee Jonesの域には達しないな、と感じるところはそういうところに原因がありそうだ。決して批判してる訳ではないのだ。私の場合、この二人と比べてしまいたくなる女性シンガーなんて、滅多にいない。どうしても比べたくなってしまう、という時点で、私にとっては凄い人なのです。

’06/05/17の購入リスト

レコファン池袋店

1. Livingston Taylof, “Life is good” (1988)
2. 白井貴子、”BABY FACE” (1993)

 都心まで出たので、ちょっとしたスキを狙っての買い付け。今月は買い過ぎです。来月は絞らないと。

Livingston Taylor, “Life is good” (1988)

10年以上探していたアルバムを、ついに池袋レコファンにて発見。矢吹申彦さん画によるジャケットが当時話題になった作品だ。言うまでもなく、Livingston TaylorはJames Taylorの弟で、70年代に何枚かの作品を残しており、最近もCheskyなどから渋い作りの作品を発表している。本作は1988年に、8年の沈黙を破って発表したもの。プロデューサーにArtie Traumを迎えているというのも、私的にはうれしいところだった。

とにかくやさしい音の作りなのだ。1. “Life is good”は、根底に流れる70年代SSW的なものと、多少の黒い音の影響、そして80年代のシンセを多用したぎらっとした音が絶妙にブレンドした曲。さりげない歌詞がまたいいのだ。2. “Sing I do so well”は、Acc. Gtrのバッキングとサックスの調和がとても好きだった曲。3. “City Lights”も、非常に優しい曲。Jamesとの兄弟デュエットなんだけど、James Taylor & JD Southerの”her town too”を思い出してしまうのだ。4. “If I were you”も、抜けのいいイントロから入ってくる佳曲ですばらしい。5.”It’s love”, 6. “Make it love”といい曲が続き、バラードの名曲7. “Loving arms”が続く。9. “Glad I know your well”も心に染み入るスローバラード。“Falling with with you”も、80年代初頭っぽい音の良い曲だ。

久々にこのアルバムを聴いて、全く違和感がなく、この音がずっと体に染み付いていたってことに気づかされる。全編を通じて、構えのない自然体にも関わらず、だれたところのない絶妙の作品だと絶対の自信を持ってお勧めしたい。

CASCADA 「いつでもタッチ」

Tower records横浜駅西口モア店内にて、聞き覚えのある曲がかかっていた。Maggie Reillyの”Everytime we touch”のカバーなんだけど、私の苦手なユーロビートテイストで、聴くも無残な状況。ドイツのCASCADAというグループによるものらしいが、それ以前の問題としてこの邦題はなんとかならんのか?しかしこれがそれなりにマーケットでは当たったようだ。非常に複雑な心境なのだが、これを機にMaggie Reillyの名盤”Echoes”が再発でもされて、より多くの耳に止まりますよう。

あと、どこでも店頭でのKT Tunstallのプロモーションが盛んだ。新譜が出たのかと思ってあせって見てみると、そうではない。”Eye to the Telescope”の邦盤が、今頃になって東芝EMIから発売されたようだ。ずいぶん前に買った気がすると思うので調べてみると、UKでは’04/11の発売だった。それでもやはり、良い音楽がより多くの人に届くのはうれしいもの、日本での売れ行きに注視したい。

06/05/13の購入リスト

Tower Records (横浜駅西口)
Corrinne May, “Fly away” (2002)
Corrinne May, “Safe in crazy world” (2005)

HMV (横浜駅西口)
Corinne Bailey Rae, “Corinne Bailey Rae” (2006)
Jewel, “Goodbye Alice in Wonderland” (2006)
Ivy, “In the clear” (2005)
Ivy, “Apartment Life”(1997)

HMVでは2枚で2990円セールに騙されての買い付け。IVYは余計だったかも。Corrinne Mayは大正解、大絶賛。しかし、Corrine (Drewery: Swing out sister), Corinne (Bailey Rae), Corrinne (May)とスペルがちょっとずつ違ってややこしいですなあ。

BOOKOFF 那覇小禄店

4/11購入の12枚の金額を合計しても、3000円に達せず。売れ筋から外れたと判断した商品の投売りに驚いてしまったのだ。長らく購入機会をうかがっていたものをいくつか安価で購入でき、感激したのであった。BOOKOFF慣れしていないのでそう感じてしまうせいだろうか?それとも、沖縄という地域性なのだろうか?数ヶ月前に、渋谷レコファンで2000円近くを投じたEPOの”Wica”が105円で売られていたのは悲しかったけれど。

商品知識はいい加減らしく、アルバムタイトルとアーティスト名を取り違えた場所に配架されていたり、邦盤が洋盤の中に紛れ込んでいたりと、掘り出すのが大変。時間に余裕のあるときに行きましょう。

’06/04/11の購入リスト

出張先での大量買い付けなのです。

BOOKOFF 那覇小禄店

1. Lone Justice, “Lone Justice” (1985)
2. Maria McKee, “Maria McKee” (1989)
3. Maria McKee, “Life is sweet” (1996)
4. Julia Fordham, “(Love moves in)Mysterious ways” (1991)
5. Roxette, “Crash! Boom! Bang!” (1994)
6. Carly Simon, “Have you seen me lately?” (1990)
7. 渡辺美里, “Live Love Life” (1995)
8. 白井貴子, “Heart attacker” (1984)
9. 白井貴子 & Crazy boys, “Next gate live” disc1のみ(1993)
10. 白井貴子, “Good to be wild ” (1993)
11. PSY·S, “atlas” (1989)
12. 今井美樹, 「太陽とヘミングウェイ」 (2000)

’06/03/25の購入リスト

何がなんだかよくわからん、という年度末の混乱が続いているわけですが。

レコファン横浜店

1. Rachael Yamagata, “EP” (2003)
2. Billy Joel, “The Stranger” (1977)
3. Van Halen, “Balance” (1995)
4. Julia Fordham, “Porcelain”(1989)
5. Julia Fordham, “Swept”(1991)
6. Julia Fordham, “Falling Forward”(1994)

トリノ五輪終わりました

 ヤマは荒川静香だったなと、女子フィギュアが終わった時点では思ったのだけれど、そうではなかった。アルペン男子回転、海和さんとか木村さんが成し遂げられなかった入賞が一気に二人、しかも皆川さんは僅差の4位である。祈るような気持ちでライブを見たのは駒大苫小牧の最初の全国制覇のとき以来か。自分的には、今回どうしてここまでホッケーウォッチに力が入らなかったのかが不思議でならないのだけれど。

 しかしオリンピックと言えば断然夏より冬、という体質は、やはり小学校一年生のときに体験した地元開催の札幌大会に由来しているのだろう。直接会場に見に行ったわけでもないけれど、そこは真駒内っ子なのだ。(小学生たちが空に放った)風船が競技場の方から風に乗って流れてこないかと、北西の空を見つめていたあのよく晴れた冬の日から、もう34年が経つ。

 まあ、個人的な感傷をどうしても書き留めたくなった、という一文ですね。

新星堂港北東急店

新星堂は長らく僕にとっては「out of 眼中」であった大型チェーン店である。それが大きく変わったのは、石川県在住時。アピタ松任店にはずいぶんお世話になった。で、最近は横浜の上大岡店とこの港北東急店に頻繁に出没している。
新星堂でうれしいのは、70-80年代の邦楽を別棚に寄せて、再発盤はもちろん、こうしたアーティストの最新盤まできちんと扱ってくれる点だ。一方でオーマガトキのようなレーベルを持って、SiljeのKKV盤などの渋いところを国内発売してくれているのには非常に感謝している。
で、この港北東急店であるが、「直輸入DVDの低価格販売」というコーナーがあり欧米アーティストのDVDが確かに安価に売られている。しかし、ジャケットをよく見るとそこに書かれている文字はハングル。確かに韓国からの直輸入なんだろうけど、「それって、いわゆる直輸入とはちょっと意味が違うんじゃないの?」と思うのである。

レコファン渋谷店

言わずと知れた中古CD+輸入盤の大型店。一般CDショップを軽く凌駕する豊富な店頭在庫は一見の価値がある。価格レンジは、「こんなに高くていいのかよ?」から「こんなに安くていいのかよ?」まで実に幅広い。廉価再発した国内盤と中古盤が一割程度しか価格が違わなかったりするのは、どうかと思う。
僕のwant listに入っているCDは大抵1000円を超えた価格がついているので、どうも食指が伸びないことが多い。一方で、Workshyなんかは500円くらいの投売り状態になっていたのを大量にゲットしたこともある。やはり時々顔を出して、在庫を見てみないと安心できないという心悩ませる一店。

’06/02/02の購入リスト

渋谷レコファン
1. Matt Bianco, “echoes” (2002)
2. Starship, “knee deep in the hoopla” (1985)
3. Anna nalick, “Wreck of the day” (2004)
4. Dave Stuart and Barbara Gaskin, “The big idea” (1989)

’06/01/29の購入リスト

disk wave(横浜駅西口)
1. Silver, “Silver” (1976)
2. Jewel, “this way” (2001)
3. Journey, “Frontiers” (1983)
4. Matt Bianco, “echoes” (2002)

Tower records (横浜駅西口)
1. Sweetness, “Ashtray Floors”

解凍するときはゆっくりと。冷凍するときは急速に。

一泊二日の沖縄出張、一言で言えば「暑かった」。着陸前の機内アナウンスでは、夜も10時を過ぎているというのに那覇の地上気温は22度。降機した瞬間に、湿った空気が襲い掛かってくる。僕の住んでいる地域の今年の寒さは尋常ではなく、アメダスの記録では連日最低気温がマイナス8度を下回っていた。ここは、本当に埼玉ですか?そんな今年の寒波に痛みつけられた身には、沖縄のあの蒸した感じは余計に堪える。暖かい冬はアリゾナで体験していたけれども、もっと乾いていたのでまったく異質だ。

関東に戻った翌朝は一転して雪景色。8年ぶりの大雪だそうだが、札幌・金沢を体験している身としては中途半端に思えて仕方がない。札幌で言えば春先の雪解け期くらいの感じだろうか。iPodでBill Evans Trioの”My foolish heart”を聴きながら人通りの少ない道を歩く。このアルバムを聴くようになってからちょうど20年か、と思い当たる。あの多感な時期も遥か遠く、僕は先日41歳になりました。

Rickie Lee Jones, “Pirates” (1981)

二作目となる1981年の作品。Steve Gadd, Neil Larsen, Randy Brecker, Donald Fagen, Dean Parks, Steve Lukatherと涙ものの人々がライナーノーツには並んでいる。一作目が高い評価を受けたアーティストほど、二作目は痛々しい出来になることが多いのだけれど、この自由さは何なのだろう?しかも、一人よがりの楽しさとは異質であるのは言うまでもない。一作目ほどのインパクトは感じられないのだけれど、やはり素晴らしい音に仕上がっていることに間違いはないし、やはり天才なのだなとひしひしと感じる。

1. “We Belong Together”から, 引き込まれていく。2. “Living It Up”なんかはすごくいいなあ。ファンクっぽい4. “Woody And Dutch On The Slow Train To Peking”なんかはとても楽しげ。「この時代っぽい」という意味で圧巻の出来なのは、やはりタイトル曲の5. “Pirates”だろうか。AOR色が強く、特に出だしのあたりにはSteely Danっぽさを強く感じる。曲調がいきなりバラード調に転換して、Rickie Lee Jonesワールドに引きずり込まれていく、いい意味で翻弄されてしまうこの感じはなんなのだろうね。7.”Traces Of The Western Slopes “なんかも複雑な曲なんだけど、さらりとやってくれます。天才の意思をしっかり具現化しているスタジオワークもすごいのだ。3. “Skeltons”, 8.”The Returns”はバラードで、これは実際に聴いてもらうしかない、としか書きようのない美しさ。必聴盤の一枚と言えましょう。

Shelby Lynne, ”I am Shelby Lynne” (2000)

2000年発売のデビュー作で、グラミー新人賞を獲得したアルバム。もっとも、これ以前にC&Wシンガーとしての長いキャリアがあるので、デビューと言うのも実は語弊がありそうだが。アメリカンルーツミュージックの泥臭さを残したロックで、Sheryl Crowのマーケットを食い荒らそうかという見事なかぶり方と思って調べると、プロデューサーが一緒らしい。

1. “Your Lies” , 2. “Leavin'”, 3. “Life Is Bad”あたりが泥臭いロック全開の曲だが、私が心惹かれたのはむしろ 4. “Thought It Would Be Easier”, 8. “Dream Some”あたりの静かな曲。押し付けがましくなく、あっさりと、しかし聴き手を捉える歌というのは、意外に少ないもので貴重。アリゾナの車も途絶えた郊外の道端で、夕暮れ時に聴いてみたくなるね。

渡辺美里、”My revolution” (1986)

この曲の発売は1986.1.22、石野陽子が出ていたTBSドラマの「セーラー服通り」で使われた曲だ。この曲を初めて聴いたときの衝撃は忘れ得ない。PV以外のテレビで渡辺美里を最初に見たときのことは、はっきりと覚えている。当時のランキング番組の最高峰だったTBSの「ザ・ベストテン」初出演のときだ。発売直後が最高で上位からは2-3週で消えてしまうような現在とは違い、当時のチャートアクションはゆっくり上がり、ゆっくり下がっていくのが主流。渡辺美里はランクインした最初の数回は出演拒否をしてから、何週目かにどこかのライブ会場から初登場したのだが、緊張のあまりがちがちになっていたのがテレビでもはっきりと見てとれ、歌の出来も芳しいものではなかった。強がっている19歳、という感じだったが、それでも初めて見た動く渡辺美里には感動したものだ。
それから20年、初出場の紅白でこの曲を聴いてから三時間と経過していない。その時間だけチャンネルを譲ってくれた嫁に感謝。デビュー20周年だった2005年を締めくくるにはふさわしい舞台だったのだろうと思う。久々にテレビで歌っていることを聴いたけれど、その堂々とした様子に、ダメダメだったあの日のベストテンのことをふと思い出した。最近セールスがちょっと持ち直してきている彼女も、先人の白井貴子EPOのように、売れた時期を過ぎても歌い続けたことで、静かだが強いメッセージを送ることが出来るようになったということか。しばらく渡辺美里ウォッチをさぼっていた僕だが、また注意を向けてみようと思う。

「一本の音楽」 by 村田和人

一言で言えば、「旅に音楽を持ち歩くことは欠かせない」、といった内容の歌だ。この曲を聴くと痛切に思い出すのが、1995年の夏のことだ。僕はこのとき海外修行中で、この夏はイギリス南部のブライトンという町に滞在していた。ある週末、どうしても北の方に行ってみたくなり旅に出た。本当はスコットランドに足を踏み入れたかったのだけれど、夏は宿を取るのが大変だとのことで、イングランド最北端のDurhamという町で引き返してきた。Durhamの駅で南へ戻る列車を待っていたときに駅で聞いていたのがMDに入れておいたこの曲、イギリスらしからぬ暑い日だったのを痛烈に覚えている。

なんでこんなことを書いているかというと、僕も最近遅ればせながらiPod族の仲間入りしたのがきっかけだ。この曲は1983年の発売、日立マクセルのカセットテープのCMで使われていたので耳にすることは多かった。実家の弟がこの曲にどっぷりの時期を過ごしたこともあり、10年前の春に帰省したときにこの曲をMDに録音した。それが海外に出る直前のこと。今の若い人は、「一本の音楽」という言葉から何を思うだろう?メモリースティックだろうか?カセットのことだとは思わないのは確かだと思う。最近、旅(というか出張だけれど)に出ることが多い。この曲をiPodに入れて持ち歩こうと思う。カセット・MD・デジタルオーディオと、自分の関わったテクノロジーも何世代にも渡るようになってきたなと実感することで、自分の軌跡も感じてみようと思う。歌詞のように、「昨日までのわずらわしさ、破り捨ててしまえ」とはいかない現実とともに。

渡辺美里、紅白初出場に驚く

今日発表になりました。BSの「真夜中の王国」とか、渡辺美里とNHKとの結びつきは近年強かったはずなのに、なんで今さら、とも思うのだが。例の話題のスキウタの投票結果に”My revolution”が入っているので、おそらくこれを歌うのだろう。今年はユーミンも出ることだし、ついつい紅白見てしまうだろうな。

Paris Match, “Voice” (2005)

11/23にシングルが発売になった直後だそう。先週末にFMで何回か聞いて興味を持った。これ以前の作品をまったく知らないし、DJが「クラブシーンで・・・」と言いかけた途端に別の局に移ってしまうというほど邦楽のクラブ系に拒否反応が強い僕なのだけれど、この曲はいいね。思わずシングル買いました。

杉山洋介と古澤大の音の作りは、かっちりと計算されていて心地よい。オリジナルラブの田島氏がプロデュースしたアンナバナナの”high dive”あたりを思い出す。ドリカム的でもあるとも言えるかな。(ということは、Swing out Sisterっぽくもあるのか)。

でも、やはり決め手は、ボーカルのミズノマキの声だろう。独特の透明感と、ふっとファルセットに抜く歌い方、理屈抜きにいいと思える。弱点はといえば、残念ながら歌詞が意識に残らないこと。適切な表現ではないかもしれないけれど、インストものとして聞いているっていう感じだろうか。ミズノマキの声が楽器として優れていると言えるかもしれない。

まあとにもかくにも、以前の作品も聞いてみようかという気に、ちょっとなったのだ。

「ミスターサマータイム」(サーカス)

ある午後、カーステで「ミスターサマータイム」を聞いていたときの、妻との会話。

妻「だいたい、ミスターサマータイムって誰だよ?」
私「要するにこの歌詞、ナンパされてやっちゃいました、ごめんなさい、って内容なんだよね」
妻「なんだ、尻の軽い女の話か」(と吐き捨てる)
妻・私「げらげらげら」

「海を見ていた午後」(荒井由美)

ある午後、カーステで荒井由美の「海を見ていた午後」を聞いていたときの、妻(はまっこ)との会話。

私「この歌詞に(山手のドルフィンに)『坂を上ってひとり今日も来てしまった』ってあるけど、これは根岸の方から登ったってことかね。」
妻「そうじゃないの」
私「えらく急だよね。あの坂。歩いて登ると。」
妻「ご苦労さんなこって」
私「まったくご苦労さんなことで」
妻・私「げらげらげら」

希少盤はどこで買う?

僕が普段出入りしているレコファンや、disk unionあたりで意外に手薄なのが、1990年前後の邦盤だ。たとえば自分のサイトで取り上げてる平松八千代さんはこの時期Lanpaというバンドで活動していたのだが、どうしてもこのCDが手に入らない。

こんな疑問に対するちょっとしたヒントを最近得た。僕は、埼玉の、とある私鉄沿線に住んでいる。最寄駅には大学がいくつかあり、まがりなりにも小さな古本屋兼CD屋があったりするわけだ。そこには、卒業して学生が売り払っていったと思われる昔日の売れ線CDがごそっとある。埃なども積もっていて、かなり古くからの在庫が動いていないことが見て取れる。が、ここの在庫は面白い。まさに上に書いた年代のものがごそっとあるのだ。残念ながら私が探していたずばりの物はないのだが、こうした商売っ気の希薄なところには探しているものが意外にあったりするのではないか?と意外な発見だった。

まあ、いまどきネットオークションなどで積極的に探し回る手もあるのだろうが、怠惰な私としてはこんな手しか考え付かないわけで。

南下・北上

今年の春から、月に1-2度、沖縄への業務出張している。「うらやましいですね」と良く人には言われるけれど、僕の住む埼玉の首都圏の際から沖縄本島中部の仕事先までの移動時間は7-8時間、決して楽ではない。しかも、仕事場は本島東岸の埋立地、決してきれいなビーチなどではないのだ。そんなわけで、いつも那覇の空港と仕事場を往復するのみで、沖縄らしいビーチも那覇市内さえも見ることなく半年が過ぎた。

今回は、一泊二日の出張だったのだけれど、那覇市内を一時間ほどうろつく時間ができたので、ようやく国際通りデビューを果たしたのだ。平日の昼間で、修学旅行の高校生にまぎれてしまうのは不本意だったけど。それよりは、平和通りあたりのアーケード街から更に入ったあたりが地元っぽさがあって面白かったかな。まちぐゎーと言うらしい。

で、恒例のCD屋チェック。国際通り沿いのビルの6Fに入っているタワーレコード那覇店。ちょっと店舗面積が狭いかなあ、という感じ。試聴ブースも少ないし、新ネタ発掘には困るかも。などと思いながらも、Shelby Lynneの”I am Shelby Lynne”を購入。聴き込み中である。

blogに手を染める

“My favorite female singers”という女性ボーカル専門サイトを開いているskyharborです。このwebサイトを始めたのが、もう10年近く前にもなる。月間のページビューが5000-6000程度の、訪問者がすごく多いわけでも、すごく少ないわけでもないところだ。

10年かけて徐々にコンテンツを書き足していったため、自分のページを見るにつけ、なんとまとまりのないことだろう、と最近思うようになった。好みも徐々に変わってくるし、シンガーによっては一時期熱を上げてみたけれど一過性だったので今読んでも何のことやら、ということも往々にしてある。その時々の感動を伝えることと、長期に渡って整合性の取れた情報を発信し続けることって、どう折り合わせればいいのだろう。

一つの考え方がblogなんだと思う。こうしてblogなんかが栄える時代にあっては、まとまったページ数のwebサイトをこれから開こうという人も減ってくるのだろうし。僕は、blogで新鮮な感想をとりあえず上げて、少し素材を寝かせてからwebサイトに組み込んでいくという、そういう使い方が出来ないかをここで試していこうと思う。まあ、要するに習作ですね。おひまな方はお付き合いを。

Workshy, “Soul Love” (1994)

ソウルの名曲を彼ららしいアレンジでカバーしていくという趣向のアルバム。四作目というタイミングはカバーアルバムを出すタイミングとしてはいいのではないかと思う。(リアルタイムで聴いたアルバムではないので説得力薄いですが)

1. “I say a little prayer”は、Dionne WarwickやAretha Franklinが歌ったのだそうだが、私がなぜこの曲を覚えているかといえば、ドラマ”Ally McBeal”で見たからだろう。3.“Its too late”は、ソウルとも言いがたいCarole Kingの名曲だが、このサラリと流すアレンジはなかなか良い。2.“If I ever lose this heaven”や7.“Work to do”もいい曲だね。黒いソウルはどうも駄目な私だが、こういう音の作りであれば受け入れられるなあ。

Workshy, “Heaven” (1993)

さわやかさ半分、ゴージャスさ半分という微妙な路線を継承した三作目。1.“But alive”, 7.Love Love Loveなんかはその典型。8.“I’ll never know”なんかのさわやかサウンドも、夏っぽいというか何と言うか、かなり良い。この時期のChrystaの声質は、さわやかそうだけど実はちょっと尖った芯があり、ちょっとしたシャープさをかもし出している。はまると結構心地良いかも。

Rickie Lee Jones, “Rickie Lee Jones” (1979)

正直な話、このアルバムは何年も前に買ってあったのだが、ピンと来ないで放置したのだ。ところがある日聴きなおしてみて、すっかりはまってしまった。このデビュー盤が彼女の最高傑作だというのが大方の評価だし、私もこの一枚しか聴いていないのだが、Joni Mitchellの域に一番近いのはこの人ではなかろうか。

1.“Chuck E.’s in love”はおそらく一番知られた曲で、このシャッフル感を出せるシンガーソングライターは彼女くらいなものだろうと思う。9.“Weasel and the write boys cool”も似たような曲想。70年代後半のフュージョンっぽい音にJames Taylorなどとも通じるところがあり、とても楽しく聴ける。2.“On saturday afternoon”, 8.“Coolsville”などは、Joni Mitchellかなあ。しみてくる佳曲だ。そして3.“Night train”は、David Crosbyかな。こんな音を自由に操れるのは、すごいとしか言えないのだ。個人的には一番好きな曲。そしてバラードの隠れ名曲として評価が高い10.“Company”は、まだ学部生だった頃に打ちひしがれた曲。20年も経ってまた聴いてみても、やはり心揺さぶられるものがあるのだ。美しくも悲しく、例える言葉もなく絶句するしかない。そして、アルバムは、やはり美しいバラードの11.“After hours”で静かに幕を閉じていくのだ。

Vanessa Carlton, “Be not Nobody” (2002)

Rachael Yamagataのページにも書いたのだけれど、ロックっぽいRachael Yamagata、ジャズベースのNorah Jones、そしてクラシックベースのVanessa Carltonと、かなり色分けのはっきりしたピアノ弾き語りのシンガーソングライターが出てきて面白い時代なのだ。

このアルバムはよく売れたし、この人のセンスはやはりすごいと痛感させられる一枚。はっきり言えば、そんなに好きなタイプじゃないはずなのに、何故か延々と聞き続けてしまうという不思議さがある。“White Houses”の、ひたすら刻んでくるバスドラが妙に気になるのだ。ストリングとピアノが絡んでクラシックの匂いをぷんぷんさせながらも、どことなくテクノだ。

“Annie”もVanessaの色が強く出ている曲で、何故か何故か引き付けられてしまうのだ。そして、きれいにまとめた“San Francisco”も素晴らしい。“like a boy of summer gives his first kiss”なんてあたりの歌詞を女性がさらりと歌いきってしまうところが、四十を過ぎてしまった私にはまぶしく、痛いのです。“Papa”みたいな曲も、彼女でないと書けない曲だな。

Cloudberry Jam, “Movin’ On up” (2004)

再結成第一作。昔ほどいいか?と問われれば答えはNoなのだが、それでも好きな一枚だ。“your love”から、タイトなリズムセクションの上で、ギターとハモンドが自由に絡み合うCloudberryらしい音。それでも埋もれることのないJennieの骨太なVocalは、やはりすごい。“When tomorrow comes”も、ドライブ感で一気にもっていってしまうという彼らの専売特許が炸裂。下手にブラスなんて入れてほしくないなあ、と切に願う。“people are starting to care”も似たような感じかな。“my evening”“ain’t gonna”でのJennieも格好よい。

EPO, “Go Go EPO”(1987)

上大岡の、とあるコインパーキングは旧千円札しか受け付けない。近くの中古CD屋に飛び込んで、釣銭目当てで買い付けたのがこの一枚。実は、このアルバム、LP時代に死ぬほど聞いた一枚なのだ。一番印象深いのは、7.“Middle Twenties “。婚期がどんどん遅くなる現代にあっては「20代なかばで、そんなにあせっていたのかなあ、あの時代。」と思ってしまうのであるがいい曲です。イントロのシンセが、どことなくVan Halenの”Jump”だ。あとは、共演のバンドの名をそのまま題名にしている「センチメンタル・シティ・ロマンス」(名古屋の西海岸っぽい音を出すバンド。1998年の“Soul Kitchen”でも共演している。)も頭から離れない。アルバムを締める「八月十七日」も、あの時代を思うと泣けてくる曲だね。

Eddi Reader, “Angels & Electricity” (1998)

これも随分遅くになって中古で購入した一枚。一番気になる曲は、3.“Postcard”。4.“Wings on my heels”の、ジャズトリオの構成におよそ似つかわしくない楽器が絡んでくるアレンジも面白い。9.“California”も、スコットランド人の彼女がこういう曲を書くのが面白いね。10.“Follow my tears”も、アメリカントラッドっぽい。11.“Psychic Reader”の不思議なアレンジも、やはり才能なんだなあ。12.“Please don’t ask me to dance”も、ソングライティングが冴える佳曲なのだ。

Natallie Inbruglia, “Counting down the days”(2005)

アコースティックポップさを前面に打ち出した最新盤(といっても発売から2ヶ月経っているが)。ミディアムテンポの1.“Starting Today”を、まずはさわやかに歌い切る。続くは、ファーストシングルとなった2.“Shivar”。インパクトのある曲だ。3.Satisfiedも良い曲。タイトル曲である4.“Counting down the days”は、このアルバムの中でも、私が最も好きな曲の一つ。これは、やはりフィルスペクターサウンドなのかな。スローな6.“Slow Down”もしっとりと仕上がっている。どこかで聴いたメロディーの運びなんだけど(多分邦楽)、どうしても思い出せない。8.“Perfectly”もポジティブに仕上がった音だ。

とにかく、よこもここまでアコースティックに徹し切れたね、という音作りで渡し的には大満足な一枚。お勧めです。

Natallie Inbruglia, “White lilies island”(2001)

こちらはぐっとエレクトリックな音作りだった二枚目。歌詞をぎっしり詰め込んだ譜割りの1.“That day”は、それなりのインパクト。アコースティックな音の作りの3.“Satelite”あたりが、私はやっぱり好きかなあ。5.“Wrong Impression”, 9.“Sunlight”なんかも面白い曲ではある。12.“Butterflies”, 13.“Come September”あたりも、彼女の歌の良さがわかる曲だ。

しかし、ボーナストラックが半端な位置(10曲目)に入ってるので、本国盤そのままのジャケットや、PCで再生したときのMedia Playerの曲名リストと、実際の曲名が最後の方でずれるのは困ったもんだな。

Eddi Reader, “Eddi Reader” (1994)

1.“The right place”は、醸し出す世界に圧倒される一曲。2.“Patience of Angels”もやはり佳曲。4.“Scarecrow”も、トラッドな香りを残した曲で面白い。6.“Joke (I’m laughing)”も、曲の良さに圧倒される。

7.“The exception”は、どことなく初期のJoni Mitchellを思い出すような曲で楽しいのだ。10.“When I watch your sleeping”は、じわっと来る曲。その他の曲にも外れがなく、アレンジの素晴らしさとも併せて、安心してお勧めできる一枚。

Shelby Lynne, “Suit yourself” (2005)

とにかくすっかりやられちまった作品。

もちろんShelby Lynneにもやられたのだが、それ以上にピーター・バラカンにやられたという印象だ。あまりにも意味不明なので、説明しておこうと思う。ある土曜の朝、ピーターバラカンがDJを努めるNHK-FMの番組を聴いていたら紹介されたのがこの一枚。ピーターバラカンといえば、最近の人には「ドキュメントUSA」などの報道ドキュメンタリーの印象が強いだろうが、我々の世代にとっては80年代半ばの洋楽MTV全盛期に「ホッパーズMTV」という特色のある番組のVJをしていたのが思い出深いはずだ。当時から彼の紹介するクリップは、売れ筋だけを追わない特色のあるものが多く、私もかなり影響を受けたのだが(典型例がSing out sisterかな)、この一枚の紹介がラジオから流れてその記憶がまざまざと蘇ったのだ。やっぱりすごい人だなあ、と。

上記バラカン氏によれば「デビュー作以降はプロデューサーに恵まれずさっぱりだったのが、セルフプロデュースで大復活」なのだそうだ。とにかく最初の一曲1.”Go with it”のフォービートの乗りがすごい。この手のアメリカンな音をここまで見事に演じ切る人は、(私がこの方面に疎いにせよ)初体験だ。2.”Where am I now”, 3.”I cry everyday”といい曲が続く。とにかく「かっこいいなー」という一言なのだ。5.”Old time sake”は、Americaの”I love you”を強烈に思い出す一曲。6.”You and me”も素晴らしい曲だし、と挙げていくときりがない。最後の12.”Track 12″は、12曲目っていうやる気なさげなタイトルなんだけど、けだるさが心にしみてくる佳曲。「スチールギターの音っていいなあ」と久しぶりに思ったな。

とにかく外れのないすごいアルバムで、私的には2005年上期のベストアルバム。強力にお勧めいたします。

Swan Dive, “Popcorn and a Mama Who Loves Me Too”(2005)

Victor移籍第二弾。前作ほどのインパクトは感じられないが、決して悪いアルバムではなく、「相変わらず良い」という表現が適切か。しょっぱなの“Get back together”なんかは、Bee Geesの”How deep is your love”っぽい音の運びで始まって、あとはSwing out sisterっぽく曲が展開していくという大人の音なのだ。“Trouble”なんかはブラジルっぽくもあり、「Nashville系」という括りに騙されてはいけない音の多彩さが目立つ。

そうなると、逆に単純な音が素晴らしくも感じられたりする。“You are my superstar”,“Mumbling a goodbye”のあたりは、メロディーの美しさが引き立つ曲。逆に勢いでもっていってしまう“We are two”も楽しげでいい。歌詞は最初は“We are two”なのに、最後は“empty chairs, broken cup, “に引き続いて“We were two”となってしまうので、決して単純に楽しい曲ではないんだけれど。“Now that I found you”あたりも余裕の感じられる曲でいいよね。

Lene Marlin, “Lost in a moment” (2005)

また、4年も待たされるのだろうとのんびりしていたら、あっさり出てきた新作。日本語版のライナーノーツによれば、サントラ用の単発の仕事が発展して、瓢箪から駒のアルバムに仕上がったそう。ジャケットの写真などを見ると、姿の様変わりに唖然としたりもするのだが、もうデビューから6年も経っているのだから不思議もない。前作での日本のレコード会社のプロモーションはやる気なさげなものだったが、本作ではさらにそれに輪をかけている印象だ。

“How would it be”とか“What if”は、ベースラインがPoliceを思わせるポップな曲で聴きやすい。アコギのカッティングが心地よい“Eyes closed”は、1stの雰囲気を漂わせている。“My lucky day”“All I can say”あたりは、前作の延長線上にある感じなのだが、どことなく明るさも感じる良い曲なのだ。

しかし、全体としては音の作りが派手すぎて、ボーカルが埋もれてしまっているかな、という印象。彼女のさわやかさと今に壊れてしまいそうな繊細さの危ういバランスが感じ取れないのだ。一作目での“Sitting Down Here”や二作目での“You weren’t there”のような、「この一曲で決まり」という曲もなく、どうにも突き抜けきらないのがもどかしい。しかし悪いアルバムという訳でもなく、前作とは打って変わって本人が楽しそうにやっているというところで評価が難しい(無理な明るさかなとも思ってしまうのだが)。ちなみにこのCD、copy-controlledではあるが、私のカーステで無難に再生できました。これはありがたい。

Kathryn Williams, “Over fly over” (2005)

作のカバーアルバムからは、そう間を置かずに出てきた新作。なかなかよろしいのです。“Indifferences#1”の、ゆるゆる感が素晴らしい。“Old low light #2”なんかは非常に彼女らしいなと思う曲。

さて、そんな中で私としては、“Beachy head”という曲に注目したい。やたらさわやかな曲調と、そうでもない歌詞の対比が面白い曲なのだが、問題はこのタイトル。これが地名だと気づいた人は多くないはずだが、この近くに住んでいたことのある私には覚えがありました。このページのSeven Sistersの項を参照。slip offなんて言葉が歌詞に出てくるので、おそらく間違いないと思う。

Avril Lavigne, “Let go”(2004)

立派に成長した二枚目。プロデュース陣も、かなり入れ替えたようだ。実際良く売れたし、これで人気は定着したのだろう。“Take me away”みたいな重い音の作りでも、なかなかさまになっている。“Together”は、なんとなくいいなあ、という曲。“He wasn’t”は、前作で言えば“sk8er Boi”みたいな曲だ。以上の二曲の声質・歌い方から痛烈に思い出されたのが、リンドバーグの渡瀬マキ。“Nobody home”も好きな曲想で、これからはLene Marlinをふと思い出した。“Fall to pieces”あたりをさらりと歌えるのも、やはり才能か。“Freak out”みたいな曲では、北米系のgirl’s rockのいい継承者だっていう匂いをぷんぷんさせている。前作でのAvrilを「作られた存在」と書いたが、着実に実績を積みつつそれから抜けていけそうな予感を持たせてくれるね。

Rachael Yamagata東京公演@渋谷Quattro (2005.2.1)

またも当日券での入場。オールスタンディングはしんどいのだけれど、ステージとの近さはやはり捨てがたい。まだ一枚しかアルバムを出していないため1時間半にも満たないステージだったが十分堪能できた。一曲目に“Letter ahead”、二曲目に“Be be your love”と好きな曲が早々に出てしまったため、このあと一体どうなるんだ、とやや心配になってしまったが、十分収穫のあるステージだった。

アルバムからは、ピアノ弾き語りに本領を発揮する人だとの印象を持っていた。もちろんこれは間違っていないし、弾き語り曲は楽しめた。song writingがすごいのは、改めて痛感させられる。しかし、である。楽器から離れてマイクの前にしっかりと立ちシャウトする姿に、私は魅かれてしまうのだった。この人の声はハスキー系なのだけれど、Janis Joplinを彷彿とさせるシャウトが本当にすごい。そういうわけで、一番印象に残ったのは“Worn me down”。どうにも嫌いだったが、何故か気になった詩を専攻していた友達のことが題材だとMCで言っていたようだ。私の耳にはこんな風に聞こえた。「本当に可愛い人で、私はその子のことが嫌いで嫌いで、気づいたらこんな歌を書いていた」んだそうだ。

さて、Rachaelのキャラなのであるが、ステージ上でタバコをふかし、f-wordこそ使わないものの汚い言葉を連発し、それなりに不良しているのだが、なぜか可愛さを感じる人だ。今回うなずけなかったとすると、それはバンドの構成か。バイオリンとチェロが入ったいたが、どうも存在意義が感じられない。ギターはどうも役割を理解してるとは思えないプレー。ただし、ドラムとベースは良かった。ちなみに、ベースはRachaelの従兄弟なのだそうだ。

次作が当たれば、もうクアトロなんかでは見れないかもしれない。でも、次の来日が今から楽しみになってしまうライブだったのは間違いない。

Lisa Loeb東京公演@渋谷Quattro (2005.1.20)

私にとっては、富山の夏祭りでやってきた白井貴子さんのステージを除くと、まともなライブに行くのは1996年にPhoenix, AZで見たJames Taylor以来、さらに日本でとなると1994年以来の出来事なのだ。当然Quattroなんて初めてで、外タレ(死語?)の来日公演も随分様変わりしたな、と痛感したのだ。

しかしいいステージだった。最新作と”Tails”からの曲が中心だったようで、”firecracker”からの曲が少なかったのは残念だったが。“Fools like me”,“Stay”あたりが特に印象に残る。Lisaはちょっと舌足らずながら、私には非常にわかりやす英語で、とにかくしゃべりまくっていた。Lisaのギターは、ストロークはいまいちだがアルペジオはミスなくしっかりピックで全音拾っている。歌いながらあれだけできるのか、とちょっと尊敬。そして非常に印象に残ったのが唯一のサポートメンバーのMatt Beckのプレー。Lisaがアコースティック、Mattがエレクトリック担当なんだが、非常にいいサウンドに仕上がっていた。

終了後にしっかりサインなど貰ってしまったのは、直前に40歳に達していた私としてはやや恥ずかしい点なのだが、まあよしとしよう。いいステージでした。

James Taylor, “New moon shine” (1991)

この時期はアコースティックな路線に回帰しているのが特徴。FiddleにMark O’coner, DobroにJerry Douglasなんて涙物の組み合わせだねえ。かと思うと、Breacker兄弟やSteve Gaddみたいなジャズ系の大物も登場していて、これにも驚き。

“Copperline”“The water is wide”みたいな、dobro, Fiddle付きのばりばりのアコースティックな曲、私は好きなのだ。“The water is wide”は、元はケルトのトラッドみたいだけれど、ドラマ”summer snow”でSisselが歌っていたので、そちらを覚えている人も多いのではないだろうか。歌詞にMartin Luther Kingが登場する“Shed a little light”は、メッセージ色の強い、ちょっとゴスペルがかった曲。かと思うと“Slap Leather”はロックンロール。“Like everyone she knows”では、久々にJamesの絶妙なフィンガーピッキングが聴ける。この曲ではサックスにBranford Marsalis。

まとめてみると、ちょっと散漫な感もあるが、いろいろ聴き所のあるアルバム、と言えましょう。

Rachael Yamagata, “Happenstance” (2004)

Tower RecordsでもHMVでも平積みされている。ピアノの弾き語りということで、Norah Jonesとの類似性を打ち出したような案内文を店頭で見かけたが、Jazzのバックグラウンドは殆ど感じらない。かと言ってVanessa Carltonのようなクラシックの基礎がある感じでもなく、やはりロック系の人という認識で聴くのがいいんじゃないかと思う。今年屈指のスマッシュヒットであると私は思うし、新人ではピカイチではなかろうか。

“Be be your love”の、ゆるゆる感がたまらない。ハスキーな声質とのマッチングで、けだるさがしっかり出ていてはまる。“Letter ahead”のピアノの不協和音の気持ち悪さもいいね。でも、さびではすっきり抜けのいい音に解消されるところがさらに良し。この曲で使われているピアノはちょっとチューニングがずれている?“Paper doll”は、バックのアコースティックギターのオープンチューニングに、にんまり。CSN&Yの、”Judy blue eyes”がちょっと思い出されてしまうのだ。

平松八千代、”Travelling Soul” (2004)

長いキャリアの中でも、これが初ソロ作ということになる。あまり店頭では遭遇せず、5店目くらいの横浜西口のHMVでようやく購入した。最初の正直な感想は、「微妙なアルバムだな」であった。正直、Soy時代の八千代さんを知らなければ、おそらく購入していなかったと思う。どうもアルバム全体を通じて突き抜けきらない感じがするのは何故だろう、と随分考えた。曲がいまいちなのか、アレンジの問題なのか、歌い方なのか、声質の変化なのか、録り方の問題なのか、と。ヒントになったのは、「抱きしめたいのに」とか“Rescue Me”だった。いわゆる、「英語歌い」というやつか、日本語として響いてこないのだ。また、声域の広さを過剰に意識したのか、ワンフレーズ中でかなり音域の飛ぶ曲がかなりある。八千代さんの場合、シームレスに全部の音域をカバーするのではなく、それぞれの音域をそれぞれちょっと違った歌い方でカバーするタイプなので、音域の飛ぶフレーズはぶち切れに響いてしまう感がある。

そういう点から見ると一番出来の良い曲は、桑田佳祐の“Journey”のカバーではないかと思う。長めの文節からなる歌詞と、ゆったりしたメロディーの動きが八千代さんには合っているように思う。「これは日本語か?」とデビュー当時物議を醸した桑田さんの曲だというのが皮肉なところだ。

などと、ちょっと不満を持ちつつ、購入後数日を過ぎると、“You are like the sunshine”のメロディーを口ずさんでいる自分に気づく。“Back to me”なんかも、Love Psychedelicoっぽいなと思うけど、好きな曲だ。“Love is blue”あたりは、Indigoっぽくもあるが、やはり良い曲。何だかんだと言いながら、結局はまってしまっている自分。やはり八千代さんは素晴らしいのです。

Naimee Coleman, “Silver wrists”(1996)

これがデビュー盤らしい。特に抜いた声の出し方をするときに、強烈にMaggie Reillyを想起させられる。それは、リバーブの使い方のせいだろうか、声質のせいだろうか、ファルセットの使い方のせいなのか。しかし、それ以上に、張った声の出し方をするときに誰かに似ている、と思うのだが、Mejaだろうか。maggie ReillyとMejaでは離れすぎている気もするし、ちょっと不安。

音の拡がりも重きを置いたアレンジなどは、同じIrishのEnyaなどを思わせる部分もあり。“care about you”は売れた曲らしいのだけれど、やはり良い。“ruthless affection”のアレンジも私好みだ。丁寧に歌い上げている“hold tight”も佳曲。レコファンで380円で発掘したことを思えば、コストパフォーマンスの高い一枚であった。

Sophie Zelmani, “Sophie Zelmani” (1995)

これがデビュー盤らしい。見事なまでに(迷走開始前の)Neil Youngで、とてもうれしく思ってしまう。“I’d be broken”などは、その典型であろう。“Always you”“I’ll remember you”のような曲も私は好きだ。本当にAmericanじゃなくSwedishなの?と言いたくなる乾いた音がたまらない。70年代西海岸趣味の人には特にお勧め。

Workshy, “Under the influence” (1995)

“DUI”という言葉は、英語圏で暮らした人なら覚えがあることだろう。”Driving Under Influence”の略なのだが、「アルコール・薬物の影響下での運転」を意味する。このアルバムタイトルを見たとき、これに邦題をつけるとすれば『ラリってる』かな、と直感したのだが、『恋に酔って』という解釈が正しいそうだ。

さて、一曲目の“Under the influence”がいいかな、という程度。とても精緻な音の作りで、それは素晴らしいことなのだろうけれど、R&B志向の弱い私としては、他のアルバムと比べるとお勧め度はやや下がります。

Workshy, “The golden mile” (1989)

これがデビュー盤ということになる。上述“Mood”を先に聞いてから、遡って中古で入手したので、グループの13年での変遷がはっきりわかる。Chrystaが唯一のボーカルとして前面に押し出されているわけではなく、Michael John McDermattもリードを取っている。Chrystaの声質は、深みがある現在と比べ、若さゆえ微妙に尖ったところがある。しかし、これに伴う華やかさが捨て難い。音の作りは、エレクトリックポップス・ブラジリアンなどのてんこもりで、メロウというより清清しさを感じさせらる。

“You’re the summer”“I saw the light”とさわやかな曲で夏向きだ。“Love is the place to be”でのコーラスワークなどは、吸い込まれていきそうな感じすらする。“Somewhere”の軽快さも素晴らしい。

EPO, “Wica”(1992)

正直な話、上記の“Fire & Snow”がぴんと来なかったので、発売された時には購入しなかったのだ。発売から12年も経ってから、レコファンで入手してはじめて聴いた。全くもって、失われた12年を呪ってしまうようないいアルバムなのだ。

全曲とも、EPO自身の作詞・作曲。「花」でのピアノはEPO自身。はるか前に、ライブでピアノを弾き語る姿を見たことがあったが、なぜ自分のアルバムでは演じないのだろうと不思議に思っていた。「汽車」では、以後延々と続くChoro Clubの笹子さんとのコラボレーションが聴ける。「ジェラシーと呼ばないで」は、以前からのEPOの路線の音を踏襲しつつも、詞の面では今に続く新しい世界が開かれつつあったんだな、と今になって感じさせられる。「百年の孤独」は、後に“air”にも再録されるのだが、自分の歌詞の世界をしっかり広げだしていることが感じられる。「見知らぬ手と手」はずっしり重い曲を、さらりとしたメロディー(どこか「音楽のような風」を思い起こさせる)に乗せて、ピアノ弾き語りで歌いきった佳曲。

音的には、従来からのポップス、ブラジリアン、アジアンと、多少まとまりが悪い部分もあるが、現在に至るEPOがこの辺りで芽吹いたのだな、ということがわかって、それも一興。

Swing out sister, “The living return”(1994)

渋谷のレコファンで大量仕入れした一枚。ソウルっぽいかなという音もあれば、ファンクっぽいかなという音もあり、かと思うと70年代後半のフュージョンっぽい音があったりもする。“Mama didn’t raise no fool”“La la (means I love you)”“Stop and think it over”あたりが個人的にはお気に入り。“All in your mind”の(古典的な)フュージョンっぽい音もなかなかだ。

The Indigo, “Song is love” (2004)

ちょっと油断をしていたすきに、二枚アルバムが発売になっていた。一枚飛ばして、オリジナルとしては5枚目となる最新盤を先に購入。全体的に、夏を強く意識したアルバムの作りになっているように思われる。

“kiss in the sky”からアルバムは始まる。極端に上手ではないけれど中低音でじっくり聞かせる田岡美樹のボーカルが冴える。ゆったりサウンドから私が思い出したのは80年代初頭のAORグループSneaker。夏の昼下がりにぼーっと聞くのにふさわしい。続く“squall”は、ボサノバっぽいリズムの刻みで、これまた心地よし。「恋の魔法」は、生ギターのカッティング、ブラスのアレンジが心地よいポップ・チューン。“miracle”なんかは、とてもIndigoらしい曲だ。(ちなみにイントロからは、EPO「無言のジェラシー」が思い出される)

Lisa Loeb, “The way it really is”(2004)

前作は契約がこじれたのか、日本盤が本国より数ヶ月先行発売になったり、別レーベルから再度発売になったりと慌しかったのだが、本作はブルーグラスなどになじみの深い人にはピンと来るRounderレーベル系のZOEからの発表。日本ではVictorの取り扱いとなるようだ。本国では商業的に成功しないと思うのだが、日本ではまずまずの出足のよう。

最初の二作ほどの輝きはないとの、散々な評価をよく見かけるが、僕は結構この作品が好きだ。2. “I control the sun”, 3. “Hand me down”, 5. “Try”, 11.“Now I understand”あたりをiPodで常時携行。特に好きなのは4. “Fools like me”。たたみかける歌詞がLisaワールド全開なのだ。

Lisa Loeb and Elizabeth Mitchell, “Catch the moon”(2004)

Lisa Loebと、IdaのElizabeth Mitchellの共作による、子供向けのアルバム。この二人、大学時代のルームメイトで、”Liz and Lisaというグループで自主制作盤も残していると、日本盤のライナーノートにある。オリジナル作ほどの冴えは期待できないが、“Oh Susanna”とか“Donguri/Rolling acorn”(どんぐりころころ)などのおなじみの曲は、微笑ましく聴けることでしょう。

Alanis Morissette, “So-called Chaos” (2004)

これはすごい一枚だと私は思うのだ。一曲目の“Eight easy steps”の冒頭から、ちょっと中近東っぽいかと思われる「アラニス音階」(私が勝手に名づけたもので、一般性は全くない)が炸裂。そこから、一気にロックの王道を行くようなシャウトへと流れ込んでいくのだ。分厚い音作りに支えられながら、Alanisの強烈な個性が押し寄せてくる曲だ。“Spineless”“Knees of my bees”なども同じような曲想。

二曲目の“Out is through”では一転して、アコースティックな音使いから曲が始まり、さびのところのメロディーは、「アラニス音階」のおどろおどろしさからはほど遠い美しさのだ。続く“Excuses”なども、透けて見えながらも表には出て来ないアラニス特有のおどろおどろしさが、曲の美しさを一層引き立てている。こういった系統の曲の中で私が最も気に入ったのが“Not all me”。シンガーソングライター系のあっさりな音作りで、曲が映える。

Sophie Zelmani, “Love Affair” (2003)

前作と比較してみると、アコースティック色を一層強めた感がある。音は一層薄くなり、前作で私が面白がったようなアレンジは影を潜めた。Donna Lewisなんかとも共通するロリ声+アコースティックギター一本、などという曲も多い。歌がべらぼうに上手いわけでもなく、かと言ってJoni Mitchellのような強烈で多彩な個性があるわけでもなく、そうなるとアルバムの後半に入ると聞き通すのがちょっとしんどくなってきてしまう。

“September tears”“Maja’s song”“Grand as loving”なんかはいい曲だと思います。

Kathryn Williams, “Relations” (2004)

Kathryn Williamsの二枚目は、意表をついたカバー曲を集めたアルバムとなった。二枚目というタイミングにはちょっと首をかしげてしまう。もう一・二枚オリジナルアルバムで彼女の色を強く出してから、このアルバムを聴きたかった、と思うのだ。カバーアルバムというものは、The Indigo“My fair melodies”のようにアレンジ陣が頑張るか、EPOの “Pop track”のように本人の卓越した歌唱力で聴かせるか、といったところがない成功しないように思う。このアルバムの選曲というのはとても好きなのだけれど、選曲の妙だけが売りであれば自分と趣味の合うDJの番組を聞くのとどう違う?とも思ってしまうのだ。

不満めいたことから書き出してしまったが、本当にこの選曲は好きなのだ。彼女のバックグラウンドと自分のそれが重なる部分が大きいことを知ると、彼女の一枚目が気に入ったのもうなずける。Neil Young“Birds”Jackson Browne“These days”などと来ると、もうたまらない。何と言っても涙ものの選曲は、“The ballad of easy rider”だ。アメリカン・ニューシネマを代表する”Easy ride”のサントラで使われたアコースティックバラードの名曲で、後期The Byrdsによる作品。こういう曲を聴いて育った人かあ、と思うと一層親近感が湧くのであった。“In a broken dream”あたりも素晴らしい出来。

Bethany Dillon, “Bethany Dillon” (2004)

いわゆるクリスチャン・ミュージックな人。トラッドから、アコースティックロックまで、アメリカンな音のエッセンスを吸収した1988年生まれの若手である。

これがソロデビューアルバム。ドブロが入っていて、カントリーのバックグラウンドを感じさせる“Revolutionaries”から、どこか懐かしい音だ。“Great big mystery”なんかも、アコースティックロックで面白いね。

Swing out sister, “Where our love grows”(2004)

本国での人気もすっかり落ち、このアルバムは日本限定発売なのだそうだ。非常に寂しい感じもするし、グループの将来が気になったりする。それでも新星堂あたりの売り上げではトップ5に入るのだそうで、SOSは最近のカフェミュージックブームにも乗って、やはり日本人受けする音を作るグループであり続けているのだ。思えば、私の好きなSwan Diveあたりも、ほとんど日本以外では売れていないわけで、こうしたアルバムをしっかり出し続けてくれる日本のレーベルに感謝すべきなのだろう。

で、このアルバムなのだが、残念ながらインパクトに欠ける一枚となっている。詳細なレビューは、また後日。

Sarah McLachlan, “aftergrow”(2004)

久々のスタジオ収録オリジナル盤なのだが、これがなかなかすばらしいのだ。“Fallen”は、しっかり歌い上げた、「いかにもSarah McLachlan」、「いかにもシンガーソングライター」、という感じの曲。“Train Wreck”あたりも私は好き。“Push”“Dirty little secret”も、本当に綺麗な曲で心に染み入るね。

Swan Dive, “William & Marlys” (2004)

しばらくの間、私の車の中ではこのアルバムがかけっぱなしにしていたという、お勧めの一枚。久しくデビュー盤の“You’re beautiful”を「この一枚」としてきたが、その座を交代。Swan Diveと契約解除してしまったSonyさん、惜しいことをしました。Victor Entertainmentさん、ナイスフォローです。

一曲目の“Good to be free”は、どことなく初期ビージーズなどを思い起こさせられる曲。わざと舌っ足らずに歌っているのは、Mollyの新境地かな、と思う。“Hometown”も、ストリングのアレンジがかっこよく、しかもMollyの歌が冴えるスローな曲。“Almost over you”は、昔ながらのアメリカンフォークの香りが面白い曲。“Happy for you”では、ペダルスティールのかぶってきかたに、初期Eaglesを思い起こさせられる。“That hat”も、Mollyのボーカルがきれいなスローな曲。一転、“Up with love”は、Swing out sisterあたりダブるポップス炸裂の音作りで、このアルバムで一番の当たりの曲と見た。“Few thousand days ago”は、late 60’s風と言えばいいのだろうか、これもいい曲。“Where am I going”はバラードだが、これもこのアルバムで一・二を争う佳曲。Americaの”Daisy Jane”(邦題:「ひなぎくのジェーン」)とか、Glenn Freyの”The one you love”(邦題:「恋人」)なんかと繋がる曲想だ。“Automatically Sunshine”は上記“Up with love”とも通じる、突き抜ける感じのポップな曲。日本盤ボーナス曲の“Western sky”“Sleeper”も聞きやすい曲。外れの殆どないアルバムで必聴盤と言えましょう。

Meja, “Mellow” (2004)

前作の無理なロックっぽさに戸惑った私だったが、この一枚での変貌ぶりにも驚きを隠せない。一転して、ボサノバフレーバーあふれるポップス路線への転換だ。イギリス人のHamish Stuartのプロデュースで、録音もイギリスで行われている。年齢相応に大人らしい音楽をしよう、ということなのだろうけれど、声質と曲がマッチしていないように思われる。こういう路線を聞き慣れている人にとっては、Swing out sisterWorkshyとの落差の大きさにがっくり来てしまうだろう。あるいは、スカンジナビアポップスからジャズへと戻って成功したSiljeとの比較でも、だいぶ見劣りしてしまう。二枚目までのスカンジナビアン・ポップス爆走路線が、彼女には一番合っている気がしてならない。

そんな中でもちょっとうれしかったのがカバー曲だ。Joni Mitchell“Circle game”とか、Carole King“Too late”なんかを歌っているのにはちょっと感激。他にも、ジョビンの曲を二曲ほど取り上げているが、Pat Methenyの影響で、ブラジル音楽に興味がある割にはさぼって聞いていない勉強不足の私としては、ちょっとコンプレックスを感じてしまう選曲でもあるのだった。うだうだと不満めいたことを書き連ねたが、基本的には私の好きな路線ゆえ、次作でより洗練された音を聞かせて欲しいと願うのだった。(でも、またとんでもない路線へ鞍替えしてしまうのだろうがな・・・)

Workshy, “Ocean” (1992)

二作目。このアルバムから、日本のポニーキャニオンと契約。一部はポルトガルでの録音らしい。一曲目の“Fascination”に特に強く惹きつけられる。ゴージャスな音の作りを、しっかり抜けの良さと両立させている。“Trouble mind”の中途半端な南米志向の音も、なぜか楽しめる。“Show me the night”は、Swing out sisterの感じによく似た軽快なポップス。“Dream street”“Where are you now?”もいい曲だ。

最後にどうでもいいこと。ライナーノーツのChrystaの経歴に、「ロイヤル音楽院中退」とあるんだけど、「王立音楽院中退」の方がしっくり来るような気がするが、いかが?

Beth Nielsen Chapman, “Sand and water” (1997)

このサイトを1995年に始めたとき彼女のアルバムを掲載していたが、その後一時期、所蔵枚数も一枚だけだしということで外していた。なのに、復活させたのには訳がある。それはNHKでも放送中のアメリカの人気ドラマ”ER”で挿入歌がどうにも気になったことだった。調べてみると、それが昔馴染みの彼女の作品であることを知ったのだ。その決定的な一曲というのが“Sand and water”である。ご主人を亡くされた後に書かれた曲らしいのだけれども、Elton Johnがダイアナ妃の追悼コンサートで取り上げた曲としても有名。なんとも書きようのない素晴らしい曲。一度自分で聴かれることを強くお勧めする。

“Sand and water”の印象にかき消されがちだが、“The color of roses”“Beyond the blue”なども素晴らしい曲。

渡辺美里、”Big Wave” (1993)

一見してわかるように、ジャケットのアートワークがこのあたりからがらっと変わってきた。

正直、このアルバムは「外れ」。「いつかきっと」が辛うじていいかな、という程度。「さえない20代」とか“Audrey”なんか、メロディーもアレンジもすごくいいのに、歌詞がうまく乗ってないんだよなあ・・・。声質がマッチしていないというのも大きいかもしれない。

Beth Nielsen Chapman, “You hold the sky” (1993)

やはりこの人の本領は、“Say it to now”“Rage on rage”“The moment you were mine”で聴かれるように、ピアノの弾き語りと薄いバックで、フォークっぽい音作りの曲を歌い上げる点にあると思う。この点でCarole KingJoni Mitchellの初期とイメージがかぶる。

“Dance with me slow”は、ジャズのスタンダードボーカル風で、これも一興。

Lillix, “Falling Uphill” (2003)

輸入盤を購入したのだが、カバーに「マドンナの認めた」バンドだとの日本語の紹介文のシールが貼ってあった。インスト面でだいぶサポートメンバーも入っているので過大評価もいけないのだろうが、完璧なコーラスワークを誇る実力派。お子様ガールズロックとあなどってはいけない。これを聴いて、Avril Lavigneなんかは、私の中ですっかり霞んでしまった。(実際彼女たちは、インタビューなどで同じカナダ出身のAvrilのことをかなりこきおろしている。)

音の作りとしては、西海岸系のアメリカンハードの王道を行く、という感じだ。しょっぱなの“Tomorrow”のサビから、そのコーラスワークに圧倒されるのだ。続く“Quicksand”でふと思い出したのがBanglesだった。“It’s about time”あたりは、いいミディアムテンポのポップロック。それにしてもコーラスはすごいな。“Sick”なんかは、演奏がタイトでリズムがいいのだ。この曲が、このアルバムではベストかな。続く“Invisible”も、キーボードがメインのちょっと洗練された感じの曲。

とにかく外れのないアルバムなのだ。ポップなメロディラインと、ちょっとハード目で厚い音の作り、そしてそれをしっかり支える演奏力、と欠点が見当たらない。アメリカンハード好きの皆さん、これは「買い」です。

と、買った当時は相当入れ込んだが、直に聴かなくなった一枚。

James Taylor, “Mud slide slim and the blue horizon” (1971)

こんな長い正式タイトルだったと今更知った私。しかし、間違いなく名作なのだ。なんといってもこのアルバムで一番好きなのが、“You’ve got a friend”だ。Carole Kingの曲で、上に書いたように彼女も自身のアルバムで演じているけれど、私はこのJames Taylorのフィンガーピッキングのギターと、ボーカルの方が好き。バックボーカルにJoni Mitchellがクレジットされてるのがちょっと驚き。

タイトル曲の“Mud slide slim”も、この時代のものとは思われない洗練された曲。ピアノとバックボーカルでCarole Kingが参加している。“Hey mister, That’s me upon the jukebox”もカントリーっぽさを出しながら、ギターとベースラインが洗練されていて絶妙の仕上がり。

余談ながら、“Riding on a rail road”での、Banjo: John Hartford, Fiddle: Richard Greeneというのが、ブルーグラス上がりの私にとっては感動もの。

Swan Dive, “June”(2000)

久々の新譜である。最初は退屈なアルバムに思えて、一度聞いたきりしばらく放置してあった。しかし、聞きなおしてみると、これがなかなか良いのである。

“Girl on a wire”、”Truly, Madly, Deeply”(かなりBeatlesっぽい)、”Puzzle Ring”(この曲のボーカルはBill DeMain)、”Kaleidoscope”と「Swan Diveっぽい」ポップスが並ぶ。確固たるスタイルが前作から継承されていて、安心して買うことが出来るアルバムだと言えましょう。以前からのファンを絶対に裏切らないものと思う。

心地よいポップスもいいのであるが、Mollyのボーカルの良さを味わえる他の曲も個人的には好き。ボサノヴァっぽい三曲目の”one sided”、”Safe and Sound”、アコースティックな”Mountains”、”Katydids”が秀逸。

渡辺美里、”Tokyo” (1990)

このアルバムを聞いたとき、なにか転機が来たのかな、と感じた記憶がある。「サマータイムブルース」「第三京浜選んだ・・・」という歌詞が出てくるのだけど、たしか渡辺美里が免許取って、自分で運転しはじめた直後だったのではないかと思う。ささいなことなんだけど、高校時代をひきずった歌からちょっと抜けたのかな、と感じたのであった。でも、この曲は未だに聴けるいい曲だ。

あともう一曲挙げておくと“Boys kiss Girls”である。歌詞はどうにも馬鹿らしいのだが、村田和人らが参加したさびの部分のコーラスワークが素晴らしいのだ。短いフレーズなのだけれど、とても強烈。佐橋さんのギターもいいね。でも。岡村靖幸の色が強く出たアルバムで、そういう意味ではちと苦手。

Sheryl Crow, “Live from Central park” (1999)

セントラルパークのライブと言えば、Simon and Garfunkelでしょ、と思うあなたは古い人です。このライブは、Eric Clapton, Chrissie HyndeSarah Mclachlan, Stevie Nicks, Keith Richardsらの豪華顔ぶれでのライブ。

しょっぱなの“Everyday is a winding road”から大変かっちょいい。これは日本ではジーンズのCMかなにかでかかっていたのではなかったか(日産シルビアが正解のようだ[2005.3.1追記])?“Gold dust woman”はStevie Nicksの持ち歌だけど、やっぱりいいねえ。“If it makes you happy”も売れた曲だが、これをChrissie HyndeとSherylが、がっぷり組むかのように歌ってるのは感動ものだ。“happy”での、Keith Richard, Chrissie Hyndeとの揃い踏みも、テレキャスの似合う三人だったのだろうと想像がふくらむ。かと思うと、全くカラーの異なるSarah Mclachlanとも、“The difficult kind”で、ちゃんと噛み合ってるところが面白い。“White room”のClaptonは貫禄と言う以外ないね。これにはSherylも霞みますわ。

アンナ・バナナ, “singz of love” (1994)

以前このページに、「これ(上記の“High Dive”)が現在までのところ、アンナバナナの最後のソロ作品になってしまっているようで、とてももったいないと思う。」と書いていたが、それは間違いであった。偶然出くわして購入した実質4曲のミニアルバムでも上質のポップスが展開されている。

Go Go’s, “Go Go’s Greatest” (1990)

パンクとしてスタートしたという割には、全編を通じてベンチャーズ・ビーチボーイズっぽい、昔ながらのカリフォルニアサウンド仕立て。とにかく、単純に勢いでもっていってしまえ、という曲が揃っているのだ。しかし、その中にあって、どうにも記憶にこびりついて離れないのが“vacation”私の履歴のところにも書いたが、高校3年に札幌でも”Best Hit USA”の放映が始まった。その頃ちょうどヒットしていたのがこの曲。簡単なフレージングなんだが、シンセが印象的なのだ。同名のアルバムのジャケットが、いかにもカリフォルニアしていた記憶が鮮明。この一曲を聴きたいがためにこのアルバムを買ってしまった。たとえば、夏の頭が朦朧した時期に、完全に脳味噌溶かしきってとどめを刺したいというような用途には大変向いているアルバムだ。

Maria Mckee, “High Dive” (2003)

effenとの契約は切れて、自分のレーベルからの発売。アンナ・バナナの名盤と同じタイトルでちょっとぎょっとする。“To the only space”は、カントリーがちょっと入った60年代後半っぽい音。表題曲“High Dive”も適切な例えが見つからないけど、いい曲だと思う。“My friend foe”“Love doesn’t love”Non religious building”も60年代後半を意識した音の作り。Buffalo SpringfieldとかJeffersonのあたりかな。

最後に来ている“From our T.V. teens to the tomb”とか“Worry birds”とか曲はいいんだけど、声質と合ってない感じがするかな。どうも高音域の声の伸びが落ちていることが関係しているような気がする。聞きとおして、いまいち突き抜けきらない感じのする一枚。

Jennie Medin, “the world through my eys” (2003)

大学院生をやっているというJennie Medinの復帰ソロ作。プロモーションで来日もしたらしい。博士号取得を目指してる割には余裕あるなあ、と感じてしまうのだが。

しかし、ソロ作とは言え、これは”Blank Paycheck”あたりのCloudberry Jamの音っぽい。音が薄めだから、Jennieのボーカルがぐんと前に出てくる感じはある。“too good(too good to be true)”から、これはやっぱりSwedishでしょ、というサウンド。“next lifetime”も、ポップスとロックが融合した絶妙の曲で、ちょっと骨太なJennieの声質が生きるね。“the world through my eyes”は、60’sっぽいバックの音作りだがしっかり現在の音。“you are not alone”なんかは、Swing out sisterなんかと共通した洗練さのある曲。テンションの効いたコードワーク、スネアの音が心地よい。この曲は好きだな。

“bitter end”“I just wanted you to know”“come on (take me far away)”も90年代のSwedish popsらしい、Cloudberryっぽい曲。でも、ひたすらにドライブ感で持っていくのではなく、どこかためがあって、落ち着いた仕上がりというか、ちょっとした貫禄を漂わせている気がする。“Some might say”“unbreakable”みたいに、アコースティックギター一本を軸に組み立てる曲でも、いい歌を聞かせてくれる。うん、気に入った。お勧めの一枚。

America, “Perspective” (1984)

これを最後にメジャーレーベルとの契約が切れた訳で、確かにこれでは売れないだろうというアルバム。

“Can’t fall asleep to a lullabye”にはJourneyのSteve Perryが参加しているので話題になりましたな。しかし、Steve Perryが参加してこのざまはなんだ?という感じだった。それほど当時はSteve Perryが参加した曲は当たったもの。

でも実は“5th Avenue”での甘ったるいGerryの歌とか好きだったりするんだなあ・・。