渡辺美里、”Breath” (1987)

“Boys Cries(あの時からかもしれない)”で決まり!というアルバム。佐橋佳幸氏のアコギのカッティングが、ひたすらにかっこよい。この曲を提供しているのは、後にSPEEDを手がけることになった伊秩弘将で、これがソングライターとしての彼の浮上のきっかけになった。“Happy Together”のさびでのコード進行は、CSNの”Judy Blue Eyes”と一緒で当時から笑えたが、今聞いてもまだ笑える。

当時とても気に入っていたのが、ちょっとだけジャズフレーバーの「Milk Hallでお会いしましょう」。タイトル曲の“Breath”も、(歌唱力のあらは見えるが)素晴らしいバラード。“Pajama Time”は、青春路線がうまくつぼにはまるいい曲。

James Taylor, “Hourglass” (1992)

この時期はアコースティックな路線に回帰しているのが特徴。FiddleにMark O’coner, DobroにJerry Douglasなんて涙物の組み合わせだねえ。かと思うと、Breacker兄弟やSteve Gaddみたいなジャズ系の大物も登場していて、これにも驚き。

“Copperline”“The water is wide”みたいな、dobro, Fiddle付きのばりばりのアコースティックな曲、私は好きなのだ。“The water is wide”は、元はケルトのトラッドみたいだけれど、ドラマ”summer snow”でSisselが歌っていたので、そちらを覚えている人も多いのではないだろうか。歌詞にMartin Luther Kingが登場する“Shed a little light”は、メッセージ色の強い、ちょっとゴスペルがかった曲。かと思うと“Slap Leather”はロックンロール。“Like everyone she knows”では、久々にJamesの絶妙なフィンガーピッキングが聴ける。この曲ではサックスにBranford Marsalis。

まとめてみると、ちょっと散漫な感もあるが、いろいろ聴き所のあるアルバム、と言えましょう。

山本潤子、 “The Best” (1998)

1998年に発売されたソロ作で、過去のヒット曲のセルフカバーを集めたベスト盤となっている。「フィーリング」「中央フリーウェイ」「海を見ていた午後」「卒業写真」「翼をください」などなどと豪華なラインナップ。

オリジナルの方が良かったんじゃないの?と思う曲が多いのだけれど、いい出来だなあ、と思うのが、「海を見ていた午後」。山手のドルフィンから見る海の景色がくっきり思い出される。「卒業写真」も柔らかい声とバックコーラスのアレンジが心地よい。「緑の季節」「風船」もいいね。「翼をください」のソロバイオリンを軸としたアレンジは、Celine Dion (with Kryzler & Kompany)の“Fly”(鈴木保奈美、佐藤浩市、岸谷五朗、鈴木京香が揃い踏みしたフジのドラマ「恋人よ」の主題歌)を意識したものではないかと思われてならない。バイオリンを弾いているのが、葉加瀬太郎じゃないかとクレジットを確認してしまった私。答えは、加藤高志さんという方だったが。

Silje Nergaad, “Nightwatch” (2003)

Universalからの三作目となるこのアルバムは、一曲を除いてSilje自身による曲で構成されている。Norway本国ではポップスチャートでも、10位台につける健闘を示した。(ちなみにLene Marlinの”Another day”の首位独走が10週を超えた頃の話。)“How am I supposed to see the stars”“You send me flowers”などの曲では、Siljeが元々持つシンガーソングライター的な要素を強く感じさせられるかと思えば、“Dance me love”などでは、しっとりとしたジャズバラードが聴けたりする。“I don’t want to see you cry”“Take a long walk”の音の運びからは、なぜかSteely Danが思い出されるのだ。ヨーロッパでSiljeのアルバムがジャズチャートで健闘しているのは、こうした取っ付き易さが大きく影響しているのだろうと思う。昔からのSiljeファンにもお勧めできるアルバム。“Tell me where you’re going”“Brevet”と並ぶ必聴盤ではなかろうか。

ところで、このアルバム唯一のカバー曲というのが、“This is not America”。1985年の映画”Falcon and the snowman”のサントラに収録された、David Bowie+Pat Methenyという意表を突くコラボレーションによってヒットした懐かしいあの曲だ。SiljeはやっぱりMethenyに戻っていくのか、とも一瞬思わされた。ラストの“On and on”はセルフカバー

Lene Marlin, “Another Day” (2003)

ようやく入手した4年ぶりの新譜。デビュー作の成功というプレッシャーの中で、18歳が22歳に成長したその軌跡が伺えるアルバム。日本で前作並みの商業的な成功をおさめられるかどうかは疑問だが、間違いなく傑作だ。まず、音の作りが大きく変わったことに気が付く。前作では、歌詞をぎゅうぎゅうに詰め込んだ譜割りだったが、本作はゆったり。すかすかの音符の歌のバックに、細かい刻みのギターが入る。このギターも前作はコードカッティングが主体だったのが、本作はアルペジオが主体。U2的な音の作りなのだ。じっくり歌いこんでいて、angel voiceが染みてくる。

このアルバムの特徴は、シングルカットされた“Another day”とか“you weren’t there”、あるいは“from this sky”などに端的に現れている憂いを帯びた曲にあると思う。個人的には、前作に触発されてNorwayを訪れたときの街の印象や、このアルバムが出た直後に訪れた秋のスイス(見事に蹴られた就職の面接)の街並みの印象と重なるのだ。“faces”とか“my love”も同じように良い曲だ。“whatever it takes”なんかは、アコギのカッティングが心地よいいい曲だ。実は苦しんで苦しんで、ようやく産み出したこのアルバムが、私にとっての彼女の最高傑作になるのかもしれない、と、三作目の発売時にこれを聴き直してみてそう思うのであった。

[2003.12.15追記] ノルウェー本国のシングルチャートであるhit40.noによれば、ファーストシングルだった“You weren’t there”は、10週以上トップをキープした。二曲目の“Another day”は出足不調なようだが、トップ10に二曲同時にチャートインしているのは、地元アーティストとしては、やはりすごい。

Complete Set “CSN” (1991)

すべてのアルバムに深ーい思い入れがある割には、CDへの買い替えが進まないのはこのセットを購入してしまったからなのだ。CSN(&Y)の大部分の作品と、ソロ作などがてんこもりのお買い得品。これを買わずして、というセットである。

実はCSN&Yには”Human Highway”という「幻の一枚」がある。1974年にレコーディングが完了し、ハワイでジャケットの撮影までしたのに、結局発売が流れてしまったアルバムだ。Crosbyをして、「あの一枚に比べたら、”Déjà vu”なんてがきのお遊びみたいなもの」と言わせしめた作品らしい。噂には聞いていたが、別テイクがその後のCSN(1977)やCrosby and Nashのアルバムに収録されたり、一曲だけがNeil Youngのソロ作に流出した以外は、闇に葬られていた。が、このコンプリートセットには、その「蔵出し音源」が収録されているところが聴き所。このセットについているリーフレットには、その使われなかったカバーフォトが載っている。

たとえばdisc3の“See the changes”は、四人がクレジットされており”CSN”(1977)に収録されたのとは異なるバージョン。私がCSN&Yの作品として一番好きなのが、このアルバムだけに収録されている“Homeward through the haze”なのだ。Crosbyの作品なのだけれど、なんとも形容しがたく良いのだなあ。コーラスばりばりって曲ではないのだけれど、Crosbyの楽曲の力はやはりすごい。“Taken at all”も、Crosby and Nashのアルバムに収録された曲だが、StillsとYoungが参加した別テイクが収録されている。素晴らしい出来。

 

Jewel, “pieces of you” (1994)

フォークっぽい音の仕上げが光るソロデビュー盤。まずあら捜しなのだが、ライブ録音の曲が多いせいか、リズムがかなり走り気味で落ち着かない。“Adrian”あたりのピッチの落ち着かなさも、ちょっとどうにかして欲しい。

で、けなすのはこのあたりにしておいて・・・。表題曲の“pieces of you”“Little Sister”は、ギター弾き語り曲なのだが、このギターの感じはDavid Crosbyとか初期のJoni Mitchellに通じるものがあるな。ちょっとカントリーフレーバーの“Morning song”も気持ちのいい曲だ。Jennifer Kimballと共通する部分も感じる。

だんとつにいいなあ、と思う一曲が、“Near you always”。このギターは、未解析だけれど、オープンチューニング使っている模様。Jackson BrowneのアルバムでのDavid Lindreyのプレーというのが一番ぴったりと来る例えかな。イントロで一瞬Byrdsっぽいなと思ってしまったのだが、トーンとかフレーズの運びがPat Methenyっぽくもある。歌ももちろんいいね。

Sophie Zelmani, “Precious Burden” (1998)

デビュー盤も話題になったのだそうだけれども、最初に購入したのがこのアルバムだったもので。

微妙に青っぽいジャケットが印象的。1999年夏に北欧を旅行したとき、店頭でこのジャケットは随分と目に飛び込んできた記憶がある。MejaLene Marlinもそうなのだけれど、スカンジナビアンはこういうのが好きなんでしょうかね?さてこのアルバムだが、Sophieの歌自体はそれなりに良い。本人が書いている楽曲も素晴らしい。しかし、それ以上に気になって仕方がないのが、プロデュースも手がけるギタリストのLars Halapiのプレーなのだ。

最初の曲の“Leaving”は、ギターだけ聴いていると映画「トッツィー」のテーマ曲だったStephen Bishopの”It might be you”を何故か思い出してしまう。“Black Day”の生ギターの多録もとても印象的なのだが、輪をかけてインパクトがあるのが最後にかぶってくるエレキのプレー。「Neil Youngっぽく、わざわざ下手に弾いている」としか思えない。かと思うと、“Precious Burden”のイントロでピアノを弾いているのだけど、これもまたNeil Youngのピアノのような音使いをわざわざしているんだよね。その一方で、“vacation”でのギター二本の絡みは、(あんまり知ってる人もいないと思うけど)Happy and Artie Traumそのものって感じがする。ここまで来ると、心の底から「すげえわ、これは」と言えてしまう。“Before the day’s gone”なんかも70年代初期の西海岸の音を強く意識しているね。

以上、非常に変な観点からアルバムを聴いてみたのだが、素直に歌の方を聞いてみると、上手くもないけど、味があっていいボーカルだ。しかし、やはりsong writingで勝負の人。いい素材(楽曲)を、いいアレンジで助けてもらっている、といったとこだろうか。

Jewel, “Spirit” (1998)

泥臭いフォークの残り香が漂う、しかししっかり90年代している、とてもアメリカンな素晴らしいアルバム。(商業的に成功してる人の中では)Alanis MorissetteSheryl Crowがロックっぽい路線を代表するとすれば、JewelとLisa Loebが、アコースティック路線を支えている、というのが私の捉え方。

しょっぱなの“Deep water”から、非常に良いのだ。James Taylorっぽくもあるし、Lisa Loebっぽくもある。ピッチもデビュー盤と比べて格段に落ち着いて、非常に安心して聴ける。“What’s simple is true”“Hands”と良い曲が続く。“Down So long”は、音使いがCrosby and Nashっぽいかなあ、と思う。“Enter from the east”は、これはもう初期Joni Mitchellとしか言いようがないですな。Pedal steel Gtr.が印象的な“Barcelona”なんかは、初期EaglesとかJackson Browneっぽさも感じさせられる70年代西海岸サウンド炸裂って感じ。ドラムの音が、またいかにもそれらしい。

と、ここまで書いて気付くのだが、特に新しいことをやってるわけではないのだ。しかし、80年代にすっぽり抜けてしまったこういう音作りを、90年代にしっかりもう一度やってくれた、というところに共感してしまうのだな。私は70年代の音が好きだったのに、80年代に青春を過ごしてしまった人間だから。

Carole King, “Tapestry” (1971)

言わずもがなの名盤中の名盤。洋盤のタイトルの邦訳には泣きたくなるようなものが多いのだが、このアルバムの「つづれおり」というのは実にいい訳だと思う。ピアノの弾き語りがやはり特徴で、このスタイルが定着したのは、やはりCaloreの功績が大きいのではなかろうか。矢野顕子があるのも、八神純子があるのも、Beth Nielsen Chapmanがあるのも、Vannessa Carltonがあるのも、元はと言えばこの人の影響なのかなあ。個人的にはJoni Mitchellの功績も外して欲しくないのだが。

アルバムは名曲“I feel the earth move”から始まる。最近、元Mr. BIGのPaul Gilbertや、日本でもIndigoがカバーしていた。続く“So far away”も名曲だ。James Taylorのギターもいいね。“It’s too late”も、最初に聴いたのは高校生の時だったような気がするけれど、フォーク・ロック・ポップスの要素が絶妙にブレンドしている、頭から離れない曲。“Home again”もいい曲だ。どうしてこうも名曲が続いてしまうのだろう。

そしてそして、“You’ve got a friend”は、やはり不朽の名曲なのだ。ピアノ弾き語りのこのバージョンと、ギター弾き語りのJames Taylorバージョンを、是非聞き比べて欲しい。このアルバムでもJames Taylorがバックでギターを弾いているのだけれども、大変抑えたプレーでちょっとさびしい。

その他、The Shirellesが歌って1961年に全米No.1 に輝いた“Will you love me tomorrow?”、タイトル曲の“Tapestry”“, Aretha FranklinやCeline Dion がヒットさせた“(You make me feel like) a natural woman”あたりも、聞き逃せないでしょう。

  1. The official Carole King Website (公式サイト。)

Michelle Branch, “hotel paper” (2003)

ちょっと大人になったな、とまずは感じる彼女の二枚目。2003.7.12付けのBillboardアルバムチャートでは初登場2位を記録。“are you happy now?”“find your way back”とハードめのポップロックから始まる。このあたりの曲はシングルカットされて、それなりに売れるだろうと思う。(ちなみに、1st singleの“are you happy now”は7週目で25位)。

アコースティックな“desparately”、ミディアムテンポの“tuesday morning”“where are you now”、pop色の強い“breathe”あたりが、わたし的にはお勧め。Sheryl Crowが参加した“love me like that”も良い。

普通、アルバムの前半がしっくり来て、後半はいまいちというパターンが多いのだが、このアルバムに対する私の印象は全く逆だ。レコード会社がプッシュする路線と違う部分を私が気にいっている、ということなのだろうな。

Matthew Sweet, “Altered beast” (1993)

同じ柄だが色違いのジャケットが多数用意されており、自分で着せ替えできちゃうという変なアルバム。“Life withouot you”“Do it again”みたいなスローなロックバラードはさすが、という出来。“The ugly truth”で気になってライナーを見ると、fiddle (violin)でByron Berlineが参加している。Country Gazetteにいた人なんだけど、みんな知らないだろうなあ・・。“Reaching out”では、Mick Fleetwoodがドラムで参加。これもいい曲だ。“Falling”“what do you know?”“Evergreen”とアルバムの後半にいい曲は集中している。前作ほどは、はまらない出来だが、冒頭でがっかりすることなく後半まで耐えるべし。

Matthew Sweet, “100% fun” (1995)

冒頭の“Sick of myself”のいかれた歌詞に、まず一撃を食らわされる。いいアルバムなのだとは思うけれども、どうしても“Girlfriend”には見劣りしてしまう、という感じだろうか。“We’re the same”を初めとして、アレンジとしてもよく練れていて職人技としてはいいのだけれども、ボーカルの切れがどうも悪くなっているようのが決定的なのかな、と思う。ミキシングのせいかもしれない。

 

America, “View from the ground” (1982)

久々にヒットしたのがこのアルバム。ビルボード最高位は8位。その栄華は短かったが、自分の洋楽どっぷり期と重なり、忘れ得ぬ一枚。日本版のLPは、パーム椰子と、いかにもアメリカンなコーヒーショップと、その前に停まった旧いアメ車かなんかの写真がぺらぺらした紙に印刷されていてそれが表に出るようになっており、元の地味なカバーフォトを覆い隠していたなあ。

で、最大のヒット曲はRuss Ballad提供の“You can do magic”(邦題:「風のマジック」)であった。垢抜けないプロモビデオがいかにも貧弱で、悲しい思いにひたったのを覚えている。第二弾シングルは“Inspector mills”だったと記憶しているが、これもまあまあの佳曲。

個人的に気に入っているのが、“Love on the vine”。どことなくお洒落なサウンドを、かっちょいいなあ、と思っていた。“Right before your eyes”も、Gerryの甘ったるいボーカルが印象的な曲。そして何といっても、“Jody”である。Russ Ballad提供によるこの曲は本当に好きだった。英語の不自由な高校生にも容易に理解できた甘ったるい歌詞は、ちょっとなあ、なんだけれど。ベスト盤なんかにも絶対収録されることはない曲なのだが、きれいな曲なのだ。この一曲を聴きたいがためにCDの再発をずいぶん待った。このCDはオーストラリアのEMIからの再発なんだけれど、店頭で見た時は、本当に涙が出そうでしたよ。

Matthew Sweet, “Girlfriend” (1990)

これがソロ三作目だったらしい。ひたすらに快作。レコードコレクターズとかちょっとマニアな洋楽誌では、その年のベスト盤を選ぶような企画があったものだが、かなりの評論家から一位をもらっていた記憶がある。

60年代後半から70年代前半の音を感じさせつつ、でもしっかり1990年の音なのだ。一曲目の“Divine Intervention”のギターサウンドで、しっかりトラップされてしまうのだ。“I’ve been waiting”が一番のお薦め。el.Gtrでのしつこいアルペジオに、ボーカルがかぶる。ポップなんだけど、しっかりロック。表題曲の“Girlfriend”は、なんせ歌詞が“need somebody to love”なので、「あ、Jefferson」と思ってしまうのだ。“Looking at the sun”もメロディーのきれいな曲。“Winona”は、Pedal Steel Gtr.とAc. Gtr.の絡みが印象的な、とても美しいロックバラード。“Evengeline”も、いいロックナンバー。“Thought I knew you”では、イントロのAc. Gtrの絡みは多録なんだと思うけど、わざと息が合わなかったかのように見せかけるアレンジなんか、とても考え付かないよね。“Don’t go”の60年代後半っぽさなど、もう涙ものなのだ。

とにかく外れのないアルバム。絶対の名盤。これを聴かずして、という作品。

Eggstone, “Somersault” (1994)

Swedishの男性三人組。ポップセンスとドライブ感あふれるロックを融合させたスタイルに特徴がある。私の頭の中では90年代前半のスカンジナビアシーンを代表するバンド。Croudberry Jamと重なる部分が大きいかな、と思うが、どちらが好きかと問われればEggstone!と私は答える。

これはたしか、渋谷のCISCOで買ったのではないかと思う。個人的な記憶とともに、痛烈な印象を持って思い出す一枚。“Against the sun”からアルバムは始まる。勢いだけのインディーズかと一瞬思わせられるが、Swedishにありがちなちょっとひねったコード進行と、ロックのドライブ感を失わないまましっかりポップスしているその音作りにひきつけられる。vo.の声質から、Bostonが思い出されるかな。“Hang on to your eco”のイントロなんかは、「どこのアイドルバンドだ?」と思わされるが、これもいい曲。“Good Morning”“Cornflake crown”は、いかにもswedish popsという感じのちょっとお洒落な一曲。まとめると、単純だがつぼを抑えた、いいギターバンド。

Avril Lavigne, “Let go”(2002)

デビューアルバム。“Complicated”が日本でも当たって、テレビCMを見た人も多いはず。気に入ったのは、三曲目の“sk8er Boi”。この曲は、声質やら80年代前半を意識したアレンジのせいだろうか、NenaとかGo Go’sを思い出されてしまう。なにせ30代もどん詰まりという年齢の私ゆえ、同世代のファンとは異なり、そういうところについつい注意が向いてしまうのだ。

Joni Mitchell, “Blue”(1971)

フォークシンガー路線時代の最高傑作じゃないだろうか。濃い深い蒼が印象的なジャケットなのだ。CDだからいいようなものの、LPだったらかなり怖いわね。ピアノの弾き語り曲と、マンドリンとギターが絡む曲が大半。Stephen Stillsが“Carey”に、James Taylor“California”“All I want”“A case of you”に、ペダルスチールのSneeky Peteが“California”“This flight tonight”にそれぞれ参加。

“All I want”は、とにかく何かをひたすら求めてさまよってる感じの歌詞。かと思うと、紙切れには縛られないがタイトな関係を歌う“My old man”が直後に来る。この曲は、思わぬメロディーラインの展開を見せるピアノ弾き語り曲だ。“Little Green”は、どことなく”Both sides now”を思わせる曲調。“Carey”はメロディーラインはまぎれなくJoniなんだけど、リズムはすっかりStillsに乗っ取られている曲だ。“California”のどことなくルーズな感じもいいね。

ジングルベルのぱくりで始まるピアノ弾き語りの“River”は、元々好きな曲ではあったのだけれど、後年これを痛烈な印象を伴って思い出すことになった。NHKでも放映されていた「アリーマイラブ」(Ally McBeal)で、Allyの恋人のLarryがこの曲を弾き語りするシーンがあったのだ。クリスマスの直前に、遠くに住む子供を思って歌うのだけれど、重いシーンだったなあ。で、あとは上にも書いた“A case of you”はやっぱり素晴らしい。“California”と言い、この曲と言い、James Taylorのギターだってのは、すぐにピンと来てしまうね。

このアルバムは、MTV系のケーブルチャンネルVH1の選んだ100 Greatest Album of Rock & soul”の第14位にランクされていたことがある。前後は誰でも知っているような名盤ばかりでどれくらい高く評価されているか改めて驚いた。

Vanessa Carlton, “Be not Nobody” (2002)

自分のピアノとストリングのバックアップを多用したアレンジとで、クラシック教育を受けた雰囲気を感じさせつつも、シンガーソングライター系の音を作っている点が面白い。明るくスカっと抜ける曲はなく、マイナー系の曲が多くなっている。

ピアノのイントロが印象的な、3曲目の“A thousand miles”が大当たり。“ordinary day”“pretty baby”“rinse”なんかも良い曲だ。

Lisa Loeb, “Cake and Pie” (2001)

このアルバムの発売前後、ちょっとした混乱が起こっていた。まず日本発売が本国より4ヶ月早かった。本国で発売されたA&M盤は商業的に成功せず、同年のうちにレーベルを変え、一部の曲目を入れ替えて”Hello Lisa”(Kittyちゃんがジャケットに載ってるやつ)として再発。

内容はと言えば、前二作ほどのキレは無く、確かに売れないのもわかるのです。しかしワタシ的には、2.“Bring Me Up”, 5.“Someone You Should Know”, 7.”We Could Still Belong Together”, 8.“Kick start”, 9.””, あたりが好き。

太田裕美、”The Best”(1997)

ベスト盤ではあるが、シングルコレクションではない、渋めの選曲。ライナーノーツには、全曲に関して、太田裕美自身によるショートコメントがついている。

やはり、初期の松本隆作詞、筒美京平作曲の一連の作品は素晴らしい。当時私は小学生だったが、太田裕美ファンってのは大学生の世代に多かったような記憶がある。「青春のしおり」とか「茶いろの鞄」なんかを聴くと、その訳がわかる。こういう曲がいいと思われるようになったのは、やはり私自身がCSN&Yに染まり、「はっぴいえんど」に染まり、という経過を辿ったせいだろうか。

「雨だれ」「夕焼け」「九月の雨」などのシングルA面曲は、もちろんいい。しかし、やはりは決め手は「木綿のハンカチーフ」だろう。この一曲が無ければ、私はクラシックしか聴かない人のままで終わったかもしれない。

「恋愛遊戯」「心象風景」「煉瓦荘」、荒井由実詞・曲の「青い傘」、伊勢正三詞・曲の「君と歩いた青春」とかも名曲。これだけいい曲をもらっていながら、ビジネスとしては「歌謡曲」に軸足を置かざるを得なかったところが、太田裕美の中途半端さなのかもしれない。こういう曲を、昔の歌謡曲アレンジじゃなくて、今の音でアレンジし直して、まとめてアルバムにしてくれたら、即買ってしまうな。

しかし、こうやって改めて聴いてみると、高音域を力まずに抜いて出せる歌い手さんが好きな自分の趣味の原点が太田裕美にあることを認識させられる。自分の年齢も当時の3倍4倍ほどになっているのだが、変わらないものは変わらないのだね。

The Indigo, “My fair melodies” (2002)

発売後しばらく経って気づいて購入したのだが、なんと全曲とも英語曲のカバーという一枚。このグループの音楽的背景がよくわかる一枚。変な英語を歌詞に入れ込まないところがいいと以前書いたが、英語のときはきっちり英語で勝負してくるというその姿勢におそれいる。田岡美樹の英語だが、アクセントはかなりきれい。

選曲も、原曲の年代がまちまちで面白い。もちろん、知ってる曲も、知らない曲もあるのだが、一曲目がいきなりCarole King“I feel the earth move”で、「えらい、渋いところ突いてくるのぉ」という感想を持った。それにしても、市川氏のアレンジは、やはり素晴らしい仕事なのだ。

カーペンターズが原曲の“Rainy days and mondays”なんかは、どうしても原曲に負けてしまっている。しかし、カレンのphonogenicな声質(あるインタビューで、カレンのレコードに乗りやすい声質をRichardがこう表現していた)と比較しては、それはやはり酷というものだろう。

Suzanne Vegaの“Luka”を取り上げていたのには、ふと学生時代が懐かしく思い出された。元の歌詞は幼児虐待を扱ったシビアなものだったと記憶しているんだけど、仕上がりは上質のポップ。

Minnie Ripertonの“Lovin’ you”にチャレンジしているのも、なかなか面白い。原曲の高音域ボーカルとは大きく異なり、中低音域で抜いたボーカルでこの曲を歌い上げるというのは、なかなか意表を突いた攻撃だ。

原曲の解説などについては、the indigoの公式サイトにあるこのアルバムを紹介しているページ中の、田岡美樹筆のライナーノーツの方が参考になる。ご一読あれ。

Maria Mckee, “You Gotta Sin To Get Saved” (1993)

“I’m gonna sooothe you”からギターのオーバードライブのトーンが心地よいロックンロール。“My lonely sad eyes”“Why wasn’t I more grateful (when life was sweet)”は、60年代後半のカントリーロックっぽい曲。気持ちよいね。“My girlhood among the outlaws”はすごいロックバラード。文句なしの名曲。

“Only once”“Precious time”は、泥々のカントリーチューン。“I forgive you”あたりの高音でのシャウトは、Janis Joplinの影響かな。“I can’t make it alone”も心地よいロックナンバー。

総じて外れのないロックンロール色の強いアルバム。こういうゴツゴツした音作りのアルバムは結構希少価値があり、お奨めの一枚。

Freya, “Chasing my tale” (2000)

出てから二年も経ってから入手した一枚。邦盤と輸入盤でジャケットが違うが、当然価格重視で輸入盤を購入。

一曲目の“Girlfriend application”の異様とも言えるポップ度の高さで、「一体どこの国にシンガーだ?」などと思ってしまうのである。”Wasting time”“Rule No.1”と、いい感じのポップスが続く。

単調だなあ、といい加減聴き飽きてくる頃の8曲目の“History of the last 5 minutes”がスローな曲で、ぐっと落ち着くのだ。しかし、それにしてもLisa Loebっぽい・・・。最後の“Diary”もお勧め。スローな曲もなかなかいいのだから、もうちょっと全体の構成考えればいいのに、と思ってしまう。

総括としては、頭空っぽにしてポップスに浸るのにはいい一枚、といったところか。

 

Norah Jones. “come away with me”(2002)

実にアメリカらしいシンガーソングライターだと言えるだろう。ピアノの弾き語りがかっこよく、どことなくSiljeっぽいのかな。二曲目の“Seven Years”は生ギター一本のバックから始まるのだが、これもいい曲だなあ。四曲目の“Feelin’ the same way”もいい感じの曲だ。10曲目の“Painter’s song”はジャズっぽい曲でこれもいいな。12曲目の“Nightingale”は、このアルバムでは数少ない自作曲だけど、これもいい感じなので、次作は自作曲を増やしてみてほしい。13曲目の“The long day is over”もさりげなく虚無的な歌詞がなかなか良い。

Sixpence none the richer, “divine discontent” (2002)

久々に出てきた新譜。大半がNashvilleでの録音だ。前作と傾向に大きな差異はない。“Breathe your name”“tonight”と心地よい。しかしながら、前作における“kiss me”のような、「これで決まり!」というインパクトの強い曲は無いような気がする。

「は~っ?」っと思ったのが四曲目のイントロ。えらく懐かしく、「ぱくりか?偶然か?」との思いが頭をよぎったが、正解は純然たるカバー。原曲はCrowded houseが歌っていた“Don’t dream it’s over”。このカバーはさわやかに仕上がってしまっていて、音の暗さ・重さが印象的な原曲を若い頃に好んで聞いていた私としては、ちょっとさびしい気もする。

[2003.8.10追記] 最近何やら”Sixpence none the richer”で検索をかけて来る人が多いと思っていたのだが、この“Don’t dream it’s over”が、映画「10日間で男を上手にフル方法」(原題:”How to lose a guy in 10 days”)のCMでやたらかかっているからなのだろうか?調べてみると、この映画のサントラに収録されているのは、“Don’t dream it’s over”ではなく、前のアルバムに収録されていた“kiss me”のようだ。いったい、どうなってるの?

[2003.12.12追記] ふだん映画を見ない私ではあるが、二ヶ月ほど前のアメリカ出張の際の機内上映で、上記「10日間で男を上手にフル方法」を見てしまった。“Kiss me”はバスケの会場のシーンで使われていたが、“Don’t dream it’s over”は使われていなかった模様。日本の配給会社の作戦だったというのが結論のよう。

The Indigo, “sound of fragrance” (2002)

早いものでもう四枚目なのだ。生ギターのカッティングで組み立てていくような音作りは影を潜め、ホーンを使ったアレンジが多くなっているのだが、それでもやはり市川さんの仕事は素晴らしい。

しょっぱなの「永遠の愛」から、indigoサウンド炸裂。「といかけ」から「素晴らしい明日」に続くあたりなんかは、カーペンターズですねえ。「夏の雨」の最初のメロディーは、山下達郎の”downtown”っぽいかな。

“stay”は、このアルバムでは唯一と言ってもいい、アコースティックな薄い音の作りの曲なのだが、素晴らしい。力の抜けた田岡美樹のボーカルがいいね。

Hi-Fi set、”The Best Hi-Fi set”(1998)

これもベスト盤。一曲目の「卒業写真」はライブ録音バージョン。やはり不朽の名曲だ。「土曜の夜は羽田に来るの」も、いい曲だ。この曲が出た頃の羽田は、沖合移転前で、まだ国際空港だったんだろうな。旧羽田空港は、帰省などで何十回と使った空港だ。いろんな事が思い出される。このあたりの荒井由実提供の楽曲は、やはり(本人の歌で聞くより)いいなあ。「中央フリーウェイ」がこのアルバムに収録されていないのは残念。

「フィーリング」はHi-Fi setの最大のヒット曲。売れてた当時はピンと来なかったが、今聞くとやはりいい曲だなと思う。原曲がもちろんいいのであるが。“boy friend”「たった一枚のフォトグラフ」の潤子さんのボーカルもいいな。

しかし、70年代に荒井由美の楽曲を洗練されたアレンジで歌い、時代の先を行ったHi-Fi setではあるが、他に優れた邦楽ポップスミュージシャンを輩出した80年代のシーンにあっては、やはりパンチ不足だったような気がする。今、鈴木・細坪とやってるユニットみたいに薄い音作りの方が、潤子さんの歌が生きるんだな、とこのアルバムを聴いて思った。

Alanis Morissette, “Alanis Unplugged” (1999)

このアルバムはいいなあ、と思う。いつものアルバムのどこが自分の体に合わないのかと言えば、曲自体というよりは、エレクトリックなバックのアレンジの気色悪さに原因があるらしいと悟る。

一曲目の“You learn”からとてもいい。“No pressure over Cappuccino”“That would be good”“aprincess familiar”といい感じで続く。

“ironic”に関しては、元のバージョンの方がいいな。

The Bangles, “Greatest hits” (1995)

正直すごいバンドではないと当時から思っていたけれども、コーラスワークに関しては良かったという記憶が残っていた。先日、大ブレークの予感がするLillixを聴いていてふとそのコーラスワークのことを思い出した。それで唯一保有しているベスト盤を改めて聴いてみようかという気になったのだ。しかし、VH1の解説によれば、これはコロンビアが版権を持つヒット曲だけを収録しているので、バンドの全容を知るには必ずしも適していないそうだ。

“Manic monday”は全米2位まで行った出世作となったシングルで、実はPrinceがこの曲を書いたらしい。“If she knew what she wants”あたりもいいミディアムテンポのポップロック。“Walk like an Egyptian”は全米No.1になったけど、ちょっと軽すぎだなあ。

で、私がBanglesというと思い出すのが、“Hazy shade of winter”“。言わずと知れたSimon and Garfunkelの名曲をカバーしたもの。Bret Easton Ellis原作の”Less than zero”を映画化したもののサントラに使われた。原作の邦訳は読んで印象的だったけど、映画は見なかったな。ちょっとハード目な音とコーラスが特徴的で、Lillixを聴いてBanglesを思い出したというのは、そんなところに理由があるのだろうと自己分析。“Eternal flame”も全米No.1になった曲で、これはいいバラード。当時から気になった曲だ。改めて聴くとほんとにいいね。“I’ll set you free”もいいポップロックバラード。80年代から90年代への過渡期の曲っていう感じのするアレンジが印象的。やはりコーラスがいいね。

まとめると、ヒットになるように周りが丁寧に音を作った、という感じのするバンドなんだけれども、もらってる曲はいいのでそれなりに楽しめる、という一枚。先発のガールスバンドThe Go-Go’sなんかよりは、はるかに上質のバンドと見た。

Soy, “Soy” (1998)

Soyの一枚目。二枚目を先に聴いたのでそのインパクトの方が強いのだが、こちらもなかなかのアルバム。

しょっぱなの“Sugar Days ~あの日~”は、ペダルスチールなんかも入った初期のEaglesを思い起こさせる上質のポップス。続く「真夏へ続く道」は、ちょっとOrleans風かな。生ギターのからみも、とても良し。「約束」は、八千代さんのボーカルが冴え渡る佳曲。「夕焼け前」も、70年代っぽい音で好き。“Lemonade”は、ホーンアレンジやフレージングがSteely Danっぽい。いいところ突いてくるなあ。

「一週間」は、生ギターの絡みを軸にすえた薄い音の作りで、八千代さんのボーカル、バックのコーラスワークともに冴えている。締めの「Going Home~家に帰ろう~」もまたいい曲。アルバムを通して、とにかく私好みの音で文句なし、って感じだ。

Kathryn Williams, “Old low light” (2002)

横浜・上大岡の新星堂の試聴ブースで気に入り購入した一枚。生音がすばらしい。昔ながらの定義の「シンガーソングライター」という言葉がぴったり来る人だ。

ウッドベースの単調さが印象的な一曲目の“little black numbers”から、音作りがどことなくLisa Loebっぽいなあ。自分の趣味が固定化されてきてると、危機感を感じてしまう。

Beth Orton, “Daybreaker”(2002)

コースティック回帰が強まった感のあるアルバム。Ryan Adamsって人とのデュエットの“Concrete sky”が、アコースティックな佳曲。“Carmella”は、初期のJoni Mitchellにも通じる、フォークっぽい音の作り。“This one’s gonna bruise”も、やはりいいアコースティックな曲。Eddi Readerといい、最近はBritishな人たちの方がこういう音作りが得意なのかもしれないな、などと考えてしまう。

“God Song”は、懐かしのEmmylou Harrisとのデュエット。

余談ながら、ジャケットの歌詞・クレジットは、大変読みにくく難儀する。

Beth Orton, “Trailer Park”(1996)

メジャーデビュー盤。ジャケットのカバーフォトがなんともいいな。邦盤のライナーノーツによれば、かなり複雑な音楽的バックグラウンドを持つようだ。でも、私は単純なアコースティック好き。“Don’t need a reason”“Sugar boy”“Whenever”“I wish I never saw the sunshine”あたりがお勧め。

気持ちよくアコロックで疾走する“Live as you dream”“How far”も良い。

 

EPO, “CM tracks”(1992)

タイトル通りに、CMで使われた曲を集めた企画物。しかし、これが一種のベストアルバムのように思えてしまうのは、タイアップが成功してきたEPOらしい。

他のアルバムには収録されていない曲が5曲ほど入っている。「エンドレス・バレンタイン」とか懐かしいね。

The Cardigans, “first band on the moon”(1996)

Swedish pops特有の匂いがぷんぷんする一枚。しょっぱなの“your new cuckoo”から、ちょっとチープなギターとフルート・ストリングがからむポップロック。Ninaのボーカルの微妙なピッチのずれと、まじめにチューニングしたのか?というギターサウンドが、なんとも不安定で楽しめる。“never recover”は、EggStoneなんかにも通じる、いかにもSwedishという疾走感あふれるポップロック。テクもなにもあったものではないのだが、ちゃんと勢いで持っていってしまえるところがすごい。

しかし、このアルバムでのおすすめは、なんといっても“lovefool”だ。アルバムの他の曲とはちょっと違ったお洒落感を漂わせるが、上品になりきれていないところが微妙に面白い。さびでのNinaのボーカルに、理屈抜きでトラップされてしまったのである。上手すぎず、不安定なところが、却って生理的に心地よいのだろうと自己分析。日本ではなにかのCMに使われていただろうか。

一方で、“iron man”なんかでの、60年代後半~70年代前半っぽい感じもなかなかたまらん。

赤い鳥,「赤い鳥シングルズ」”(1999)

ハイファイセット以降のおしゃれっぽい音の作りよりは、Peter, Paul and Mary流れの関西フォークの残り香がする赤い鳥の方が個人的に好き。シングル収録曲を集めたこの一枚を取り上げてみる。

私と赤い鳥との遭遇は、高校時代に溯る。当時我が家ではNHK FMの「朝のポップス」を聴きながら朝飯を食う習慣があったのだが、「誰のために」「忘れていた朝」が続けて流れたことがあった。その衝撃は忘れられない。何がかっこよかったかって、アコースティックギターのバッキングなのだ。その当時はニューミュージックの時代だったのだが、大方はスリーフィンガーかコードカッティングかという単純なプレーばかりだった。それより10年も前にこんなかっこいいプレーがやられていたのかと、愕然としたのである。話しは女性ボーカルから大きく逸脱していくが、70年代前半のアコースティックギターには、北山修と加藤和彦の「あの素晴らしい愛をもう一度」とか、ガロとか、はっぴいえんどとか、風とか実はかなりかっこ良いものが多かったのである。アリスと松山千春には、日本のアコースティックギター文化を後退させた責任を痛切に感じて欲しいものだ。

で、潤子さんである。やっぱり、一言で言って声が美しい。特にあらゆる曲で歌い出しの部分がすごいのだ。「忘れていた朝」「わすれた」とか、「河」での「河よ」であるとか、ほんとうになにげないフレーズでの中音域の豊かさに、胸をぎゅっとつかまれる思いがする。これはほとんど生理的な問題だとも言えるのであるが・・・。「忘れていた朝」は、さびの部分でのコーラスワークは後のハイファイセットでの音の作りにつながっていくような面白いもので、ほんと名曲だと私は思う。

アレンジが古いので多少聞きにくい部分もあるし、「翼を下さい」が私が好きなバージョンとは違っていたなどという多少の不満があるにせよ、お勧めのアルバムである。

EPO, “Pump! Pump!”(1986)

個人的にはこの頃一番真面目にEPOを聴いていたので、思い出深い一枚。

しかし、アルバムの中での当たり外れは大きい。2.「音楽のような風」と10.「12月のエイプリール・フール」が正解。「音楽のような風」はカセットテープか何かのCMに使われていたはず。

Joni Mitchell, “Ladies of the Canyon”(1970)

“Woodstock”“The circle game”を含む、初期の代表作。個人的には“Big Yellow Taxi”がJoniの曲の中でももっとも好きな曲の一つなのだ。“Converation”とかもいいですね。このアルバムでは、Joniはギターのほかに、ピアノでの弾き語りを多く取り入れている。“The Arrangement”なんか、聞き込むといい曲なんだよなあ。

Solveig, “Analog” (1999)

これがデビューアルバム。典型的な非BritishのEuropean pop soundである。この手の音に騙されつづける自分の軽薄さを呪ってもみるのだが、いかんせん心地良いのだからやむを得ない。歌は決して上手くはないが、ところどころSiljeっぽい声質は結構気に入っている。全曲自分で書いているので、song writingのセンスはあるんだろうな。しかし、本人はJoni Mitchellの影響を受けたと言っているようだが、そういう雰囲気は微塵も感じないぞ。

1曲目の“Detective”から威勢のいい音の作り。時代がかっていてちょっと笑える。しかし、邦題の「探偵気分で」って、そりゃそうだろうけど、何とかならんもんかね。2曲目の“What about my life?”ってのも、全曲同様の雰囲気で流れていくのだ。

3曲目の“You can look around”でがらっとタッチが変わるだが、なかなかいい感じのミディアムスローの曲だ。5曲目はひたすらポップな“Marie”。地元ではこれがシングルカットされたらしい。60年代ポップスっぽいというのかな?10曲目の“On a day like today”なんかは、やっぱりヨーロッパぽいなあと思うのだが、どことなくSwan Diveと共通するようなところもあって訳わからん。

総じて、わざとらしくもなく古目の音を作って郷愁さそってみました、ってな感じであろうか。しかし、このアルバム、日本では10万枚売れたらしい。みんな、騙されやすいねえ・・・。

Joni Mitchell, “Misses” (1996)

96年暮れに発表になった、”HIts”と”Misses”からなる二枚ばら売りという奇妙なベスト盤を取り上げてみる。邦題は忘れてしまいたいほど酷いものだったので、ここには書かぬ。

二枚目の”misses”の方は、Joniがシングルカットしておけば良かったと後悔している曲を集めてあるらしい(80-90’sの曲が多い)。私は、こちらの3曲目の“A Case of You”が気に入ってしまった。これは、71年の”Blue”に収録されているのだが、曲自体は勿論のこと、裏にしぶく入っているJames Taylorのギターもよろしい。

IDA, “will you find me” (2000)

はまってしまった・・。金沢のタワーレコードの試聴コーナーで耳にして、その場でにやつき(周囲には不気味に思われたことであろう)、その後躊躇せずにCDを手に取りレジへと向かった。これほどすんなり「これキープ」と思えるCDは久々で大感動。

で、何にはまったかと言えば、2曲目の“maybelle”なのである。高校生の時からのアイドルであるCrosby, Stills and Nashの一枚目に収録されているDavid Crosbyの曲”Guinnevere”の雰囲気そのままなのだ。アコースティック系のバンドからCSN(&Y)の雰囲気を感じることは、そう珍しいことではない。でも、David Crosbyっぽい感じを出せる人っていうのは、そうはいないと思うのだよね。もっとも、日本語のライナーノーツの中にある「彼らが影響を受けたアーティスト」って項には、Neil Youngが辛うじて登場しているが、Crosbyに関しては影も形もないのだけれど。

その他の特徴としては、デュオとしてスタートした名残なのだろうか、コーラスが大部分は二声で抑えられてて、分厚いコーラスで勝負したりはしないってことが挙げられる。この辺が、ついついSwan Diveと比べてしまいたくなる由縁なのだろう。6曲目の“shotgun”なんかが典型なのだが、薄い音の作りな割りにものすごく垢抜けた音。ちょっとしたバリエーションもあって、最初の曲の“down on your back”では基本的に二声で進行するが、さびになると実に効果的にもう一人かぶってくる。“triptych”はソロ曲かと思っていたら、やっぱりほんのちょっとだけコーラスが、ほとんど楽器によるバックアップみたいな感じでかかって来るしね。

かと思うと、5曲目の“The Radiator”は、コーラス一切なし。これがまたいいのだ。10曲目の“Georgia”なんかは、Lisa Loebっぽいソロボーカル。“encantada”もソロボーカルみたいだけど、この曲のアレンジは絶妙に70年代前半的な感じでかっこいい。アコギ・ピアノだけでバックアップをとって組み立てて、あとから非技巧的なエレキのフレーズがかぶってくるっていうパターンなのであるが。

といった感じでとにかく絶妙な一枚。是非聴かれんことをお勧めする。蛇足ながら、ここまで書いてようやく思い当たった。このギターのコードとかアルペジオの取り方って、サイモン・アンド・ガーファンクルっぽいんだ。やっぱり東の方の音なんだね。

 

Rachael Sage, “smashing the serene” (1998)

マイナー趣味のこのサイトにあっても、最強のマイナーな人選だろう。

このアルバムに出会ったのは、1999年3月のアメリカ出張中、元地元のTower Records Tempe店の試聴コーナーだった。おどろおどろしいサイケなジャケットにびびりながら聴いてみたのだが、これが良い。帰国してから真面目に聴いてみると、さらに良い。

1曲目の“sistersong”は、生ギターで始まり、子供っぽいピアノの片手弾きが重なってきて、最後にバンド編成になっていくのだが、simpleながらいい音です。歌詞は強烈みたいだけど。

この手の薄目の音が全編貫かれている。他のおすすめとしては7曲目の“My Eliza”、8曲目の“Alive before you”のあたり。ただ、歌詞は超内向的おどろおどろ系。これには、のめり込めないな。

  • Rachaelsage.com (公式サイト。彼女が公式サイトを持つようになるとは、まさか思っていなかった。)

渡辺美里、”Loving you” (1986)

“My Revolution”の大成功を受けて出された二枚目。無理して二枚組に仕立てあげたため、質的には低い仕上がりになってしまった。しかし、このアルバムのタイトル曲である“Loving you”だけはぜひ聴いてほしい。シングルカットされなかった曲だが、日本語で歌われたロックバラードの中でも、特に優れたものとしてお勧めしたい。

渡辺美里、”She loves you” (1995)

アルバム単位でおすすめできるのは、上記の”eyes”くらいである。これには仕掛けがある。特に三枚目以降、彼女自身はR&Bやfunkっぽい音へ傾斜してアルバムにはそういう曲が多く収録されている。しかし、シングルで当てたのは大抵がアメリカンロック的な曲なのだ。単純に私はアメリカンロックの音が好き。であるからして、ベスト盤の方が安心して聴けるのだ。というわけで、デビュー10周年記念のベスト盤。めぼしい曲はすべて入っている。

しょっぱなの「世界で一番遠い場所」が好きだった。この曲はこのアルバムのための書き下ろしだったはず。ちょうどアリゾナに住んでいた頃、買い出しに出かけたロサンゼルスのリトルトーキョーのヤオハンでこのアルバムを買い、日本から遠く離れた場所で毎日この曲を車の中でかけていた。

もちろん、名曲“My revolution”も収録されている。「サマータイム・ブルース」とか「真夏のサンタクロース」もいい曲だった。「夏が来た」とか“10 years”はあまり好きな曲ではなかったけれども、何故か痛烈に西武球場が思い出される。

Sixpence none the richer, “Sixpence none the richer” (1998)

メジャーデビュー盤らしい。基本的には、ギターバンドっぽく、しかしバイオリンなどを効果的に入れたアレンジが、私には結構心地よい。Leighの声は、ものすごく特徴的というわけでもないし、特に上手い訳でもないのに、なぜかはまってしまう。不思議だ。

一曲目の“We have forgotten”から、上手くはないが、いいギターバンドだという気にさせられる。二曲目の“Anything”は、薄いアレンジの上にLeighのキュートな声が乗ってくる佳曲。

秀逸なのは、四曲目の“Kiss me”。maj7を使って人をだますというよくある仕掛けの曲だが、その単純さがたまらない。この中で、Leighの伸び切らない声が、生理的な快感を与えているのだ。きれいな曲です。14曲目にlive versionが入っているが、こっちは歌い急いでいるような感じで、それほど良くない。

他に印象に残った曲としては、七曲目の“I can’t catch you”を挙げておこう。Leighは、声も細く、ちょっと不安定さを感じさせるけれど、とにかくいい!そういう点では、曲のタッチはだいぶ違うものの、ちょっとLisa Loebぽいのかな。13曲目の“There she goes”も、素晴らしい。

Sara K., “closer than the appear”(1992)

「生音で勝負、オーバーダブはしない」を売りにするChesky Recordっていうレーベルから出ている。アコースティックベースとピアノのみのバックという構成の曲が多く、録音が私にとっては前代未聞の良さ。歌の細かいニュアンスというのか、ダイナミズムがストレートに伝わってくる。「歌って人間が奏でるものなのだな」などという当たり前のことを、改めて思い知らされます。とにかく真面目な一枚。部屋にこもって一人で聞きましょう。スピーカーの前に正座して。

上に書いたようにJoni Mitchell系っぽい音の作りなのだが、尖った感じの曲はない。安心して聴けるけれども、だれたりもしない絶妙なところを突いている感じ。一曲目の“miles away”なんかは、アメリカの西の方の雰囲気が伝わってくる。“Make Believe”とか“What’s a little more rain”みたいなスローテンポの曲が、この人の最高の持ち味なんじゃなかろうか。とにかくすごい。最後に収録されているのがBob Dylanの“like a rolling stone”なんだが、見事にSara K.の世界になっちゃってます。

Meja, “Meja” (1996)

日本で馬鹿売れしたソロデビュー作。1曲目“Welcome to the fanclub of love”、2曲目の“How crazy are you?”とポップな曲で責め立て、試聴ブースの人を釘付けにしたはず(憶測)。5曲目“I didn’t know”のしつこいアコギの分散和音バックアップも好きである。

一番のお気に入りは、上のアルバムのとこで書いたのと同じ理由で6曲目の“Rainbow”。Doobie Bros.を思い出してしまうようなアコースティックロック炸裂って感じ。どこかで聴いたことがあるようなコード進行なんだけど、うーん思い出せない。(とここまで書いて30分ほど格闘)で、どうやら38 Specialの”Somebody like you”って曲だったような気がする。

EPO, “POP TRACK”(1987)

これは、山下達郎の「いつか」とか、サザンの「いとしのエリー」とかのカバーをやっているアルバム。

お薦めは、1 .「三番目の幸せ」で、これはオリジナル曲。花王ソフィーナのCMで使われてた。個人的には、人生を変えた悲喜こもごもの一曲。

5.「横顔」は大貫妙子の曲だが秀逸。10.“Loving you”(原曲はMinnie Riperton)も良い。浅野ゆうこのアイドルとしての唯一のヒット曲である3.「セクシーバスストップ」のカバーをやってたりするのには、笑ってしまうが。

Soy, “Soy2” (2000)

きっと20年以上経っても、時折CDキャビネットから引きずり出して聴いてしまうアルバムだろう。そう確信させられる一枚。西海岸っぽいアコースティックロックとアメリカンポップスが絶妙に混じりあった感じが心地よい。

彼らを知ったきっかけは、ある日ふと気になって「佐橋佳之」のキーワードでインターネット検索をかけてみたことだった。佐橋氏は言うまでもなく渡辺美里の初期作品やライブで中心的な役割を果たしていた、アコースティックな音が偉くかっこよかったギタリストである。探し当てたサイトにはこうあった。「現在『山弦』というギターユニットと、それにさらに元ランパの平松八千代を加えた”Soy”というユニットでの活動をしている」。ランパ・・・「イカ天」に出ていたなあ。あのボーカルの落ち着いた声は好きだった。10年以上経過して私の好みも変り、あの声質はいっそう好きになっている。そういう思いが瞬時に頭をかけめぐり、このアルバムはメンツを聞いた時点で(実際に聴いたことがないにも関わらず)「買い」候補の筆頭へと躍り出したのである。

で金沢郊外のCD屋で探し当てたのが彼らの二枚目にあたる”Soy2″。アコギ二本のからみから始まる一曲目「おしえて」から、すっかり狂喜乱舞状態に陥ってしまう。「リベルテ」は、Steven Stillsっぽい音作りにこれまた狂喜乱舞。「恋に似ている」は、とてもきれいな高音域が聴ける。さび前の曲想は大貫妙子っぽいなかな?「嘘は罪」では、中音域が生理的に気持ちいい。いまどきのお子様シンガー達にはこういう世界は作れないだろうなあ。「ひなぎく」“SUBWAY”「遠い日」は80年代中期のEPOのスローな曲っぽい。「雪降る街でノースリーブ」EPOのポップス路線時代の曲っぽい。そういえば佐橋氏って高校はEPOと同窓で、業界デビューはEPOのレコーディングだった筈、と思い出してしまった。「EPOっぽくて良い」と私が書いていると受け取られると、それはちょっと不本意。声質では八千代さんが上をいっていると思うし、テクニック的にもまったく遜色ない。

アコースティックギターフリークの方々にもこのアルバムはとてもお勧め。計算しつくされたアコースティックギターワークと、声質最高の女性ボーカル。こんなグループがあればいいなと思っていたのが実現されてしまうなんて、邦楽もなかなか捨てたものでないなと思った次第。

Freya, “Tea with the queen” (1999)

これがデビューアルバム。最初に聴いたとき思ったのは、Lisa Loebっぽいなということ。音作りのアメリカン度と声質なんかからそうい印象を持ったのだろうと思うのだが。同時に、北欧ポップス特有の軽さみたいなものもしっかりと併せ持っていて、心地良し。

1曲目の“It’s already Wednesday”は、なんの実りもなく早く過ぎていく日々を歌ったもので、なんか感情移入してしまうんだな。でも、20歳にしてこんなこと歌っているようでは先が思いやられるなあ、この人。3曲目の“Yellow ladybird”もミディアムテンポのいい感じの曲。もっとも、私としては最後に収録されているacoustic vesionの方が気に入ったけど。4曲目の“Mother”は(Lisa+Alanis)/2って感じだなあ。

5曲目の“Little Miss”、6曲目の“No pity from the flowers”、7曲目の“She was always on my mind”、9曲目の“Tongue tied”なんかは、やはりLisa Loebっぽいアメリカンな作りの音。

通して聴いてみると、ちょっと単調かなという気もするが、私にははまりの音。おすすめです。

 

EPO, 「う・わ・さ・に・な・り・た・い」(1982)

正直なところ、わたしとしてアルバム単位でのめりこめるのは本作以降。

このアルバムでのベストトラックは、カバー曲のセルフカバーというややこしい境遇の“JOEPO~DOWN TOWN”“Girl in me”「うわさになりたい」は、とてもいいポッポス。「雨のめぐり逢い」はきれいなバラード。「おしゃれ」(死語)な恋愛の姿を題材に取った歌詞は、今聴くとかなり笑えるものもある

 

 

Swing out sister, “better to travel”(1986)

Swing out sisterは、同じアルバムの中でも曲の好き嫌いは激しいし、どのアルバムにも気に入った曲はあるので、とても難しい。そんな中で、鮮烈な印象という観点からするならば、やはりこのデビュー盤を一番に挙げたい。

この当時は、electricな打ち込み系ニューウェーブと、その対極にあるゴツゴツしたロックンロールバンドが栄えていた。そこに、Swing out sisterが出て来た。ホーンを旨く採り入れたスウィングジャズっぽいアレンジがちょっと昔に戻った感じのゴージャスさを持っていて、上質のポップスがイギリスから出てきたな、という感じだった。

でも、そういった音自体の他に、私がのめりこんでしまった原因はプロモビデオだったなあ。一曲目の“breakdown”のビデオで、ちょっと大柄な、ショートボブのねーちゃんがとびきりのsmiling faceを見せていた。それがCorinne Dreweryだったんだな。イギリスに一夏滞在したこともある私だが、Britishの女性であれだけいい笑顔を見せる人に実際に会ったのは一度だけ、御用達の銀行の窓口のおねーちゃんの営業スマイルだけだ。

その他のおすすめとしては3曲目の“after hours”なんかだろうか。何とも不思議な世界なのだ。Swing Outのスローテンポの曲はいくつかいいのがあるんだけど、とにかく引き込まれてしまうんだよね、何故か。

Swing out sister, “Shapes and Patters” (1997)

ナチュラルな音に固執して作ったアルバムだそうで、どうり肌に合うと思ったのだ。“Somewhere in the world”“Here and Now”“We could make it happen”といい曲が続く。“Better make it better”もいい曲だし、“Something out of the world”,“Stoned soul picnic”“Always”と本当に外れの少ないアルバムだ。

そんな中でも一番印象深い曲は“Now You’re not Here”だろうね。常盤貴子と織田裕二が出てた「真昼の月」のタイトル曲だったのだが、この曲でしばらくさめていたSOS熱が復活したのだ。ちょうどアメリカにいた時期で、日本語恋しさに二週間遅れで日本から入ってくるビデオを家でむさぼるように見ていた。そんな情けなくも懐かしい頃を思い出してしまう曲なのだ。

Solveig, “vegabond squaw” (2000)

意外にあっさり発売になった二枚目。前作を上回る秀作とみた。どこまでもポップ。一曲目の“Mon Ami de I’Ouest”から、60年代後半から70年代前半っぽい音作りで、前作の路線を踏襲していている。どうもこの手の音っていうのは、最近では北欧勢の独壇場になっている感じなのは、私の勉強不足?6曲目の“Untrue”のストリングとホーンのからみなんかは、Swing Out Sisterっぽいしね。いかにも欧州系っていう音。

Joni MitchellやらNeil Youngをバックグランドに持つと日本語のライナーに書いてあるのだが、その片鱗は7曲目の“The same mistake”、9曲目の“How can it be?”あたりに感じられる。Buffalo Springfield的と言えるかな?むしろ直感的には、Neil Youngを後追いしきれていなかった頃のAmericaの音っぽいと思ったけれども。

2曲目の“What love can do”なんかもいい曲だ。

Monica Starck, “Stories untold” (1999)

ジャケットはちょっとレトロな感じで60年代っぽいのかなと思わされるが、むしろ70年代前半の西海岸風の、とても快適なアコースティック・ポップ/ロック。ふとMathew Sweetを思い出してしまうような音の作りである。一曲目の”The trouble with Ben”, 二曲目の”in from the cold”と、生ギターの心地よいカッティングに、歯切れのよいMonicaのボーカルが乗ってくる。そういう意味ではMeja的であるとも言えるかもしれない。

とにかく、スカンジナビアン・ポップスに騙され易いわたしです。しかし、邦盤のボーナストラック付全16曲ってのは、ちょと多すぎであるな。

Meja, “Seven Sisters” (1998)

98年の春にTower Recordsに積み売りされていて、試聴して気にいったのが二枚目のこれ。この人の一枚目が馬鹿売れした年に私は日本にいなかったので、それまで彼女をまったく知らなかったのだ。ひたすら明るいSwedish popsとアメリカの音がうまくブレンドされていて、いいポップスになっていると思う。Swedish PopsはEggstoneの頃から好きだったのだが、まあなんと単純なpop指向なのだろうと自分でもいやになることがあったりするのも事実だ。

個人的には、アコースティックギターのクリアなカッティングと単純な3度のバックアップコーラスとい組み合わせにころっといってしまう体質ゆえ、6曲目の“Lay me down”が一番気に入っている。10曲目の“Caught up in the middle”も大好き。アコギと生ピアノのバックアップに、さびでコーラスとホーンがかぶってくる明るめのポップスで、Chicagoっぽいと言えばいいのかな?

その他にも、聴いていて気持ちのいい曲が並んでいる。1曲目の“Daughter of Morning”は、なかなかかわいらしい曲。ラストの“Seven Sister Road”も、いいロックバラードだ。どうもSeven Sistersというと、以前イギリスに居候していた時に近所にあった白亜の岩場を思い出してしまうのだが、英語ではこの言葉に特別な意味があるのかな?詳しい人教えて下さい。

白井貴子、”LIVING” (1999)

随分探し回り、21世紀になってからようやく購入。アルバムタイトルにもなっている“LIVING”は名曲だと 思う。しみじみと聴いて欲しい。“Born Free”もずしっと響く内容の歌。“人は自由のため生まれ て来た・・・そう信じたいよ・・・”。下手すれば安っぽく聞こえる歌詞なのに、説得力を持って聞こえるのはやはり白井さんだからだろう。EPOなんかもそうだけれど、売れっ子の時期を 過ぎて、その古きよき時代にしがみつくことなく、それなりの年齢になっても現在を歌いつづけることを選んでいる人の強みなのだと私は思うのだ。

「元気になーれ」は上述の「ひるどき日本列島」でさかんにかかっていた。白井さんが地方ロケに出かけて、漁港と かで歌ってしまうのだ。職場の食堂で昼飯食う手を休めて、「おっ、白井さんだ」などと見入っていた。この曲は気合を入れるのに大変向いている。「緑の河」はちょっと赤い鳥の 「河」を思い出してしまうな。

The Pretenders, “Get Close” (1986)

ちょっとPOP色が強いけど、これもお薦め。ジャケットのChrissieのTelecaster姿がかっちょいい。ヒットした“Don’t Get Me Wrong”が好きなのだ。シンセの音に違和感を覚えたりもするんだけれど。“My baby”のイントロは、いかにもプリテンダースのケルトっぽい音使い。“When I change my life”は、ストリングが印象的。George MartinがプロデュースしてたころのAmericaっぽい音。 “Chill Factor”“Hymn to her”はChrissieが本領発揮するロックバラード。

 

Joni Mitchell, “Dog eat dog”(1985)

Thomas Dolbyが参加していることで当時は話題になったと記憶している。その他のゲストもMichael McDonald, James Taylor, Steve Lukather, Wayne Shorterと豪華なもの。音的には前作の傾向を引き継ぎ、シンセベースが多用されたりと80年代風である。タイトル曲の“Dog eat dog”“Impossible Dreamer”などが好きだが、歌詞はハードなのである。

Noa, “Noa” (1994)

Pat Methenyが自らのプロダクションからデビューさせたイスラエル出身のシンガーNoa。ファーストのプロデュースを、Pat自身が手がける。何曲かはPat Metheny Groupがバックで演っている。Noaのバックグラウンドである中東の音と、アメリカンサウンドの調和が素晴らしい一枚。

Patの直接参加はバックボーカル(!)での一曲のみであるが、Lyle MaysのKeyboardが初期のPMGを思い起こさせる、素晴らしく優しい音に仕上がりっている。私のおすすめは2. “Wildflower”, 7. “Lady Night”, 9. “It’s Obvious”である。Noaの歌と、Lyle Maysのピアノ・シンセのからみがめちゃくちゃ泣けるのだ。特に初期PMGファンは必聴。

上の3曲のほかにも、10. “Desire”もおすすめ。

Donna Lewis, “Blue Planet”(1998)

二枚目の”Blue Planet”。私にとっては1998年に購入したアルバムの中では三本の指に入る当たりの作品でした。

まず、1. “Will Love Grow”にころっといってしまいました。maj 7系のコードでつないでいくという、極めて単純な仕掛けだったんですがね。2. “I could be the one”も、popで気に入ってしまいました。9. “Lay me down”, 11. “Take me home”も良いよ。

Silje, “Hjemmefra” (1996)

時代はインターネットが一般に普及しはじめた頃、このアルバムの発売の情報を後追いでキャッチした。日本では未発売、店頭で輸入盤にも出くわさない、困った挙句に出した結論は「ちょうど、Lene Marlinも流行ってることだし、Norwayで現地買い付けしよう」だった。1999.9.3、場所はBergenの小さなCD屋でした。欧米のCD屋では、姓の順に並べられているので、N(彼女の姓はNergaard)のところにあると思っていたら、Sの棚に並んでいた。ジャケットにも”Silje”とだけ入っている。髪はいっそう短くなっております。

このアルバムの新機軸っていうのが、男声のジャズコーラスをバックに手厚くつけた音作り。Norweigianでは”husband”となってて、なんで旦那が出てくるんだと思っていたら、どうやら”house band”という感じらしい(憶測)。正直、私としては前作の方がお気に入りである。

白井貴子、”Angel smile” (1997)

CDの背には”GOLDEN J-POP/THE BEST TAKAKO SHIRAI”とある。80年代半ばまでの売れていた時期の分のベスト盤という位置づけらしい。洋楽一辺倒だった私はリアルタイムでこれらの曲を聴いていなかったことを、ここに白状しておく。

音の造りが、シンセドラム・シンセベースを多用したかなりミーハーなものので、今となっては笑えてしまう曲も多い。「夢中大好き」と か、“Chance”のような曲は、下記のライブでアコースティックな編成で演っていたけど、これは良かった。“Color Field”もメロディがいいねえ。アレンジはBruce Springteen辺りを意識したものだったのかな?ピアノ弾き語りの“Happy New Year”は今聴いても違和感がない、佳曲だ。

Silje Nergaad, “Port of call” (2000)

本作から。名義はフルネームのSilje Nergaard。KKVを離れて、名門ジャズレーベルと契約。本格的なジャスボーカルアルバムを発売した。ノルウェーで2000年の春、ドイツで2000年秋の発売になり、ジャズチャートでかなり上まで行った。“The Waltz”のように、ノルウェー語で出したアルバムの曲を英語で焼き直したような曲も混じっていたりする。純粋なジャズボーカルのアルバムとして考えれば、そんなに素晴らしい出来と言えるのかなあ?と私は思ってしまうのだが、Siljeだという理由だけをもって許してしまう。

The Pretenders, “Learning to Crawl” (1983)

3rd album。メンバー四人のうち二人が、薬がらみで死んでしまうという危機を乗り越えての一枚。一曲選ぶとすれば、5曲目の“Show me”かな。もちろん、売れた一曲目の“Middle of the road”も良い。“Back on the chain gang”“My city was gone”“Thin Line Between Love and Hate”,“2000 miles”と本当に名曲ぞろいで、これを聴かずして80年代ロックを語ることなかれという一枚。

思えば当時のチャートは、Culture ClubやらDuran Duranやらの新興イギリス勢 vs. アメリカではMichael Jacksonの「スリラー」てな時代であった。ストレートなロックが弱かった時代にあって、やはりきらりと光る一枚であったと、今にして思う。当時はCalifornia Sound漬けだった私は、このCDを真面目に聴いたのはもっと後になってからのことだった。おはずかしい・・・。

The Pretenders, “PRETENDERS” (1980)

デビュー盤。前半はちょっといただけないが、後半がよろしい。“Stop your Sobbing”“Kid”,“Brass in Pocket”辺りのシングルになった曲がお勧め。それにしても、邦題の「愛しのキッズ」はいただない。

ちなみにこのアルバムは、MTV系のケーブルチャンネルVH1の選んだ”100 Greatest Album of Rock & soul”の第52位にランクされていた。残念ながら、VH1のサイトにあったこのページは既になくなってしまったのだが、周囲に並ぶアルバムは歴史的名盤ばかり。どれくらい高く評価されているか、改めて驚いてしまったのだった。

Joni Mitchell, “Wild things run fast”(1982)

GEFFENに移籍してのアルバム。確かこの頃のGEFFENの看板アーティストは、当時アメリカではヘビーメタルに分類されていたJourneyではなかったか?それはさて置き、このアルバムの音の造りっていうのはまさに80年代初頭のぎらぎらの音で、そのころ高校生をやっていた私にとってはこたえられないものになっている。その分、私好みのアコースティックギターやピアノが抑えられているのは、ちょっとさみしいものもあるにせよ。

The Pretenders, “Last of Independence” (1994)

これだけメンバーチェンジを繰り返しても、やはりThe Pretendersの音なのだ。意地の悪い見方をすると、初期Pretendersの後追いとも言えるような回帰も見られるアルバムではなかろうか。

しょっぱなの“Hollywood Perfume”から、ギターサウンド炸裂のChrissie節。“Night in my veins”は、のりのりでいい曲だと絶賛したいのだが、歌詞の対訳を見てちと赤面。自分の英語力の無さを呪う。“revolution”は、メロディーの音の運びとかギターのトーンとかがさりげなくケルティックで、いかにもPretendersっぽいのだ。

“All my dream”“I’ll stand by you”はいいロックバラードだと思う。それに対して、似たような感じではあるが“977”は、いまいち消化不良なような気がする。締めはBob Dylanの“Forever young”。これもいまいちですな。

 

Joni Mitchell, “Night Ride Home”(1990)

Thomas Dolbyが参加していることで当時は話題になったと記憶している。その他のゲストもMichael McDonald, James Taylor, Steve Lukather, Wayne Shorterと豪華なもの。音的には前作の傾向を引き継ぎ、シンセベースが多用されたりと80年代風である。タイトル曲の“Dog eat dog”“Impossible Dreamer”などが好きだが、歌詞はハードなのである。

EPO, “Vitamin E•P•O”(1983)

これを初めて聴いたのは大学1年の夏の帰省中のことであった。華やかな渋谷の人通りなど思い出しながら、「こういうポップスはあういう街からじゃないと出てこないよな。」などと、カルチャーショックに見舞われつづけた東京暮らしの最初の三ヶ月を静かな札幌の町で総括したりしたものだ。ジャケットは今見るととても恥ずかしいものがあるが、名曲揃い。今年(2008年)でこのアルバムが出てからちょうど四半世紀。未だに輝きを失わない絶対的な名盤だと思う。後年のTVのインタビューで見ると、この頃しみついた元気者のイメージで、本人は後からずいぶん苦しんだらしいが、ファンなんて、お気楽稼業だからなあ。

イチオシは、5. 「う、ふ、ふ、ふ」。毎年春になると、今でも聞きたくなる曲。休日の晴れた午後の渋谷のスクランブル交差点とか公園通りで。その他、1.“Vitamin E•P•O”と、ひょうきん族で使われてた2.「土曜の夜はパラダイス」は、初期のPOP爆走路線時代を代表する曲。3.「無言のジェラシー」, 4.“Would You Dance With Me?”あたりも忘れられない曲だなあ。6. “PAY DAY”は、当時はちょっと近寄りがたかった六本木の街が思い浮かぶ。「明日は日曜日、踊りに行きましょう」って歌詞からは、この当時はそういえば週休二日制が定着する以前だったな、と思い出す。7.「かなしいともだち」もいい曲だなあ。8.「五分遅れで見かけた人へ」は、おそらくは成田空港が舞台と思われる、新婚旅行に出かける昔の恋人を見かけたって曲。成田空港ってのは僕にとっても悲喜こもごもの場所で、いろんなことを思い出してしまいますね。

 

Silje, “Brevet” (1995)

髪をばっさり切ってショートにしているのにはちょっとびっくり。地元Norwayに戻って出したこのアルバムは、涙ものの大当たり。みなこういう音を待っていたはずだ!言葉はノルウェー語でさっぱりわからないが、一曲目の“Brevet”(ノルウェー語で「手紙」の意らしい)から、そのアコースティックなサウンドに泣ける。ちょっとPMGっぽい“SÅ NÆR SÅ NÆR”(邦題は「恋しくて」)もすばらしい。“Nattsang”もいい曲だし、しつこいようだが絶対のおすすめ盤。

CDの日本発売元のオーマガトキは新星堂系のレコード会社だったが、今となってはiTune Music Storeで入手可能なので是非。

The Pretenders, “PRETENDERS II” (1981)

非常に好き。“The Adultness”はminor系の曲にも関わらず、珍しくお気に入り。“I go to Sleep”を聞くと夜のPhoenixを車で走っている自分を思い出す。“Talk of the town”はPretendersの曲の中でも最も気に入っている曲で、ギターがまたいいのだ。“Pack it up”,“Day after day”“The English Roses”も同様の理由で大好きな一曲。ギターバンドとしてのPretendersの頂点となるアルバムであると私は思う。このアルバムが出た後に、ギターのJames Honeyman Scottはこの世を去ってしまったのである。

Rebekah, “Remember to Breathe”(1997)

これがソロデビューアルバム。生ギター一本で聴かせる曲から、Alternative系の音まで一枚にごっちゃり詰まっているが、私はアコースティックな曲に例のごとくはまったのだ。

四曲目の“Love Song”で決まりなのだ。最初の”She picks…”の歌い出し方一つにころっといってしまう。純アコースティックの編成でお届けするバラッドであります。聴くべし。

七曲目の“Keep it a secret”“Love Song”と似た音の作りから始めて、さびでは上質のロックに化けていきます。やっぱり、このさびでの歌の説得力みたいなものに関しては、ホワイトには絶対出せないブラックの根強さみたいなものを痛烈に感じてしまうなあ。二曲目の“Sin so well”も似たような音のつくりで面白い。

Silje, “Silje” (1991)

一枚目のまあまあの成功(特に日本での)に気をよくした二枚目。多分一枚目を支持していた人って言うのはナチュラルな音に好感を持った人たちだったのだと思うのだが、見事にそれを裏切り失敗してる。この一枚をもうちょっと大事に作っていれば、もっと息が長い活動が出来たのにと思うと、残念でならない。“Where you are”はA-ha(どこ行っちまった?)のMorten Harketとのデュエット。

Jennifer Kimball, “Veering from the wave” (1998)

これがソロデビューアルバムらしい。私好みの典型的な音で、www.jenniferkimball.comによればacoustic-based folk-popという分類になるんだそうだ。3月にアメリカに行ったときにTower Recordsの試聴コーナーで気に入って買ってしまった。

1.“Meet me in the twilight”から、「アコースティックだせい」という音の仕上げで、「いいアルバムにあたったかもしれない」という気にさせられる。一昔前のBruce Hornsbyみたいだ。CDのあたまにいい曲が来ているっていうのは、わたしのような試聴コーナーで衝動買いする人を引き込むには重要。

3.“Fall at your feet”は、ちょっと気色悪いコードから歌いだすんだけど、さびではきれいな曲に化けてしまうという不思議な曲。

5.“It’s a Long Way Home”が私の一番のおすすめ。生ギターがCSN&Yの頃のNeil Youngみたいな感じ。典型的なアメリカンってな歌詞で、実にありふれたところを突いているところが、軽薄な私受けしてしまう原因かもしれないな。

9.“(this is)My new vow”っていうのも結構気になる曲である。この曲でJenniferはStrumstickっていう楽器を弾いているんだけど、これはハンマーダルシマみたいなもんなのかな?The New Yorkerに出ていた詩に触発されて書いた曲なのか、一部引用があるようだ。曲自体はすごくきれい。

11.“Veering from the waves”もいいな。かなりのおすすめアルバム。

Swing out sister, “Kaleidoscope World”(1989)

“better to travel”の成功を受けて、二年以上を経てから世に出た、じっくり作った秀作。確かにデビュー盤は鮮烈だったが、こっちのアルバムの方が音楽としての出来としては格段に優れているみたい。

1. “You on my mind”が、ヨーロッパ的な音の抜けの良さとでもいうんだろうか、心地よいポップスで、SOSの曲の中でもベスト3に入る大好きな曲。6. “Waiting Game”も同様にSOSの魅力満載といった曲。歌詞はそれほどおめでたくないけどね。

7. “Precious World”はCorrineの歌をじっくり聴くのに適したおとなしめのサウンド。佳曲

 

Sara K., “Play on words”(1994)

黒っぽい音への傾斜が打ち出されている感じがする。“Stop those bells”なんかは完全にブルースだし、“If I could sing your blues”なんかはチック・コリアの”Spain”に影響を受けたと思われるようなJazzだし。それでもやっぱり、あくまでCheskyの音なんだけど。ジャケットの裏には四弦ギターなる不思議な楽器を持つSara K.が写っているのだが、気になるところだ。

今井美樹、”from 1986″ (1998)

実はまじめに研究しているというわけでもないので、ベスト盤を挙げておく。歌っている曲の大部分は正直言って好きでも嫌いでもない。では、なんでまた彼女をone of my favorite female singersとして挙げたのか?

理由はただ一つ、この人の声なのだ。今の日本の売れている女性シンガーの大半って、高音域を気張って出しているぢゃあないですか。この人は高音域を「抜いて」出せるところが生理的に好き。声はわりにほそい方なのであろうと思うが、それが良いほうに出ているみたい。こういう声の出し方できる人がいたら、ユニット組んでやってみたい。

好きな曲は「瞳がほほえむから」“Piece of my wish”で、どちらもドラマに使われていたはずだから、まあ月並み。

Maggie Reilly, “Echoes” (1992)

最初に購入した“Echoes”。これがソロデビュー作のはず。この人の声の奇麗さを堪能するには、3.“Echoes”,10. “Only a fool”のあたりがお薦め。世界で一番きれいな声のシンガーをあげろと言われたら、この人を私は挙げてしまうなあ。まあ、結構リバーブが深くかかってたりもするんだけど、絶叫型の人には作れない空間を感じさせる世界を堪能されたし。

私のだんとつのお気に入りは,6.“Real World”。”forget about a land of fantasy”と現実の世界に生きることを強く推奨する内容の歌詞。わたし的には、つぼを得たギターのバックアッププレーが相当のお気に入り。よく出来た曲だという感じがするのだ。

ちなみに、1999年にノルウェーを旅行中、小さな町のヨットハーバーでこのアルバムの曲をがんがんかけながら、船の掃除をしている人がおった。ここでは愛されてるんだな、と感慨深かった。

EPO, “Harmony”(1985)

このアルバムでは、6曲目の「私について」が大のお気に入り。「15の私に手紙を書いたら」「はたちの私に手紙を書いたら」で始まって、それぞれに返事が来るという歌詞なのだが、最後は「未来の私に手紙を書いたら」「宛名が違うと返事が来たから・・」という展開になるのだ。「うーん、おれが15や20の自分に手紙を書いたらなあ・・」と、ふと考えさせられてしまうのだ。

タイトル曲の“harmony”も、かなりいい曲です。

EPO, “Peach” (1999)

音的には薄目のアコースティックな作りで、チャレンジングなところっていうのはあんまりないけど、それを圧倒するように歌詞がじわっと来る一枚。20代の時にはわからなかった世界だな。EPOっていう人が、いい歳の重ね方をしてるんだなと、そういうことが伝わってくる一枚。この時期は個人的にかなりキツい時期だったので、この一枚には随分と助けられた。

5曲目の“Memories”には、特にはまってしまい、つい口づさんでいる自分に気付く。ばんばひろふみの「さちこ」を思い出してしまうのは、さびの音使いが一緒だから?

6曲目の「あきらめたくない」、も、なかなかじわっとくる曲。

7曲目の「君のさがしもの」もいいね。歌いだしは、多分あおい輝彦の「あー、ことしも~~」って曲(「君だけを」だったっけか?)の影響受けてるな。でも、さびのあたりは80年代中期のエポっぽい音の運び。

 

Naimee Coleman, “Bring down the moon” (2001)

しょっぱなの“My star”は小気味よいポップスで、どことなく同じアイルランド出身のSinead Lohanに似た音の作りだなと思わされる。シンセ多用なわりに、しっかりアコースティックしてるところは、Donna Lewisっぽくあるような気もする。しかし、ライナーノーツによればこれはおそろしくNaimeeっぽくない曲なのだそうだ。

タイトル曲の“bring down the moon”“Delicate”もなかなか印象深い曲に仕上がっている。こっちの方が彼女っぽいのでありましょう。曲だけ聴いてるとポップな“Standing Strong”も、歌詞はちょっと考えちゃいます。なんだか“precious”という語にこだわりあるらしく、歌詞に多用しているなあ・・。デビューから間があいているわりには、これが二枚目らしい。

Silje, “Tell me where you’re going” (1990)

デビュー盤。邦題は「やさしい光につつまれて」。Pat Methenyが一曲だけだが参加しているというのでふらふら買ってしまったのだが、一曲目の“Tell me where you’re going”からいいアルバムに当たったと感じさせられた。“Roundabout”もバックのアレンジが気持ちのいい音になっている。“Faces”は、Joni Mitchellからの影響がもろに感じられる一曲。

なんといっても秀逸なのが、Pat Methenyがel.&ac. Gtrを弾いている“Tell me where you’re going”の別テイクであろう。Siljeのボーカルは、ファルセットから地声に戻るときが、何とも言えずセクシーなのだ。ほんと単純に生理的な理由で引き付けられてしまう。

Patのギターも、単純だが印象深いハーモニクスから入り、12弦での開放弦を絶妙に使ったコードカッティング、エレクトリックによるソロと、絶妙すぎる。いまだに良く聴く曲です。